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2020/01/19

コツコツやるためのコツとは(その7):量と質で評価しよう



さて、今回も
コツコツ療養に取り組むための
ヒントをお伝えするシリーズ、
その7回目です。

前回は、こちら↓

45才男性の係長Aさんを例に、
療養の中で、
どうやって標的症状を
順々に設定していくのか、
そのコツを見てきました。

4月の職場異動に始まり、
11月の受診に至るまでの、
うつ病の症状の悪化の系列を、
逆にたどって、設定すればよい、
という原則をご紹介しました。

今回は、
それらの一つ一つの
標的症状に対して、
どんな見方をすれば、

そのわずかな変化を捉えて、
コツコツ療養に取り組めるようになるか、
その辺りをお伝えします。

・・・

一番、療養の現場で多い、
残念なパターンは、

よーく、丁寧に観察すれば
標的症状は改善しているのに、
そのわずかな、
繊細な変化が認知できず、

ぜんぜん私よくなってない!
とイライラするパターンです。

ポイントは、
一つの標的症状を、
量と質
その二つの観点から
チェックすることです。

Aさんの例に出てきた
いくつかの症状について、
順に、見て行きましょう。

・・・

<睡眠>

寝付きが悪い(入眠困難)、
途中で起きる(中途覚醒)、
これらは、ある程度、
量としてチェックできます。

寝付くまでに一時間近く
かかっていた方が、
30分ぐらいで寝付けるようになったなら、
依然として、入眠困難ではありますが、
睡眠は、改善しています。

中途覚醒も、
一晩で、2時間おきに、
3回は起きる方が、
1〜2回ですむなら、
睡眠は、改善しています。

また、2時間おきに
起きたとしても、
再度、寝付くまでの時間が
短くなっているなら、
睡眠は、改善していますね。

睡眠の、
量ではなく、質での評価には、
悪夢の程度や、
朝、起きた時の熟睡感などが
参考になります。

悪夢がひどいと、
朝、起きた瞬間に
グッタリと疲れています。
これ、かなりしんどいです。

仮に、睡眠の量的評価が
あまり変わらなくても、
悪夢と、朝のグッタリ感が
マシになっているなら、
睡眠は、改善しています。

仮に、これらすべてが
パッとしなくても、
不眠による日中の眠気が
減っているなら、
睡眠は、改善しています。

睡眠がとれているかどうかの
最終的なチェックポイントは、
日中の生活に、
どの程度、支障があるか、です。

不眠による日中の眠気、
という支障が、減っているなら、
睡眠は、改善しています。

逆に、睡眠の質的評価に
あまり変化がなくても、
量的評価に改善があるなら、
睡眠は、改善しています。

・・・

むむむ・・・
睡眠の話しだけで
これだけの文字数に・・・。

でも、この程度は、
現実に起きていることを
しっかり観察しないと、

コツコツやるための
モチベーションを確保する、

そのための、わずかな、
でも、よい変化、という宝ものは
見つからないのです。

・・・

<読書>

Aさんの場合、7月頃から、
好きだった読書が
できなくなりました。

標的症状として、
読書ができない、を
取り上げた場合、
具体的に、どのように
その改善をチェックしていけば
よいでしょうか?

量としては、

休憩を入れるまで
連続して何分、集中できるか。

休憩を入れて、
一日合計、何分、集中できるか。

などが、わかりやすい
チェック項目になるでしょう。

でも、うつ病の療養の初期では、
以前、手にとっていた文庫本などは
5分も持たない場合があります。

もう、細かい文字を見ただけで
吐き気がしてきたりします。

それなのに、
「以前はこれぐらい読めていたのに!」
と文庫本と格闘し続けると、

昨日は、5分もったが、
今日は3分も無理だった・・・、
と挫折する・・・。

だから、
質の設定が、とても重要です。

小さい文字ばかりの文庫本ではなく、
写真集など、画像の割り合いが多い
大判の本が、
リハビリのスタートとしては
適切です。

それを、椅子にすわって
パラパラ、5〜10分でも
見渡せたら、
読書は、改善しています。

その後は、
写真の多い週刊誌や
写真の多い料理本、

その次は、
好きな記事だけを眺めればよい
という気分で新聞に向かい、

その後、やっと、
以前から興味のあったテーマの
軽い新書を手に取り、

その後、やっと、
登場人物の多い
複雑な展開の推理小説の
文庫本にチャレンジする・・・。

このレベルに回復していれば、
量の評価が、
しやすくなっているでしょう。

よし、今日は、
30分連続で、読めたぞ・・・、
などなど。

同じ「読書」と言っても、
この程度は、
質の設定を調整した上で
取り組まないと、

なにもよくなってないじゃん!
という残念な結果に
なってしまいます。

・・・

コツコツ 
療養に取り組むことが 
難しい時、 

Do: 
標的症状の改善は、
量と質とでチェックし、
その変化を丁寧に、
かつ総合的に評価する。

Don’t: 
標的症状の
注目しやすいポイントのみをチェックし、
そこに何も変化が
起きていないからと言って、
何も改善していないと速断する。

いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、 
ぜひ一度、お問い合わせください。