2020/08/09
アプリ「みっぷ」に込められた願い⑥:パンデミックではなぜ階層喪失が起きるのか
さて、ジラールの話題が
続きます。
前回は、こちら↓
そこでは、
学校での集団のいじめを例に、
階層喪失が起きると、
現代でも、
供犠(くぎ)に相当する現象が
起きてしまうよ、
というお話でした。
今回は、パンデミックでも、
同じことが起きるよ、
というお話です。
※パンデミック:
ある特定の感染症が
世界規模で流行すること。
・・・
このシリーズの3回目、
架空の部族の神話で
お伝えしたのは、
お互いが殺し合うような、
暴力の連鎖が起きると、
階層喪失を引き起こし、
社会を危機に陥れる、
という流れでした。
パンデミックって、別に、
お互いが殺し合ったりは
しないのに、なぜ、
階層喪失が
起きるのでしょうか?
・・・
パンデミックでは、
誰もが、感染するリスクから
逃れられません。
有名な芸能人であろうが
一国の首脳であろうが、
美人であろうが
大富豪であろうが、
学歴優秀であろうが
スポーツ万能であろうが、
感染するときは、
感染します。
つまり、感染症が、
社会の階層構造を
あっさりと乗り越えて、
あらゆる人間を、
同じ土俵に、
乗せてしまうのです。
これ、まさに、
階層構造の、
過激な破壊、ですね。
だから、
パンデミックでは、
階層構造を回復しようと
社会がのたうちまわるのです。
供犠(くぎ)に相当する
社会現象が、出没するのです。
かなり、
典型的な供犠の様相に
近いものから、
一見、それとは
無関係のような事件まで、
いろいろ、ですが。
・・・
いま、たまたま、
私たち、100年に一度の
パンデミックに遭遇しています。
日々、報道される
ニュースの中にも、
ジラールの理論で
クリアに見通せるものが多いです。
例えば、自粛警察。
リスクある行動を取る者を
過剰に排除しようとしますね。
そこに、一線を引くことで、
階層を
回復しようとしているわけです。
例えば、
俺、コロナと叫んで
役所の業務を妨害する事件。
感染者として
社会から排除されたと
感じている者が、
一発逆転、
その立場を逆手に取り、
まるで神の力を手にした者のように
相手を威嚇する・・・。
これは、
供犠を通じて
神が誕生する神話を
一人で演じていると言えます。
・・・
いろいろな事件が
起きる中で、
一番、現代の供犠(くぎ)に
近いのは、
医療従事者への差別と、
その同じ者に対する、
とってつけたような
ありがとうコール、でしょうね。
SNSでは、よく唐突に
「医療従事者の皆さん、ありがとう」
のメッセージ、
見ますよね。
※そのメッセージを投稿された方には
ごめんなさい。
これ、まさに、
感染リスクの高い医療従事者を
いけにえとして
排除しながら、
同時に、
神のように奉る、という
神話(表)を紡ぎ出すことで、
ほんとうのこと、
つまり、
現場の医療従事者の実情や、
いけにえにされることの苦しみ、
そして、現代になっても
繰り返される、
供犠(くぎ)という人間の業について、
(つまり、この事件についての
神話(裏)ということですね)
それを、なかったことに
してしまうわけです、
社会が、
集団で、
よってたかって・・・。
・・・
この分析が、
なるほど、と腑に落ちたなら、
ここまで、このシリーズに
お付き合い頂いた甲斐があります。
学問とは、このように、
いま、ここで起きている現象を
どれだけ、透徹に見切れるか、
それに役に立たなければ
意味ないですね。
もし、いまいち、
まだ、腑に落ちない・・・
という方は、
メンドウですが、是非、
このシリーズ、
読み返してみてください。
さっきの、
医療従事者の差別の分析が、
このシリーズの、
重要な到達点です。
なぜなら、
次回のテーマである、
精神障害者の差別の分析を、
飲み込めるかどうかが、
その理解に、
かかっているからです。
・・・
みっぷをきっかけに
ジラールの理論を学ぶ時、
Do:
新型コロナのパンデミックの中で
医療従事者が被る差別についての
今回の分析を通じて、
ジラールの理論が
役に立つな、と実感する。
Don’t:
次回もジラールの話が続くことに
恐れをなす。(苦笑)
(前回と同じ)
いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、
ぜひ一度、お問い合わせください。