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2017/12/24

統合失調症の回復:箱庭療法などの表現療法の意義


前回は、
統合失調症の方の
体験する世界を、
少しでも想像できるように、

フィルターの例えで、
典型的な症状を説明しました。
こちら↓
統合失調症とは何か:症状を理解するためのヒント

今回は、
クリニックに通院中の
統合失調症の方
(男性:仮名Aさん)が、
YOUTUBEに投稿している
動画(音声のみ:2分弱)を
ご紹介します。こちら↓
「統合失調症から回復したきっかけ」

偶然、
箱庭療法という心理療法を
TVで見て、
それをヒントに、

砂に絵を描く、という
自分なりの方法を見つけて、

それが、きっかけになり、
今では家事ができるまでに、
回復した、
という経過を話してくれます。

この方法だけで
回復したわけではなく、
薬物治療も並行して行った、
とも語っています。

薬物治療で、
いちばんしんどい、
幻聴や被害妄想、興奮は
おさまっていたが、

そこから先の回復に
足踏みをしていた時、
その方法が、役に立った、
ということだと思います。

・・・

箱庭療法とは、
幅:72cm、奥行き:57cmで、
高さ7cmの木箱に、
砂が敷き詰められていて、

そこに、
人、動物、植物、
建物、乗り物などの、
ミニチュアのフィギュアを、
自由に配置していく、
表現療法の一つです。

これ、
童心に帰る感じで、
とてもウキウキしますよ。

Aさんは、
この箱庭療法の持つ、
いちばん本質的な要素、

つまり、
砂と戯れる、
という部分を、
直感的に抽出したことになります。
(スバラシイ…)

・・・

砂と戯れるって、
どういう心理的な効果が、
あるのでしょうか?

ズバリ、
「大地」とのつながりを、
心理的に取り戻す、
ということになります。

「大地」とは、
自然の四元素、
空気、水、地、火、
の中の「地」、ですね。

関連記事は、こちら↓
睡眠とリラックスのための呼吸法:大自然との回路を取り戻そう

地、といっても、
山や岩、洞窟など、
いろいろな表情をもっていますが、
砂、は、
その中で、いちばん、
やわらかい。

だから、
こちらからのアプローチに対して、
よく反応してくれる。
(だから、絵が描ける)

「大地」とコンタクトをとるとき、
最初のとっつきとしては、
砂は、とてもやりやすいのです。

・・・

これが、なぜ、
統合失調症の回復に、
効果があったのでしょうか?

統合失調症では、
何が現実で、
何が非現実か、
わからなくなってしまいます。

お薬で、
目立った症状が治まった後でも、
その混乱は、
実は、こころの中では
続いているのです。

そんな時、
こころが
「大地」とコンタクトが取れるようになると、

どの方向が「大地」で、
どの方向が「天空」なのか、

こころの中の、
いわば「方位」が
回復してくるのです。

その結果、

何が現実で、
何が非現実か、
より明確に
感受できるようになってきます。

その結果、

自分の意思、
自分のからだ、
自分の行動が、
よりリアリティーを持ち始め、

もう一度、
家事ができるまでに、
回復していくのです。

・・・

統合失調症は、
確かに、脳という臓器の、
機能の異常を伴います。

だから、
脳の機能を修正する薬物治療が、
ある一定の効果を持つのです。

でも、
その修正だけでは、

統合失調症で失った
こころとからだのバランスは、
取り戻せない場合が多いです。

Aさんの
「砂に絵を描く」取り組みは、

そのバランスを取り戻すための、
薬物療法以外の、
心理的な「リハビリ」だったのです。

・・・

さて、
統合失調症の治療を考える時、

Do:
薬物療法だけでなく、
箱庭療法なども含めた、
心理的なリハビリも大切だと認識する。

Don’t:
薬物療法だけに終始し、
心理的なリハビリの必要性を考慮しない。

いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、
ぜひ一度、お問い合わせください。