発達障害とは:少数派の生き延びる道
発達障害のテーマが続いています。
前回は、
TVドラマ『下町ロケット』
(WOWOW版)について、
少数派(つくだ製作所)と、
多数派(帝国重工)とが、
お互い、成長しつつ、
共通の目標に向かって、
共生していく物語、
という観点から、
そのあらすじをお伝えしました。
※あらすじを忘れた方はこちら↓
発達障害とは:TVドラマ『下町ロケット』が教えてくれること
今回は、
その物語から引き出せる、
PSMが希望を持って生きていくための
ヒントを、
お伝えできればと思います。
・・・
まず、この物語のエンジンは、
つくだ製作所の佃社長と、
帝国重工の財前部長との、
お互いの職業生命を賭けた、
ビジネス上の交流、です。
この交流から学べるポイントを、
3つ、挙げてみます。
1 会社から浮いた存在:その意義
佃社長も、財前部長も
会社から浮いた存在です。
その意義が、両者、すごく似ています。
佃社長は、
つくだ製作所という少数派の中で、
多数派の要素を体現しています。
宇宙科学開発機構の元研究員。
もともとは、多数派なんです。
社員は考えないような、
ロケットを飛ばすなんて、
夢を見ている。
財前部長は、
帝国重工という多数派の中で、
少数派の要素を体現しています。
社内の多数派を向こうに回し、
社是を覆す可能性のある交渉を続ける。
ドラマでは、セリフとして
言語化されてはいませんが、
おそらく、
妻が心臓疾患で
入退院を繰り返している、
その家庭の状況が
そのセンスに大きく
貢献しているように感じます。
妻は、少数派なのです。
少数派と多数派が共生できる時、
そのリーダーとなっている二人は、
お互い、相手の要素を持っている。
2 モノの流れが引き起こす変化
この交流は、
特許という権利を、
20億円で買い取る、
それだけの交流で終わっていたら、
起きていませんでしたね。
つくだ製作所の特許が、
バルブというモノに変換され、
そのモノが、
帝国重工に納品され、
自社ロケットというモノの一部に
組み込まれる。
これは、
個人レベルで言うなら、
性的交渉などの
身体レベルでの交流に相当します。
だから、双方の会社が
猛反対するわけです。
でも、
佃社長は、バルブを送り出し、
財前部長は、受け止める。
その勇気がなければ、
この交流は生まれていませんね。
3 共有できる夢
1、2の葛藤を、
破綻と決別ではなく、
共生へと
成長させることができたのは、
つくだ製作所と帝国重工とが
国産ロケットを飛ばすという夢を
共に見ることができたから。
最初から、あったわけではない。
つくだ製作所は、
そんなことより、経営難の脱出。
帝国重工は、
断固として、完全自社製品での
ロケット完成。
世界最高水準のバルブを通して、
つくだ製作所は、
特許を売ることなく、
目先の目標を超えて、
自分を成長させる夢を見ることができ、
帝国重工は、
社是を譲ってまでも達成しがいのある、
より完成度の高いロケット誕生の夢を
見ることができた。
・・・
では、
この3つのポイントを、
PSMとして
多数派と共生していく時に役立つ
コツにまで、
落とし込んでみましょう。
テーマが発達障害なので、
具体例は、
自閉症スペクトラムです。
1 佃社長
自分の中の多数派に、
PSMとしての自分の、
リーダになってもらおう。
100%PSM、
という方はいません。
多数派との共通要素を
何かしら、持っているものです。
宇宙のメカニズムを信じる
自閉症スペクトラムの方でも、
ヒトの世界と共有できる要素が、
必ず、あります。
その要素に、
自分が相手(多数派)と交流する時の
窓口になってもらう。
そして、
相手の中の
少数派を引き出すような、
コミュニケーションを続けよう。
そんなことが可能な、
財前部長のような、
多数派の相手との出会いを
あせらず、あきらめずに
待とう、そして
育てよう。
それは、
家族であっても、
友人であっても、
パートナーであっても、
支援者であってもよい。
2 バルブ
「特許」とは、
自分の存在意義。
それを
カタチにすることを
怖れないようにしよう。
ヒトの世にいながら、
ヒトよりも
宇宙のメカニズムを信じる、
そんな自分の、
存在意義は?
ヒトには見えないものが、
見える。
そして、
それを愛せる。
そのカタチが
多数派の基準で評価される時、
ものすごく、怖い。
でも、財前部長がいれば、
その怖さにも、慣れていける。
そして
そのカタチが、
少数派と多数派を深くつなげる
チャンネルになっていく。
3 ロケット
自分の未来の夢を、
自分の幸せだけでなく、
多数派の幸せをも組み込んだものに、
育てていこう。
自分の特許を
カタチにしたバルブ、
それは、
自分のためではなく、
多数派の幸せのために
役立てよう。
その時、多数派も、
多数派がもてる力を、
少数派のために役立ててくれる。
この共生の循環の力が、
浮いている立場の孤独、
カタチにすることの恐怖、
モノが交流することの軋轢を、
生き抜くことの、
原動力になってくれる。
・・・
さて、
自分が発達障害かどうか、
気になる時、
診断がどうであれ、
PSMとして、
多数派と共生するために、
Do:
自分にとっての、
「特許」は?
「バルブ」は?
「ロケット」は?
「財前部長」は?
と思いを巡らしてみる。
Don’t:
多数派との共生を
最初からあきらめてしまう。
さて、今回は、
ちょっと抽象的だったと思います。
なぜでしょう?
その理由は、
『下町ロケット』の世界を
精神科領域で実践している実例を、
私たちがまだ、知らないからです。
これから、
私たちが、つくっていくしか
ないからですね。
実例を、
つくっていきましょう。
いかがでしたでしょうか?
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