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2021/05/09

天気痛との付き合い方①:メカニズムを知ろう



さて、今回は、
(ガラッと変わって)
天気痛(てんきつう)の話題です。

診察でお会いする方の中で、
この苦しみを抱えておられる方、
とても多いです、というよりも、

大なり小なり、ほとんどの方が、
天候の影響を
受けておられます。

雨の前日など、
低気圧がやってくると、
まるで、人間気圧計のように
ビンビン感知して、

頭痛、めまい、
吐き気などの身体症状や、

気分の落ちこみ、
やる気がでないなどの
精神症状が、悪化します。

以前は、
「気のせいだ」と
周囲から言われてきて、
肩身の狭い思いをされてこられた方が
多いようです。

以前より、小椋は
漢方薬でなんとかならないかと
試行錯誤してきました。

やっと近年、
研究がすすんできて、

原因のメカニズムや、
有効な漢方薬などの報告も
出てきています。

その辺りを整理して
お伝えします。

・・・

医学用語としては、
meteoropathyメテオロパシー
という用語があります。

これは、
meteoro(気候)
+pathy(痛み、病気)
という成り立ちの語です。

なので、日本語訳としては、
天気痛(てんきつう)とか、
気象病(きしょうびょう)
になるわけです。

天候の変化により
痛み(や他の症状)が悪化する病態、
という意味になります。

でも、世界的に有名な
米国の医学電子教科書(UPTODATE)には、
メテオロパシー、
その項目すらないです。

もちろん、
偏頭痛、気管支喘息、関節リウマチなどの
症状を悪化させる引き金としての
天候は、しっかり、記載されています。

が、メテオロパシーという観点は、
まだまだ、
一般的な認知には
至っていないようです。

そこで、今回は、
佐藤純先生の『天気痛』(2017、光文社)と
他の医学論文を参照しています。

・・・

まず、気候の変化といっても、
気圧以外に、
いろいろ、ありますよね。

まず、温度。
そして、湿度。
さらに、年間を通じてなら、
一日の日照時間。

これらも、体調にすごく
関係してきます。

が、今回は、
気圧にしぼって、お伝えします。

以前、想像されていたよりも、
影響が大きいことが
わかってきたからです。

・・・

まず、
気圧が変化するって、
どいうこと?

地球の大気は、
厚さが100kmぐらい。

どんなに、空気が軽くても、
これだけ積もれば、重くなって、

地表では、
面積、1平方メートルあたり、
なんと、10トンにもなります。

人間の表面積は、
男性、約1.6平方メートル、
女性、約1.4平方メートルなので、

我々、常に、
14〜16トンの大気の圧力を
気圧として、受けているわけです。

マジか・・・。

人間の体の組成として、
90%が、水です。

我々は、いわば、
10トン以上の気圧を受けながら、
その形と機能を維持している、
水の入った皮膚の袋、
というわけです。

でも、我々のからだは、
それを前提に対処しているので、
地表で、なんとか、
やっていっています。

でも、その気圧が変化したなら、
いちいち、その変化に
対応しなければなりません。

・・・

気圧の単位として、
ヘクトパスカルって、
台風のニュースで、
よく耳にしますよね。

イメージとしては、
次のような例が、
わかりやすいでしょう。

気圧が、1ヘクトパスカル、
下がると、
海面が、1cm、盛り上がる、
という計算らしいです。

あの、重い海水、全体が、
ということです。

つまり、
ちょっとの気圧の変化でも、
その影響力は、
大きいぞ、ということ。

「水の入った皮膚の袋」の
我々なら、なおさら、
ということです。

・・・

弱い低気圧なら、
20ヘクトパスカル
強い低気圧なら
40ヘクトパスカルは、
ゆうに、低下します。

実は、低気圧でなくとも、
新幹線や飛行機などの移動では、
それぐらいの気圧の変化、
起きるようです。

エレベーターの上昇など、
日常生活の中でも、
5〜10ヘクトパスカルぐらいは、
起きているようです。

つまり、それらの状況で
体調悪くなる方は、
その気圧の変化に対応できてない可能性がある、
ということです。

・・・

気圧の低下に
対応できていないと、
からだで具体的に、
何が起きるのでしょうか?

先ほどの
「水の入った皮膚の袋」の例えを
続けるなら、

外界の圧力が下がった時、
変化に対応できていない場合は、

袋は、
膨らみますよね。

からだの中の
水分も、ふくらむ。

からだの中の
臓器も、ふくらむけど、
それよりも、
水分の方が、より大きく
ふくらみやすいので、

つまり、からだの中の水分が
あふれてくる、つまり
むくむということです。

・・・

この変化を感知するのが、
耳の奥にある、
内耳、という器官であることも、
わかってきました。

内耳には、三半規管といって、
中に、リンパ液が満たされている
パイプがあるのです。

でも、
それだけなら、
低気圧のたびに、
むくむ、だけで済みますよね。

なぜ、いろいろな症状が
引き起こされるのか?

それは、
内耳が感知したその状況を、
脳が、ストレスだ、と認知して、
交感神経系のスイッチを入れるから
ということが
わかってきました。

つまり、アラームが鳴る
ということです。

ここから先は、
一気に、いろいろ、
困った症状が出てくるわけです。

その一つが、
頭痛であったり、
吐き気であったり、
関節の腫れや炎症であったり、
ということです。

・・・

むむむ、今回は、
一回で完結すると予定していましたが、
長くなりそうです。

今回は、ここまでとして、
次回に、
対策をお伝えします。

・・・

天気痛で困っている時、

Do: 
まず、何が起きているのか
そのイメージを持つ。

Don’t: 
なにをやっても
苦しみは同じだと
あきらめる。

いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、 
ぜひ一度、お問い合わせください。