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2018/11/18

無力感を克服するためのヒント②:「ランク」とは?(J・ダイアモンドより)


さて、
無力感の克服をテーマにした
このシリーズ、2回目です。

前回は、こちら↓
無力感を克服するためのヒント①:ネルソン・マンデラに学ぶ

『パワー:ユーザーズガイド』
という本を参考に、
(今後、この本を、単に『ガイド』と呼びます)

ネルソン・マンデラが、
無力感を克服できたのは、

彼を独房に閉じ込めた、
positional power(ポジショナル・パワー)
に対して、

十分、対抗できる
personal power(パーソナル・パワー)を
育てることができたから、

ということをお伝えしました。

・・・

ここで、先に進む前に、
『ガイド』に沿って、
用語の整理をしておきましょう。

ちょっと、めんどうですが、
このシリーズで
ずっと出てくる用語なので、
お付き合い下さい。

・・・

パワー(power)とは、

どんなに多様で
予測困難な状況であっても、

他者の協力や同意という
正統性を得た上で、

よりよい結果に向かって、
行使される、

その状況に、衝撃と影響を
与えることのできる能力、

と定義されています。

だから、
私利私欲のための、
他者の犠牲の上に成り立つ、
腕力や知力、権威や財力は、

そのパワーの、
堕落(corrupt)」した姿だ、
という訳です。

平たく言うと、パワーとは、
リーダーシップ、または、
リーダーが持つべき影響力、
と言い換えてもよいでしょう。

すると、

ポジショナル・パワーとは、

社会的な権威や地位に由来する
パワー、という意味になります。
和訳するなら、
地位的影響力、でしょうか。

具体的には、

会社という組織の頂点の社長、
市という自治体の頂点の市長、
大学という学問の頂点の教授、
長者番付一位の資産家、
オリンピック金メダリスト、
などなど…。

一方で、
パーソナル・パワーとは、

権威や地位を奪われた状態でも
その個人の持つ特性から発する
パワー、という意味になります。
和訳するなら、
人格的影響力、でしょうか。

具体的には、

心理的能力に優れた人、
人生経験の豊かな人、
感情のコントロールができる人、
こころが折れにくい人、
などなど…。

・・・

そして、『ガイド』の
基本的なメッセージは、
次のようなものになります。

パーソナル・パワーの伴わない
ポジショナル・パワーは、
堕落する。

パーソナル・パワーの乏しさを、
ポジショナル・パワーで
補おうとするから。

だから、
ポジショナル・パワーを持つ
立場にいる方は、
パーソナル・パワーをしっかり
育てよう。

・・・

むむむ…

そのメッセージ、でも、
そのままでは、
精神疾患をかかえる
我々PSMの胸には、
ストレートには、響きませんね。

だって、我々、そもそも、
ポジショナル・パワーなんて、
もったこと、あるか…?

例えば、
会社の課長まで昇進したが、
働き過ぎで、
うつ病を発症した、Aさん。

休職から退職へ追い込まれ、
療養を続けても回復せず、
無職のまま、
傷病手当を頼りに生活している。

Aさんの状況は、
一旦、もっていた
ポジショナル・パワーが
激減しているわけですね。

『ガイド』では、
この状況をうまく表現するため、
もう一つの用語を使っています。

rank(ランク)

ランク付けする、とか
上位にランクイン、とかの、
あの、ランク、です。

階級とか、
位階(いかい)
という意味になります。

『ガイド』では、ランクとは、

パワーを、
その低いものから高いものへ
並べた階層構造の中で位置づけた時の、
その位置、
という意味で使っています。

だから、Aさんは、
高ランク状態から、
低ランク状態に移行した、
と表現します。

なんとも、
身もふたもない言い方です(苦笑)。

でも、ここが
『ガイド』の意図でもあります。

通常は、
あからさまに語られず、
タブー視されているが、
みんな、こころのどこかで感じている、
優越感、劣等感…。

それを、直視しないと、
パワーとパワーが入り乱れる状況を
整理することができない。

だから、あえて、
ランク、というインパクトのある
言い回しを採用しています。

・・・

Aさんのその後は、
ランクの観点から見ると、
次のようなパターンがあり得ます。

ポジショナル・パワーの観点からは、
高ランクから低ランクに落ちた。

でも、その経験を活かし、
実は、低ランクだった
パーソナル・パワーを、
徐々に高ランクに育てる努力をした。

その結果、実は、
病状も改善していった。

結果的に、
そのパーソナル・パワーの高ランクが
別の会社に評価され、
再就職することができた。

あるいは…。

ポジショナル・パワーが
低ランクに落ちたことが
いつまで経っても許せず、

パーソナル・パワーも
一層、低下していく。
病状も改善せず、
再就職の目処も立たない…。

・・・

PSMの方が、
パワーの渦巻く社会の中で、

自分の立ち位置や、
こころ模様を、
シンプルにかつ正確に
把握しようとする時、

パワーや、
ランクという用語は、
恥ずかしいぐらい、
状況を明瞭にしてくれます。

・・・

さて、用語の説明が
長くなりました。

そもそも、その
パーソナル・パワーを
育てるには、
どうすればいいのか?

それが、前回からの
テーマでしたね。

『ガイド』に沿って、
ピックアップすると、
次の5つになります。

①:自分の短所も活用できる能力
②:感情のコントロール能力(=感情リテラシー)
③:孤立するリスクを引き受ける能力
④:人生のピンチを成長の機会に変えられる能力
⑤:自分のランクを強めに見積もることができる能力

これらをパワーアップさせると、
パーソナル・パワーが
メキメキ上昇します。

次回以降は、
①から順に、学んで行きましょう。

・・・

力を持つ相手からの仕打ちに
無力感を抱く時、

Do:
まずは、
パワーやランクという用語に親しみ、
その状況を分析できるようになる。

Don’t:
低ランクの状況を
直視するのを恐れる。

いかがでしたでしょうか?
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