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2020/01/06

コツコツやるためのコツとは(その6):標的症状の設定のコツ



今回も、前回の続きです。
前回は、こちら↓

前回、
標的症状を適切に設定することが
コツコツやるモチベーション維持に
重要だけど、
適切って、難しいよね、
という話題がありました。

今回は、そのコツを
お伝えします。

・・・

45才、男性、
会社の係長Aさん
架空の例です。

初診までの経過を
箇条書きに記します。

4月職場異動あり。
今までのようなやりがいがなくなり、
不慣れな業務で不安と緊張の連続。

5月寝付きが悪くなり
便秘がひどくなった。

6月:妻からみて
笑顔がなくなった

7月気分がふさぎ
いろいろなことがおっくうに感じ、
Aさん自身が変調を自覚した。
週末は、終日、寝ていることが増え、
趣味の読書もできなくなった。

8月食欲、体重が低下した。

9月:寝付きだけでなく、
夜中、途中で頻繁に起きるようになった。
職場で今まででは
考えられないようなミスが続いた。

10月:理由もなくイライラし、
訳もなく動悸がして、
今まで思ってみたこともない、
死んだ方が楽なんじゃないかという考えが
頭をよぎった。

11月:ある日、
激しい頭痛と嘔気で出勤できず。
精神科を初診。
うつ病と診断され自宅療養に。

・・・

さて、うつ病の療養に入った
Aさんの、最初の標的症状は、
何にすれば、よいでしょうか?

皆さん、
いかがですか?

・・・

4月から始まって、
11月の初診まで、
どんどん、症状が積み重なり、
ひどくなっています。

いわば、
もとの階(4月)から
どん底階(11月)まで、
下降し続けた、という状況です。

ここで、
一つ、上の階に戻ろうとする時、

その標的症状は、
直近の下降で悪化した症状にする、
という原則が、役に立ちます。

Aさんの場合、
頭痛と嘔気、ですね。
その標的症状なら、
自宅療養に入って
うつ病の療養が軌道に乗れば、
2週間程度で、回復する可能性が高いです。

ただし、その原則なら、
出勤できなくなった、
という症状も、標的症状にできそうですね。

でも、それは、やめた方がよい。
なぜなら、実は、
9月の時点で、自宅療養に
入っていた方がよかったのに、
無理をして、
11月まで、働いてしまったから。

この辺りの判断は、
原則だけでなく、
担当医の経験値が必要ですね。

・・・

でも、
頭痛と嘔気がマシになったら、
次の標的症状は、
どうすればよい?

そこは、原則に沿って、
10月に出てきた症状、つまり
動悸、イライラ、死にたい気分、
に設定すればよい、
ということが、見えてきます。

そして、この時点では、まだ、
食欲の回復や、
読書に対する意欲などは、
標的症状として設定するのは、
早すぎる、という見立ても
可能になりますね。

こんな調子で、
少しずつ、
上の階にもどる度に、
そこで悪化した症状を
標的症状として設定するわけです。

・・・

このような
標的症状の設定の仕方を
全部、自分でできるようになる、
それをAさんに求める必要はないですが、

担当医が、どのような考え方で、
標的症状を提案しているのか、
その舞台裏を知っておくことは、

その標的症状の改善が、
自分の主訴の改善につながるぞ、
と信じるために、有用です。

・・・

コツコツ 
療養に取り組むことが 
難しい時、 

Do: 
標的症状の適切な設定には
原則があることを知る。

Don’t: 
担当医が設定する
標的症状の改善が、
自分の主訴の改善に
つながると信じられず、
コツコツ取り組む
モチベーションを失う。

次回は、
このAさんの例で、
標的症状のいろいろな
数量化の方法について
見てきましょう。

いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、 
ぜひ一度、お問い合わせください。