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2018/07/23

精神障害者と起業③:少数派と多数派の相互理解とは


さて、今回も、前回に続き、
H30/6/30に行われたイベントの報告、
その2回目です。

前回はこちら↓
精神障害者と起業②:コミュニティーを作りサポートプログラムを準備しよう

・・・

小椋のプレゼンの後、
発達障害Bar「BRATs」のマスター、
光武さんが登場。

開始時刻が遅れたせいで、
駆け足のトークになって
ちょっと残念でしたが、

バーを立ち上げるに至った思い、
特に、
発達障害の特性による
生きづらさについて、
ご自身の個人的体験を交えて
語って頂きました。

印象的だったのは、
自身の特性によって、
パートナーが傷つき、
離婚となったエピソードでした。

生きづらさ、という場合、
わかってもらえない、
とか、
ひどい仕打ちを受けた、
とかのエピソードが
多くなりがちですが、

光武さんの場合、
お互いさまだよね…
という
悲しみが漂いました。

確かに、そうなんです…

クリニックで小椋は、
職場の無理解に疲弊する
発達障害のPSMの方の
サポートをすると同時に、

発達障害のご主人の、
こころを逆なでする言動で
うつが治らない…
そんなご婦人も、
サポートしているわけですから…。

・・・

PSMという見方は、
精神障害者と健常者、
という構図から離れて、

少数派と多数派、
という構図にシフトさせ、

双方の共生を目指すことに、
その意義があります。

少数派が被害者で、
多数派が加害者だ、
などの画一的な見方に
固まってしまうと、
その意義が見えなくなってしまいます。

光武さんが、
あまりご自身のことを
少数派だと規定したくない、
そんなセンスをお持ちなのは、

規定することの不自由に
敏感だからなのでしょう。

・・・

イベントの質疑応答では、
多数派の人も、
生きづらさをかかえている、
という発言が、ありました。

それに応じるかたちで、
ちょっと、込み入っていますが、
以前より小椋が考えていたことを、
お伝えしました。

光武さんのセンスとも
深く関係しているからです。

・・・

少数派(PSM)に対して、
多数派を、
サイコソマティック・マジョリティ
(psycho-somatic majority:PSMJ
と呼びましょう。

PSMJの方は、
社会生活の中では
健常である多数派として、
ふるまっています。

これを、
PSMJ as a role
(PSMJアズ・ア・ロール)
(社会的役割としてのPSMJ)
と呼びましょう。

でも、実は、
PSMJの方の中には、
密かに、こころの内に、
多数派ではない感受性を
抱えている方、います。

これを、
PSM in you
(PSMイン・ユー)
(あなたの中のPSM)
と呼びましょう。

多数派の方の生きづらさとは、
PSMJ as a roleと、
PSM in youとの、
葛藤の苦痛なんだ、
と言えると思います。

仕方なく、
サラリーマンをやっているが、
本当は、
人工知能の可能性を極限まで
追求したSF作品を執筆したくて、
密かに最先端の論文を読みまくっている…
とか。

平たくまとめると、
as a roleというのが表、
in youというのが裏。

・・・

これと全く同じこと、
PSMの方にも、言えます。

精神科に通院し、
障害者手帳を持っている、
それは、
PSM as a role

でも、実は、
PSMの方の中には、
密かに、こころの内に、
少数派ではない感受性を
抱えている方、います。
(というか、多いです。)

ちゃんと学校を出て、
定職について、
家庭をもって、
子供を育てて…
それがまっとうな人生だよね…

そんな、ゴリゴリの
多数派の価値観を
こころの内に持っている…

それ、まさに、
PSM as a roleの中の、
PSMJ in you、なんです。

PSMの方の生きづらさは、
単に、
PSMJの方に理解されにくい、
というだけでなく、

自分の中の、
PSMJ in youに、

PSM as a roleの自分を
否定され続ける、
その苦痛があるんです。

・・・

光武さんの場合、
パートナーと別れることを通じて、
自分の中に、

自覚のないまま、
自分と価値観や感受性の違う相手を
傷つけてしまう…

そんな、
自分が多数派からされたことと
同じことをしている自分を、
発見してしまったのでしょう。

PSMJ in youを、
発見してしまったわけです。

光武さんが、
PSM as a roleの自分と、
自分の中のPSMJ in youとの
折り合いが、
つけばつくほど、
今後、出会ったパートナーとは、
うまく行くでしょう。

・・・

ややこしい言い回しに
慣れてもらえば、

PSM as a role、の中の
PSMJ in you、を抱えた
PSMの方と、

PSMJ as a role、の中の
PSM in you、を抱えた
PSMJの方が、

どのように
コミュニケーションをとればよいか、
見えてきます。

お互いが、
自分の中にある、
相手を知って、

目の前の相手を
理解しようとする、
それに、尽きます。

・・・

光武さんは、
それを始めています。

そして、それは、
ビジネスをやっていく上で、
とてつもなく、
重要なことなんです。

だって、
PSM as a roleとして、
ビジネスをやっていくということは、

PSMJ as a roleの方と、
コミュニケーションを取り、
そこで価値を提供し、
対価を得る、ということだから。

・・・

さて、
精神障害者でも起業できるのか
という不信がよぎる時、

Do:
起業にチャレンジするという
プロセス自体が、
少数派と多数派との
交流と相互理解を促し、
お互いの尊い自己成長の機会に
なり得ると知る。

Don’t:
少数派は
多数派に理解されることはないと、
起業の選択肢をあきらめる。

いかがでしたでしょうか?
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