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2018/04/08

マイナス思考への対処法⑤:「情報収集」のコツ


さて、
マイナス思考から脱出するための、
認知リテラシー、その5回目です。

今回は、
基本セットの中の、
情報収集」について、
まとめてみましょう。

認知リテラシーの
基本シェーマの図は、こちら↓
マイナス思考への対処法:「ヘルシー思考」とは?

・・・

「情報収集」と言っても、
その中身は、いろいろです。

休職の期限がいつまでなのか、
それを会社の総務に確認する、
これも、情報収集です。

一人暮らしがキツくなってきたから、
一旦、実家にもどれるか、
両親に確認する、
これも、そう。

自分はADHDかもしれない、
今度、先生に聞いてみよう、
これも、そう。

このような、
自分の外部に働きかけるタイプの
情報収集があります。

このタイプの情報は、
収集するのに、
それなりの労力が必要ですが、
その情報のある、なしで、
大きく判断が変わる、
そんなタイプの情報ですね。

その一方で、
自分自身についての
情報収集も大切です。

典型的なものは、
活動記録表、ですね。

これを用いた診察の様子を、
架空のAさん、Bさんを例に、
見てみましょう。

ともに、30代、女性、
診断は、躁うつ病、
口グセは、
私は一生、
うつを繰り返すんだわ…

・・・

まず、Aさん。

今回も、3日間寝込む、
うつを繰り返してしまった。

活動記録表を
一緒に振り返る。

すると、寝込む、
その前の2日間、
午前、午後、ともに、
外出の予定が入っている。

これ、がんばりすぎじゃない?
と担当医がつっこむ。

そうかな…と、
Aさんは、記憶を探る。

すると、
あ、そうそう、
本当は、2日目の午後、
ちょっと、しんどくなって
でも、友だちだから断れず、
エイヤって、
カラオケ行ったの…

そして、
その日の診察では、

しんどい、という感覚が、
大切なサインで、

それを感知したら、
ドタキャンになっても、
(当然、相手に謝罪しつつ)
自宅で療養すること、
という結論が出た。

そして、その次の診察。

先生〜、
また、うつになっちゃって…
私、一生、繰り返すわ…
とAさん。

活動記録表を確認すると、
確かに、うつで、寝込んでいる。

でも、
前回の診察の約束通り、
しんどい、
という感覚を感知して
その前日、午後の予定を
キャンセルすることは、
できている。

また、寝込む期間も、
1日半で、すんでいる。

確かにまた、
うつにはなっているが、
Aさんの努力で、
うつの期間は短くなっている。

この調子で、
毎日の予定の調整がうまくなれば、
寝込まなくてもよくなるよ、
と担当医。

Aさんは、
ちょっと手応えを感じて、
それからは、
口グセがなくなった。

・・・

いかがでしょうか?

Aさんの診察で起きているのは、

活動記録表の中の情報をもとに、
さらに追加の情報を収集している、
ということ。

Aさんが記憶を探って
引き出した、
しんどい、というサイン。

二回目の診察で、
担当医が気づいた、
寝込む時間が半減している、
という情報。

この情報収集が可能なのは、
担当医の中で、

この10分の診察後に
達成すべきゴールの設定、

それが、強烈に明確に
あるからなのです。

このAさんの場合なら…

うつの反復を最小限にする、
という課題の達成のために、
できる解決策は何か?

・睡眠確保の段取りを提案する
・そのために必要なら薬物調整を行う
・日中の活動の調整法について提案する
・病状改善の指標について指導する
・少なくとも、次回までに取り組む課題を設定する
・このままでよいなら現状維持を指導する
という感じでしょうね。

このゴール設定が
できているからこそ、
一見、
雑多な情報が氾濫している
活動記録表から、
課題の達成のための情報が、
収集できるのです。

・・・

もちろん、
担当医がやっていることを、
Aさんがすぐ、自分自身で
そのまま実行するのは、
なかなか大変です。

でも、
担当医とのやりとりの中で、
担当医の「ヘルシー思考」を
身をもって学ぶ、
ということは、できます。

だからこそ、
気づかないうちに、
マイナス思考が、
消えているのです。

Aさんの場合は、
ポイントは、二つ。

一つは、
一回目の診察で、
実行可能な解決策を準備し、
それを実行したこと。

もう一つは、
二回目の診察で、
あやうく、見逃しそうになった、
改善の指標について、
(寝込む期間が短くなった)
担当医の指摘でもって、
認知できたこと。

その認知が得られる以前の
Aさんなら、

・うつで寝込む
・うつで寝込まない

この単純な二分法しか、
できませんでした。
(いわゆる白黒思考)

だから、
3日寝込むのが、
1日半になる、
という変化を、

そして、
それに意義がある、
ということを、
認知できなかったのです。

・・・

このAさんの例は、
療養の中で、
マイナス思考が延々と続く方の、
典型です。

一回目の診察と、
二回目の診察、
その組み合わせが、
脱出のコツです。

一回目で、変化をつくり、
二回目で、それを認知する。

どっちがかけても、
脱出できません。

行動を起こさない方は、
変化が作れません。

せっかく作った変化も、
認知できなければ、
成功体験にならず、
これを繰り返そう、という
モチベーションが出てきません。

そして、
マイナス思考が、
延々と続きます。

今回のテーマ、
「情報収集」の観点から
整理するなら、

ゴールを設定し、
好ましい変化を起こす努力をした上で、
何か変化が起きているはずだ、
という視点で、
情報を「取りに行く」
という心構えが大切、
となりますね。

その際、
白黒思考などの
マイナス思考が、
その情報収集を邪魔する、
という状況が、
よく起きるわけです。

さて、
まとめましょう。

マイナス思考で困った時、

Do:
認知リテラシーの基本セットの、
「情報収集」では、
次の点に留意する。
好ましい変化を作る努力をした上で、
その変化を確認するために行う。

Don’t:
その目的がない場合、
現状を追認するだけの
情報収集になり、
その結果、
マイナス思考が
延々と続く。

次回は、
情報収集がうまく行かない
Bさんのケースを見ていきましょう。

いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、
ぜひ一度、お問い合わせください。