森田療法入門②:恐怖突入とは?
さて、前回に続き、
森田療法がテーマです。
前回は、パニック発作を例に、
精神交互作用という悪循環が、
いかに発作を生み出してしまうか…
それを一緒に、確認しましたね。
前回は、こちら↓
森田療法入門①:精神交互作用とは?
※悪循環の図を、
アイキャッチ画像にしています
念のため、4つの機能を、
以下に、再掲します。
<信じる>
自分は発作に耐えられない(A)
<考える>
発作はまた起きるだろう(B)
<感じる>
感情:恐怖(C)
感覚:動悸(D)
<動く>
実際の心拍(E)
・・・
この、
精神交互作用という悪循環を
いかに断つか。
それが、
治療のポイントに
なるわけです。
CやDに過剰に注目せず、
からだに起きている、
別の情報に注目する…
それが、
このメルマガでも紹介してきた、
チャンネルという考え方を用いた
対処法でした。
・・・
今回は、
森田正馬が実際に行った
治療例をご紹介します。
パニック障害の中年女性。
夜にパニック発作が起きることが多く、
予期不安から、
布団に横になることができない。
特に、
横向きで寝る時、起きやすい。
森田先生の指示は、
次のようなものでした。
・・・
むむむ…
患者さんも、
森田先生も、
気合い、
必要ですよね(苦笑)
で、どうなったか?
・・・
患者さんの報告は…
森田先生が、
また発作が起きる心配があるか、
と問うと、
・・・
さて、一体、
何が起きているのでしょうか?
今まで発作を引き起こしてきた
精神交互作用の悪循環の回路が、
一晩のチャレンジで、
跡形もなく破壊された、
とは、言えます。
どうやって?
その晩の患者さんには、
予期不安が、
なくなっていました。
また発作が起きるだろうか?
起きたら怖い…
できるなら、起きないで欲しい…
そんな予期不安が、
「自ら発作を起こす」
「そしてそれに耐える」
ことを決意した瞬間から、
消滅したわけです。
もちろん、
すごい恐怖の感情が
あったはずです。
森田自身は、そのことを
「恐怖そのものの内に突入した」
と表現しています。
※森田療法では
「恐怖突入」という言い回しがあります。
つまり、
Cの部分が、
今までは、
恐怖、というよりも、
恐怖を回避するための予期不安だった。
それを、実際に
恐怖として体験した、
ということになります。
恐怖、という感情を、
受容した、
という言い方もできます。
受容する、
ということができる状態なら、
Dも、Eも、
平穏です。
・・・
こんなことが、
どうして、できたのでしょうか?
それは、Aが、
大きく、変化しているからです。
私は、発作に耐えられる、
と信じて、その晩に望んでいる。
そして、Bが、
だから私は、自分から発作を起こしても、
大丈夫…、という
真逆の考え方に、シフトしている。
それが、
なぜ、できる?
結局、
森田先生と、その患者さんとの
信頼関係が、それを可能にした、
という他、ありませんね。
・・・
信じる、
というヒトの機能は、
だから、
すごく、重要なのです。
パニック発作の、
精神交互作用の悪循環を断つ、
その原動力に、
なるのです。
そして、現在の
スタンダードな精神科医療は、
提供する側も、
受け取る側も、
信じる、という
ヒトの機能を、
実は、そこまで、
信じていないのだと思います。
・・・
今回のケースは、
恐怖と不安に関する、
感情リテラシーとも言えます。
実は、
森田正馬の原典を読むと、
ものすごく、
感情リテラシーについて、
含蓄の深い内容に出会えます。
次回は、
今回のケースを、
感情リテラシーの観点から、
補足する予定です。
・・・
森田療法に興味があるが、
親しみにくいと思った時、
Do:
感情リテラシーの
一つの実践方法だと理解する。
Don’t:
なんだか難しそう…
と食わず嫌いに終わる。
(前回と同じ)
いかがでしたでしょうか?
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ぜひ一度、お問い合わせください。