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2021/04/04

HSPとは何か⑪:優位機能を劣位機能の改善に活かせ!



さて、HSPのシリーズ、
11回目になります。

前回は、こちら↓

バレエ教室の
カタ井さんカタ目さんは、
ともにクシャミへの反応を見ると
「繊細さん」のようだが、

前者は「過敏」で、
後者こそが、「繊細」だと、
お伝えしたわけです。

このままでは、
カタ井さん、
バレエの上達は覚束ない。

でも、なんとか
ならないか?

皆さんなら、
カタ井さんに、
どんなアドバイスをしますか?

今回は、
このテーマから
入っていきましょう。

・・・

小椋なら、
一旦、別のレッスンメニューに
取り組んでもらうことを
おすすめします。

両下肢の硬さに向き合い続ける
メニューは、中止。

でも、カタ井さん、実は、
両上肢の「動く」は優位機能だった。

見よう見まねで
バレエのパントマイムを
上手にまねることができる。

この優位機能を、
活用します。

何のために?

両上肢の「感じる」を
開発するために。

バレエのパントマイムには、
あなたを愛しています、とか 
それは、いやです、とか、
一緒に踊りましょう、などなど、

いろいろな
感情や、意志表示が
込められています。

カタイ井さんに、
パントマイムの特別レッスンの中で、

単に、動きをなぞっているだけの
パントマイムから、

自分のリアルな感情を伴った
パントマイムの動きができるように、
練習してもらう。

・・・

まず、動きの前に、
パントマイムに込めようとする
リアルな感情を、
こころの中で、
シミュレーションしてもらう。

そのエネルギーを、
既に、「動く」としてはできている、 
パントマイムの動きに、
いわば「流し込んで」もらう。

その練習の中で、
パントマイムをする
自分のからだを、
そして自分の感情を、
「感じて」もらう。

つまり、
優位機能である
両上肢の「動く」を、
「型」として、

劣位機能である
からだの「感じる」を
開発しよう、ということです。

・・・

この段取り、
突飛なように感じるかもしれませんが、

スポーツ中継などで、
皆さん、既に
お馴染みのはずです。

次のような
フィギュアスケートの実況中継、
どこかで接したこと、あるはずです。

・・・

デビュー当時から
テクニックは申し分ないが、
表現力に課題があった、
〇〇選手、

今年は、見違えるような
表現力を身に付けて、
圧倒的に優位に立っています。

□□コーチの指導を受けた
この2年間の成果がついに
出てきたようです。

・・・

同じ「動く」でも、
何を「感じ」ながら「動く」かで、
「動き」は変わってきます、
観衆や審査員が
わかるぐらいに。

逆に、その過程の中で、
「感じる」が開発されるわけです。

カタ井さんも、
同じ。

パントマイムの練習の中で、
自分のからだを「感じる」機能の
開発が、期待できるわけです。

・・・

そして、カタ井さんの場合、
その先があります。

その開発された「感じる」を使って、
次は、両下肢の「動く」を
さらに、開発していくのです。

どういうこと?

カタ井さんの特別練習の中で、
今度は、両上肢のパントマイムではなく、
両下肢の動きを、
一旦、バレエの厳密なポジションなどは
気にせずに、

簡単なステップを、
いわば、そのステップの
本質(こころ)を感じることに
集中しながら、
練習する。

ジャンプなら、
ボールが弾むようにな感覚、

つなぎのステップなら、
スッとスライドするような感覚、

空中で足を合わせるなら、
ハサミのようにはさむ感覚、
などなど・・・。

厳密なポジションは一旦、
気にせず、その感覚に、
集中する、
苦手な、両下肢で。

いわば、両上肢でやったこと、
できたことを、
両下肢でも、やってみる、
だだし、今回は、
優位、劣位が、逆転しているが。

ボールが弾むって、
こんな感覚だよね、
そうでしょ?
と、自分の両下肢とこころの中で
会話をしながら。

その中で、
両下肢を「感じながら」
「動かす」という練習が
すすんでいくのです。

その時、徐々に、
自分の両下肢を、
単なる硬い棒のように感じていた
あの感覚から、
離脱していくことが
できます。

その時、もう一度、
開脚前屈にもどったなら、
今後は、自分のからだを
以前とは全く別な感覚で
感じることが、できるはずです。

自分の両下肢と、
いわば、会話をしながら、
つまり、感じながら、
カタ井さんなりに、開脚前屈が、
できるようになる。

このプロセスを踏めば、
カタ井さんも、
両下肢の「感じる」を活かしながら、
劣位機能の両下肢「動く」の改善に、
取り組むことが、できるわけです。

ここまでくると、
カタ目さんと、同じ土俵に
立ったことになります。   

カタ井さんが、ちょっと
ややこしいのは、
その両下肢の「感じる」を開発するために、
まず、両上肢の「感じる」の開発が、
ワンクッション、
必要だった、という点です。

・・・

むむむ、
なかなか、マニアックな
話題かもしれませんが、

動く」と「感じる」の
それこそ、繊細な連携について、
踊りほど、分かりやすい例は
ないかと考えての選択です。

そして、
優位機能を、どのように活用すれば、
劣位機能の改善に、役立てることができるか、
その具体的なイメージを
持って頂ければと思います。

・・・

そのためにも、
バレエの話題を離れて、 
日々のPSMの方の療養に即した例も、
必要ですよね。

一番、わかりやすい例は、
自閉症スペクトラム障害の方が、
他人の感情や、自分の感情について、
適切に対処できるようになる、
その、練習のプロセス、でしょう。

自閉症スペクトラム障害の方は
(以下、ASDの方)
人の感情という情報に対する
「感じる」機能が、
劣位機能の場合が多い。

でも、多くのASDの方は、
情報を分析する、という
「考える」機能は、
優位機能の場合が多い。

じゃあ、どうする?

まず、感情とは何か、
どんな種類があるのか、
その感情を抱いた時、
人はどんな表情や言動になるのか、
その目的は、何か、等々、
まずは、知的に、
ガッツリ、理解する。
(そして、それは、ASDの方、得意です)

その知的理解に導かれながら、
この状況では、
相手は、こうだから、
こうして欲しいのだろう、
だから、こういう対応をしよう、
という、いわば、
人工知能が分析するような、対処の仕方で、
ほんとうに、練習していくのです。

で、対処できるように、
ホントに、なります、
時間は、ちょっと、かかるけど、
そして、
ASDでない方の感じ方とは、
ちょっと、違うかもしれないけれど、

ASDの方なりの、
感じる」を開発することが
できるのです。

あるASDの方は、   
「これが(人の)感情というものなんだ」
「それが、やっとわかった」と
ある時、しみじみ、
こぼされました。

劣位機能が、改善しはじめる、
その瞬間です。

・・・

HSPが気になる時、
HSPであろうがなかろうが、

Do: 
自分の劣位機能の改善に
自分の優位機能を
活かすことができると知る。

Don’t: 
自分に優位機能はない、
そんな方針は役に立たないと
速断する。

※優位、劣位という考え方は、
自分の中での相対的なものです。
なので、自分の実情をよく把握すれば、
優位、劣位は、見えてきます。

いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、 
ぜひ一度、お問い合わせください。