ブログ

ブログ

2018/05/27

精神疾患で働けない自分は怠け者か?④:「世間」はどこに出現するか


さて、今回は、

働いていない自分は怠け者だ、
というマイナス思考からの
脱出を目指す、
このシリーズの4回目です。

前回は、こちら↓
精神疾患で働けない自分は怠け者か?③:「世間」から排除されることへの恐怖

脱出できない原因は、
「世間」から排除されることへの
恐怖があるからだ、
という結論でした。

この「世間」との戦いを
どう生き延びればいいのか?

まずは、どんなところに
「世間」が出現してくるのか、
その実例を確認しましょう。

きっと、皆さんも、
心当たり、あると思います。

・・・

1:家族

PSMの方の
大きな苦しみの一つは、
家族の無理解、です。

父親や母親、
あるいは祖父母が、
「世間」の代表選手みたいな場合…
最悪です…

自分の生存を
保障してくれるはずの家族が、
自分を排除するわけですから。

いい年して
いつまで引きこもっているんだ!
みないな発言になる場合や、

実際、
追い出された患者さんも
おられます。

そこまではっきりとした
言動でなくとも、
イライラした表情から
見て取れる場合まで、
いろいろありますね。

何かにつけ、
いちいち注文をつけてくる
パターンもあります。

生活リズムや髪型・服装、
交友関係やお金の使い方まで…

多数派の価値観が
逆なでされている、
そのいちいちのポイントで、
排除の圧が、かかるわけです。

2:親族

同居の家族よりも少し遠い
親戚関係の方たちです。

法事や結婚式が苦手な
PSMの方、多いです。

あの、一堂に会した
正装した人々の群れ、
あれ、
「世間」の典型の一つでしょう。

〇〇ちゃん、もう結婚したの?
だの、
〇〇くん、どこ就職したの?
だの…

情けないやら、
肩身が狭いやら、
お前に関係ないだろ!と
怒りがわいてくるやら…

PSMの方にとっては、
嘔吐をもよおす時間でしょう。

3:近隣の住民

同じ町内会に属する
近隣の住民も、
「世間」の典型です。

町内会の会合や、
お祭りや運動会などの行事が
苦手なPSMの方、多いです。

その役職が回ってきたことで
うつ病を発症した患者さんや、
再発した統合失調症の患者さんが、
目に浮かんできます。

都市部よりも
地方の田舎の方が、
「世間」の圧がキツい場合、
多いようです。

お子さんまだ?などと聞いてくる
「世間」の圧で、
うつ病がなおらない
女性のPSMの方もおられます。

4:地元の住民

同じ市町村に属する
地元の住民も、
「世間」を構成しますね。

学校でいじめにあって、
引きこもっているPSMの方。

どんなに社会復帰を試みても、
結局、
就職した職場で、
かつて自分をいじめた連中に、
ふつうに会ってしまうリスクがある。

それを考えると、
とてもこの町でやっていけない…

この町から出て行けば、
やっていけそうな気がするのに…

実際、このPSMの方は、
まったく違う地方に転居し
一人暮らしでやっていくことを
目標にして、
サポートを続けています。

5:学校

仲良しグループって、
いつの時代も、ありますよね。

そうすると、クラスの中で
発言力の強いグループと、
マイナーなグループ、
グループに属さない生徒など、
自然と、できてきます。
それ自体は、問題ない。

ただ、トラブルが生じた時、
そのグループ間の
バランスをとる役割が期待されている
担任や校長が、

機能しなかったり、
その役割を放棄したり、

あろうことか、
多数派に同調する場合が、
あります。

そうなった時、
学校は、
強大な力をもった
「世間」になります。

学校でのいじめが
トラウマになっている
PSMの方。

どれだけ、
小椋は見てきたことでしょう…

生徒にとって学校は、
日々の社会生活の
大部分を占めています。

そこで排除されるとは、
社会的存在としての自分が
危機に瀕することを意味します。

それは、
家族がフォローしきれない
ダメージにいたる場合もあります。

まるで、全世界から
排除されている気持ちに
なってしまう。

自死を選ぶ生徒がいることは、
この「世間」の暴力が
どれほど強いものかを
物語っています。

6:会社

会社にも、
いろいろな規模や
社風がありますよね。

ただ、どんな会社でも、

「この会社をやめたら
生きていけない」

という思いで働いている社員は、
その社員のグループで、
「世間」を構成するでしょう。

そして、PSMの方は、
その「世間」の一員として
働いている場合が、多いです。

自分をうつ病にした職場に、
誰がもどりたいと思うか?
でも、他に仕事がないから、
復職を目指すしかない…。

障害者枠だと言いながら、ぜんぜん、
発達障害に対する配慮がない…
でも、この待遇の障害者枠は
他にないから、
続けるしかない…。

そして、当然、
うつ病で仕事が遅かったり、
発達障害で要領が悪かったりすると、
「世間」を構成する他の同僚の
センスを逆なでするので、
「排除」の圧を受けることになる…。

・・・

いかがでしょうか?

多くの場所に、
「世間」が登場することが
わかって頂けたと思います。

でも、そのメカニズムは、
どこに登場しようとも、
同じです。

まず、「世間」は、
このグループ以外では生存できない、
という思いを持つ、
比較的少数の成員で構成される。

そして、
その「世間」のセンスを
逆なでしなければ、
成員として生存が保障されるが、

逆なですれば、
排除され、生存の危機が訪れる。

〇〇ちゃん、もう結婚したの?
などの質問は、
何の意義があるのでしょうか?

「世間」のセンスを
逆なでする人物なのかどうか、
その質問でチェックされているのです。

また、
血縁や、居住地は、
そうそう、簡単に変更できないので、
「世間」を構成しやすくなります。

この親族の中や、
この土地でなければ
生きていけない、
という思いを抱かせやすい、
ということですね。

そして、排除する側は、
その自覚がない場合が多い、
という点も指摘できます。

・・・

さて、
働いていない自分は
怠け者だ、
というマイナス思考で
苦しい時、

Do:
そのマイナス思考を
生み出している
「世間」に対する恐怖を
減らすために、
「世間」がどこに出現し、
そのメカニズムがどうなっているか、
まず、知る。

Don’t:
実は、
「世間」のメカニズムは一つなのに、
変幻自在に出現するように
錯覚する。

次回は、
今回の見取り図を踏まえて、
具体的にどんな対策があり得るか、
考えていきましょう。
でも、ヒントはすでに、
今回の中に、いっぱいありますね。

いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、
ぜひ一度、お問い合わせください。