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2016/11/14

習慣を変えるには:悪習慣の持つメリットを見抜け

さて、
今日は「習慣を変える」シリーズの
最後です。

「現状維持バイアス」
という言葉をご存知ですか?

認知心理学や社会心理学の用語です。

ヒトが判断をして選択する時、
理性的な判断では説明のつかない程度に、
現状維持の選択肢を選んでしまう。

その保守的な傾向を意味します。

例えば、・・・

より安く、品質もいい商品があるのに、
今まで使い慣れたブランドの商品を選んでしまう。

いろいろ不備があると分かっているのに、
現状の制度に賛成してしまう。

なぜ?

経済的な、あるいは心理的な説明が
いくつかあるようです。

・「変える」ことにはコストがかかる
・今までのコストが無駄になる
・「変える」ことにより何かを失いたくない
・今までのことを後悔したくない
などなど・・・

これは、別の言い方をすると、
「現状維持にもメリットがある」
とも言えます。

・省エネでやれる
・新たな不快を回避できる

これを上回るメリットがなければ、
ヒトは、現状維持を選ぶ・・・。

だから、セールス戦略で、
「無料お試し」がうまく行くわけです。

「無料」だから
「何かを失う」ことはない。
「現状維持バイアス」をすり抜けて、
新しい商品を体験してもらえる。
(当然、その後、
購入につながることを期待するわけですが)

では、
このシリーズで扱ってきた例に
当てはめると、どうなる?

<アルコール依存症>
メリットは、
飲酒による酔っ払った感覚が、
感情の不快を簡単に消してくれること。

だから、断酒をしても、
この感情の不快を
なんとかできなければ、
飲酒にもどってしまう。

だから、
スタンダードな依存治療では、
抗不安薬などによって、
感情の不快をコントロールしますね。

また、人との交流を促します。
孤独、などの感情の不快に、
人とのつながりは決定的に重要ですから。

<躁うつ病>
メリットは、
繰り返す抑うつ状態で、
強制的に、
心身の休息をとることができること。

これをメリットと言うことに
抵抗があるかもしれませんが、
動きすぎの躁状態の後、
心身の身になって考えれば、
不可欠の休息を与えてくれるわけです。

躁うつ病の方は、
強制的な抑うつ状態以外に、
心身の休息の仕方を知らない、
とも言えます。

だから、この「習慣」を手放すには、
強制的にやってくる抑うつ状態、
それ以外の、心身の休息の仕方を
身につける、
これがとてつもなく重要です。

さて、まとめに入りましょう。

現状維持には、
そして、
変えたくても変えられない習慣には、
そこに必ず、メリットがある。

そのメリットを十分、把握しよう。
その上で、
新しい習慣と、天秤にかけよう。
(この作業にチャートが有効です)

人間って、打算的なもので、
その天秤が動けば、
行動は簡単に変わります。

さて、
習慣を変えたいと思ったとき、

Do:
今の習慣のメリットを自覚し、
新しい習慣に、
形を変えて、取り入れる。

Don’t:
今の習慣のメリットに無自覚なため、
その習慣を自覚的に手放せない。

いかがでしたでしょうか?
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ぜひ一度、お問い合わせください。