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2022/07/03

「毒親」とは何か⑨:毒親の分類(ESP、ESO、ESC)とESCの補足



さて、
毒親のシリーズが続きます。
今回は、第9回目。

前回は、こちら↓

双極性感情障害を発症した
C美さんの具体例を紹介して、

精神疾患に由来する隷属化状況
という用語を導入しました。

今回は、
このシリーズの
この時点での一旦の整理と、

前回の補足を
試みてみましょう。

・・・

結局、
このシリーズを通じての
小椋のメッセージの一つは、

毒親、ということばが
あいまい過ぎるので、
別の言い方を開発しよう、
ということなのです。

私の親は毒親でね・・・、
と言うかわりに、

私の親は隷属化が強くてね・・・
と言い換えよう、
ということです。

そして、そのタイプが
三つある、つまり

隷属化パーソナリティ(ESP)
隷属化構造(ESO)、そして
精神疾患に由来する隷属化状況
というわけです。

三つ目は長ったらしいので、
enslaving condition due to
psychiatric disorder、
これを略して、
ESC、と呼びましょう。

つまり、
隷属化が強い親のうち、

精神疾患もなく、
社会適応も良好で、
弱点も見当たらない、
生粋の無敵な感じなら、
それはESP

精神疾患もなく
社会適応も良好だが
なんらかの弱点がありそうなら
それはESO

親が精神疾患を抱え、
その影響で親子の関係に
隷属化が生じているなら
それはESC
というわけです。

・・・

そして
隷属化が強い親を
いかに見切るか、

それによって
受けるダメージを
いかに少なくするか、
という点が
このシリーズの肝です。

そのために、
ESPをいわば
原型として位置づけて

その言動の
分析・整理をした結果が
以下だったわけです。

彼らは、

・子は所有物だ
・そう信じる権限が親にはある
と信じ、

・その権限が低下する事態は許されない
・よって実力行使が正義である
と考え、
※これを「考えの核心」と
呼びましたね。

・その権限が低下する事態に際して
(感じる機能としては)
怒りを発し、

(動く機能としては)
・子のすべてを支配しようとする
・そのためにあらゆる方法を駆使する、
と。

さらに、
「動く」に関しては
強要、制限、操作
彼らのお得意のパターンでしたね。

そして、彼らが怒るのは
子の隷属化を強化するためであり、

彼らの手の内は、
子を弱者の立場に置き続け、
怒りは間欠的にしか発さず、
密室化を守り通そうとする、
と見切ったわけです。

トラウマティック・ボンド
ストックホルム症候群などの
用語も紹介しましたね。

そして、
「考える」に関しては、

彼らは「考えの核心」を
カムフラージュするために、

4つの手の内がありました。

愛情の押しつけ、
正義の押しつけ、
沈黙、そして
全てを反対に解釈する、
でした。

・・・

これが、
隷属化する親の
原型としてのESP
特性です。

今回、注目したいのは、
ESPの「信じる」です。

・子は所有物だ
・そう信じる権限が親にはある
と信じる、その強さが、
ESPは圧倒的なのです。

ESOは、それが
弱まっている、と
イメージするとよいでしょう。

子は所有物だと
心底、信じているわけではないが、

自分の不安や恐怖への対処として、
子を所有物とする隷属化、という方法を
取ってしまっている、
というわけです。

そこへくると、
ESCにおける親は、

子は所有物ではないのに
自分の体調のせいで、
結果的に子を隷属化させてしまっている、
その自分を責めている、
という場合も多いです。

つまり、
子は所有物だ、
隷属化してよいのだ、という
確信の程度によって、
隷属化する親を、
ESPESOESC
分別できるぞ、
ということです。

・・・

さて、ここまで
整理した上で、

前回の、ESCについての
補足です。

前回は、双極性感情障害
発症してしまった
C美さんの具体例でした。

当然、ESCを引き起こす
精神疾患は、他にもあります。

というよりも、あらゆる
精神疾患が、程度の差こそあれ、
ESCを引き起こす可能性があります。

親の精神疾患による言動が、
子の隷属化を推し進める方向で
作用してしまえば、
ESCが発生するわけです。

アルコール依存症の場合なら、
酔った状態での暴言と
しらふの状態での優しさのギャップが、
「怒りの間欠的な爆発」という
隷属化の仕組みに合致してしまいます。
また、アルコールを買ってこさせる
強要なども、
隷属化を引き起こしますね。

統合失調症の場合なら、
妄想が活発で興奮した状態と
落ち着いた状態とのギャップや、
病状により育児困難となった場合の
ネグレクトによる制限、
家事困難となった場合の
家事の強要などがあり得ます。

注意欠陥多動性障害の場合なら、
イライラのスイッチが入ると
育児の中でついつい叩いてしまう、
でもそれ以外の時はとても優しい、
そのギャップが隷属化につながります。
お母さん自身がそんな自分を
なんとかしたいと
相談に来られる場合も
多いです。

自閉症スペクトラム障害の場合なら
そもそも我が子であっても
スキンシップが苦手な方が多く、
それを求める子を
邪険に押しのけてしまう、
こんなの、母親失格ですよねと
落ち込まれる方も
多いです・・・。

・・・

いかがでしょうか。

C美さん以外の
ESCの具体例が
イメージできたかと思います。

さて、
このシリーズもそろそろ
フィニッシュが見えてきました。

次回は、
ESPの「信じる」について
深掘りしてみましょう。

・・・

毒親対策について
取り組む時、

Do:  
隷属化する親の原型を
ESPとし、
そのESPの、子を
隷属化してよいとする信念が
弱化したタイプに二種、
ESOとESCがある、
と整理する。

Don’t:  
ESP、ESO、ESCが
整然と分類できると
勘違いする。

※その都度、お伝えしているように
ESOの中にも
かなりESPに近いタイプや、
ESCの中にも、
ESOや、ESPの要素が
入り込んでいるタイプも
あります。
ポイントなのは、
隷属化する親を見切るための
道具として、
これらの用語を利用しよう、
ということです。

いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、 
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