2020/08/22
ムドラー・セラピー入門⑦:アリー(盟友)としての身体
さて、今回は、
ムドラー・セラピーのシリーズ、
最終回です。
前回はこちら↓
・・・
さて、今回は、
ムドラーのセット、
<恐怖と不安の軽減 その2>
についての解説です。
以前、ご紹介した
その1、は、
イメージとしては、
恐怖と不安を
「受け入れる」
という感じでした。
今回の、その2は、
「対決する」
というイメージでしょうか。
・・・
【パワフル・エナジー】
小指って、
五本の指の中で、一番、
ひ弱な感じですよね。
でも、からだを使う
いろいろな技芸の中で、
けっこう、重要です。
竹刀でも、バットでも、
ギターのネックでも、
フラメンコの手の動きでも、
「握る系」のもの、
小指の握り、ポイントです。
天然には、ひ弱だから、
鍛える余地がある、とも言えますし、
地味でも、要(かなめ)として
重要、と言も言えます。
また、部隊に例えるなら、
親指が先頭のリーダーで、
小指は、一番後ろの、
敵から部隊を守る
「しんがり」役とも言えます。
・・・
この例え、
このシリーズでお伝えした、
腹側、背側、の話にも、
つながります。
両腕を、「前に習え」で
突き出した時、
腕の内側(手のひら側)が腹側、
外側(手の甲側)が背側、
ですね。
この状態で、
前腕を、肘からひねって、
手のひらが下を向くようにすると、
親指側が腹側、
小指側が背側、となります。
は? それがどうした?
お伝えしたいのは、
小指が、
背側とつながっている、
ということなのです。
背側って、
防御する側の
イメージでしたよね。
実際、手刀では、
小指が、刃の役目を果たします。
※手刀(しゅとう):
空手で、親指だけを曲げ、
他の指をそろえて伸ばした型。
小指側で相手を打つ。
さらに、実は、
中医学の経絡説では、
小指から始まる小腸経は、
肩から肩甲骨、そして
耳につながっています。
(まさに、背側)
・・・
このムドラーで、
しっかり小指を
密着させようとすると、
自然に、
肘の外から肩まで、
さらに肩甲骨の間、
同時に、
尾てい骨から腰へ、
さらに背中全体に広がり、
首の後ろから後頭部まで、
力がみなぎってくる感じ、
しませんか?
いわば、
小指を集中的に活性化させて、
からだの背側全体を、
つまり、
自分の防御のパワーを、
取り戻そうとしている。
・・・
【二つの心臓】
このムドラーで印象的なのは、
もちろん、
お互いがひっぱり合う
小指のフックです。
先ほどのムドラーで
元気を取り戻した小指に、
さらにぐーっとプレッシャーをかけて、
「お前の(防御の)パワーは
こんなものではないだろう!」と
ハッパをかけているかのうようです。
組んだ手首、
張った両肘で、
胸の前を守っている姿勢が、
一層、防御のパワーを上げています。
迫り来る恐怖と不安に、
しっかりと防御をした上で、
でも、
手のひらは前を向き、
OKサインをつくっている
親指と人差し指は、
まるで、強い目力で
敵を見据えているかのようです。
・・・
先ほど、経絡説の話を
出しましたが、
実は、小指は、
心経という経絡で、なんと、
心臓ともつながっているのです。
ムドラーはインド由来ですが、
中医学の経絡説とも
不思議な一致をみているわけです。
恐怖と不安にドキドキした胸、
そのエネルギーを、
小指を賦活してパワーアップした
背側の防御壁の中でしっかり守りつつ、
伸ばした中指と薬指で、放出しつつ、
敵に向ける眼力のエネルギーに
変換している。
「来るなら来い!」
そんな、ムドラーになっています。
・・・
【不可視】
循環がよくなって熱感をもった、
右の拳と、左の手。
右の拳は、
小指まで、しっかり、
握ることができているでしょう。
この、
左の手の下にかくまわれた、
右の拳と、熱感。
このムドラーの名前が、
「不可視」となっている、
そのセンスに脱帽です。
敵に、
拳を見せ続けたなら、
敵は一層、
ヒートアップするでしょう。
敵には、見えない、
でも、必要なら、いつでも取り出せる、
万全の準備が整った、
拳・・・、
それを、密かに自分は
持っている、
その自信を静かに感じて、
軽くほほえみながら、
このセットを終わりましょう。
・・・
さて、今回で、一旦、
このシリーズはおしまいです。
メスコ先生の本には、
もっともっと、
いろいろセットが載っていて、
ご紹介したいのですが、
このようなテーマが
あまり得意でない読者の方も
おられるはずなので、
一旦、おしまいです。
あまりおもしろくないのに、
ここまでお付き合い頂いたなら、
ありがとうございます。
感謝の意味も込めて、
最後に、一点、補足です。
・・・
メスコ先生の本を初めて手にとって、
サッと自分でやってみて、
これは使えるとか、適宜、ピックアップして、
メルマガで(原本には全く記載のない)
心理的効果も含めて紹介できる、小椋は、
どう考えても、多数派ではないです。
でも、それがやってしまえるのには、
それなりの事情があります。
10代から、生き延びるために、
ひたすら、自分のからだと付き合ってきた、
40年の歴史ですね。
その結果、
自分のからだを、
なんとも不思議な、
パートナーのように
感じるようになっています。
小椋は、
朝、おきたり、
夜、ねたりするとき、
こころの中で、
あるいは、実際に声に出して(苦笑)、
「みんなー」と
呼びかけることがあります。
みんなって、誰?
自分の後頭部や、心臓や、膀胱や
左の足の小指や、背骨の腰椎の5番とか、
いろいろ、たくさんの、
自分のからだの仲間たち・・・、
もう、長い付き合いですから、
それぞれ、人格をもっている感覚です。
敬意を込めて、
みんなーと呼んでます。
この感覚は、
以前のシリーズ、
スピリチュアル・リテラシーでお伝えした、
アリー(盟友)、ですね。
こちら↓
こんな調子なので、
ムドラーを通じて、
自分のからだと会話すると、
いろいろ、教えてくれる、
ということです。
この、自分のからだが、
一番のアリーになってくれている、
その感覚があれば、
どれほど、孤独と絶望は、
マシでしょうか・・・、
診察でお会いする皆さんの
相談にのっていると、
時に、思います。
このシリーズで一番、
お伝えしたかったことは、実は、
自分のからだが、
自分の最大のアリーになり得る、
この感覚でした。
例えば、ムドラー・セラピーを通じて、
そんな世界があり得るんだ、
それを、お伝えしたかったのです。
・・・
今までやってきた
ストレス対処法が
使えず、
ムドラー・セラピーに
取り組む時、
Do:
ムドラーの体験例を通じて、
自分のからだが、
自分の最大のアリーに
なり得ることを知る。
Don’t:
自分のからだは、
コミュニケーションを取る相手ではないと
信じ続ける。
いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、
ぜひ一度、お問い合わせください。