精神科の薬とのつき合い方
今日は、精神科で処方される薬、
向精神薬(こうせいしんやく)との
付き合い方、についてのお話です。
ここで、向精神薬とは、
psychotropic drugs;
精神作用に影響を与える薬物で、
現在、日本で、
医療保険の適応のある治療薬、
と限定しておきましょう。
さて、みなさんは、
向精神薬について、
どんなイメージをお持ちですか?
初診の外来で、小椋は必ず、
それを確認します。
絶対、そんなもの飲みたくない!
と断固、拒否される方、
副作用は、大丈夫ですか?
と、メリット、デメリットを
確認される方、
とにかく、何か出してください!
と切羽つまった方、
先生にお任せします…
と丸投げの方…
など、千差万別です。
それぞれの方に、
向精神薬についての、
十分な情報提供をしようとすると、
一冊の本でも、
足りないかもしれません。
それぐらい、
自分にあった
「付き合い方」をみつけるのは、
そして、
そのサポートをするのも、
簡単ではないですね。
特に、
その状況に拍車をかけるのは、
多剤併用、大量投与の害悪や、
「お薬に頼らない治療」を伝える、
各種メディアの情報と、
どんどん新薬を開発する、
製薬会社の宣伝、でしょう。
その不安と期待の間で、
右往左往してしまう、
そういう状況だと思います。
一方で、
治療歴が長く、
向精神薬の内服で
病状が落ち着いている方などは、
このままでいいです、
やめるほうが不安です…
そんな方もおられます。
では、どうすれば
いいでしょうか?
まずは、
臨床現場での、
向精神薬に関する、大原則を
処方する側から、
整理してみましょう。
①:向精神薬は精神作用に
変化を起こすことはできる。
・「効かない」という言い方は、
あいまい。
変化を起こすことはできます。
・「効く」という言い方も、
あいまい。その変化が
望む「効果」かどうか、
その評価が必要。
・例えば、うつで休職中の方が、
抗うつ薬で、おっくうが改善し、
入浴ができるようになった。
でも、復職するまでの
元気はでない。
効いてる?効いてない?
・つまり、処方する前に、
何の変化を期待するのか、
具体的に設定しておくことが、
とても重要です。
・そうしないと、患者さんに
有益か有害か、判断できません。
・もちろん、その変化には、
副作用も含みますね。
②:その変化を治療全体に活かす
「作戦」が必要。
・内服による変化が、すべての
問題を解決する、そんな魔法を
期待するのは、残念ながら、
現実的ではありません。
・内服で期待できるのは、
多くの場合、
一番しんどい症状から脱出し、
療養生活に余裕がでる、
という変化でしょう。
・その先は、その余裕の中で、
内服以外の「作戦」、例えば、
疾患の理解や、
生活リズム維持、
リハビリなどに、
取り組むことになります。
③:その変化を、
自分で起こすことができれば、
向精神薬は、不要になる。
・そんな、無理でしょう?!と
思われますか?
・でも、病状が改善し、
徐々に内服を減らし、
治療終了を目指す場合は、
まさに、そういうことが、
起きているんですね。
これを、
内服する側の立場で
言い換えると、
向精神薬を内服するなら、
Do:
どういう変化を期待するのか、
具体的に自覚し、
その時点で可能な限り、
メリット、デメリットを勘案し、
他の「作戦」も必要だと
理解した上で、
その変化を、
自分で起こす方法はないかと、
イメージしつつ、
内服する。
Don’t:
内服だけでなんとかなると思い、
内服で何がどう変化するかに
頓着せず、
内服以外の行動をとらない。
今回は、
軽症から中等症の方が、
初めて向精神薬を内服する場合を、
イメージして
まとめています。
いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、
ぜひ一度、お問い合わせください。