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2017/06/03

うつ病の治し方:あなたのその感情は、ほんとうですか?

感情リテラシーに関する、
読者の方からの質問にお応えします。
(ご本人の了承済み)

・・・
(原文ママ)
感情について、
前から、
先生に聞いてみたいことが、
ありました。

感情リテラシーの記事で、
「感情とは何か」について
書かれていますね。

感情とは、
生存競争を生き残るための
行動を取る際に、
必要な「情報(サイン)」と考える。

感情には多くの種類があり、
それぞれ、特定の状況で、
特定の感情が発信され、
必要な行動が発動される。

状況 → 感情 → 行動 、
という機能的なユニットとして考えるように、
私は意識しています。

質問は、アドラー心理学の
「感情」の捉え方なのですが、

「目的論」の観点から、
先に目的としての行動があり、
感情は、その目的(行動)のために作り出している、
という考え方です。

例えば、引きこもりの人。
「不安だから、外に出られない」
のではなく、
順番は逆で、
「外に出たくないから
不安という感情を作り出している」と考えます。

その他の様々な感情についても、
そのように考えられます。

「人は怒りを捏造する」、
怒りとは出し入れ可能な「道具」である。
感情とは、
目的を果たすための「道具」として、人は使っている。
確かに、
そんな面もあるかと、思います。

先生は、
どのように、思われますか?

・・・

感情って、
目的のために、
自分で作り出すことが、
できるんでしょうか?

皆さんは、
どんなふうに、思いますか?

小椋は、あると思います。

ご質問にあった、
引きこもりを例に、

架空のケースを用意して、
ご説明しましょう。

・・・

エピソードとして、
以下のことが、一回、ありました。

下校時、
チカンに襲われそうになって、
すごく恐かった。

この、中学生のA子さんが
引きこもりになりました。

A子さんは、
外出するとその危険があるから、
不安。
だから、外出できない、
と自覚しています。

不安→引きこもり、
という、
感情と行動の、
ユニットですね。

これは、一回はあったが、
毎回、そうなるとは、
A子さんも、思ってはない。

さて、この時、
家族全体を見ると、
少なくとも、
2つのパターンが、
考えられます。

<パターン1>
両親が理解してくれない

さみしい

両親にアピールする「行動」

この「行動」の中身に、
先ほどのユニットが、
「利用されている」、
という状況が、あり得ます。

実際、不登校になった方が、
両親が親身になってくれる、
そんな場合、
まさに、アピールは成功です。

A子さんは、
さみしい、
を自覚できていない場合、
不安の方しか、
自覚できない可能性が高いです。

そして、この、
両親とのやりとりのループが
回れば回るほど、
先ほどのユニットが、
強化されてしまう。

そこまで、
外出を不安に思わなくともよいはずなのに、
どんどん、不安になる。

<パターン2>
両親が理解してくれない

怒り

両親を攻撃する「行動」

この「行動」の中身に、
先ほどのユニットが
「利用されている」、
という状況も、あり得ます。

実際、不登校になった方が、
両親のダメージが大きい、
そんな場合、
まさに、攻撃は成功です。

その後の状況は、
パターン1と、同様。

・・・

さて、いかがでしょうか?

つまり、
状況→感情→行動という
ユニットの中の、

行動、の部分に、さらに

感情→行動のユニットが、
入れ子細工で
組み込まれている・・・

ちょっと、複雑ですかね?

でも、
感情リテラシーのスキルが、
状況の改善に、
あまり効いていないように感じる時、

より大きな枠組で、
状況を見直してみることを
オススメします。

実は、ここでも、
昨日のメルマガのテーマだった、
メタ・コミュニケーターの存在が、
ポイントになります。
詳しくは、こちら↓
うつ病の治し方:感情リテラシーのコツ

A子さんに、
それが、育っていれば、

A子さんの自覚が乏しい、
さみしさや、
怒りの感情について、

セラピストが自覚を促すかかわりが、
効果的となります。

それが、育っていない場合、
「あなたは、ほんとうは
さみしいのよ」などと、説明しても、

「は?あんた何言ってんの?」と
セラピーが中断するだけ、でしょう。

さて、
感情リテラシーに取り組んでも、
効果が上がらない時、

Do:
自分が自覚していない
感情があるかもしれない、
と疑ってみる。

Don’t:
自覚している感情についてだけ、
感情リテラシーを適用し、
結果的に、
不適応な
感情→行動のループを
悪化させてしまう。

この臨時増刊号は、
感情リテラシーの
応用編でした。

かなり込み入った状況でも
整理の指針になることを
実感してもらえると
いいですね。

いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、
ぜひ一度、お問い合わせください。