2021/03/07
HSPとは何か⑦:「繊細さ」を「オーバーフロー型」と「拒否反応型」とに区別しよう
さて、HSPのシリーズ、
7回目になります。
前回は、こちら↓
洋服売り場に立った
かつてのアーロン博士のエピソードを
深掘りする中で、
原型HSP(未熟形)の
しんどさの核心について
整理したわけです。
今回は、
その同じ売り場に、
架空の女性Aさんが立った場合の
反応について
ご紹介することから
始めましょう。
・・・
Aさんは、
からだの性別は女性として
生まれたが、
いわば、こころの性別が、
どちらかと言うと
男性のようでした。
小学校に上がるときから、
赤いランドセルがいやで、
しかたなく使っていました。
スカートも、
理由はわからないが、
イヤ。
いつも、ズボンでした。
お母さんは、
Aさんの、その辺りの
感受性について
知っていたのですが、
親戚のおばさんは、
知りません。
そのおばさんが、
中学進学のお祝いに
洋服を買ってあげると、
デパートに一緒に
出かけた時のこと。
Aさんの嫌な予感が
的中して、
婦人服売り場に
連れていかれました。
おばさんに、
自分の好き嫌いを
うまく言える気がしないまま、
しかたなく、
選んでいるフリをし続けていると、
ものすごーく、
めまいと吐き気がしてきて、
立っていられなくなり、
エスカレーター横の
ベンチに横になりました。
お母さんから事情を聞いた
おばさんは、日を改めて、
同じデパートの、今度は
紳士服売り場に誘いました。
Aさんは、目をキラキラさせて、
男性用のデニムのジーンズを
見て回ります。
男性用と、女性用、
そんなに違うの?とおばさん。
全然、ちがう。
女性用は、
ヘンな飾りとかついているし、
シルエットがイヤ。
こっち(男性用)の方がいい、
とAさん。
テキパキと手にとっては
サイズと生地の感触と確かめて、
おばさんには全くわからい、
テーパードじゃなくて、
ルーズストレート・・・
などの独り言をモゴモゴ言いながら、
一つ、選び出しました。
試着もバッチリ。
これでお願いします、
おばさん、ありがとう、
と無事にお買い物を
終えました。
・・・
さて、ここで
質問です。
Aさんは、
HSPでしょうか?
どう、思われますか?
・・・
婦人服売り場では、
倒れてしまいました。
Aさんは、
原型HSP(未熟形)
でしょうか?
その一方で、
紳士服売り場では、
思慮深さを示しつつ、
スパッと、
買い物ができています。
原型HSP(完成形)、
なのでしょうか?
・・・
Aさんの架空の例を、
アーロン博士のエピソードと
比較することで
お伝えしたいことは
二つ、あります。
一つは、
HSPの
感受性の高さについて
検討する際に、
「何に対する」
感受性の高さなのか、
それを特定しないままでは
混乱が引き起こされる、
ということです。
当然と言えば、
当然です。
アーロン博士と
Aさんとでは、
婦人服と
紳士服とに対する反応が
ぜんぜん、違うわけですから。
アーロン博士は
婦人服に対する感受性が高く、
紳士服に対する感受性は低い、
可能性があって、
Aさんは、
その逆、
というわけです。
・・・
もう一つは、
HSPの「繊細さ」について、
その中身をしっかり
分別する必要がある、
ということです。
アーロン博士も
Aさんも、ともに、
婦人服売り場で、
うまくいっていません。
婦人服売り場の情報に触れて、
具合悪くなっています。
その意味では、ともに
「繊細さん」でしょう。
でも、
中身が違う。
アーロン博士は、
婦人服自体を
入念に観察できています。
大量の情報を、
収集しているわけです。
でも、それを処理しきれず、
固まってしまった。
その一方、Aさんは、
婦人服が大嫌いで、
できるだけ
その情報を自分の中に
取り込みたくない。
ところが、その情報に触れることを
なかば強制される状況の中で、
そのストレスに体が反応し、
めまいと吐き気で
倒れてしまった。
この違いは、
次にように整理できます。
アーロン博士は、
婦人服に対する感受性が
「開発されている」あるいは
「耕されている」ため、
その情報を受け入れることができるが、
Aさんは、
婦人服に対する感受性が
「開発されていない」あるいは、
「耕されていない」ため、
その情報を拒否しようとする。
この違いを
クリアに分別することが
重要です。
・・・
さて、ここまで整理すると、
アーロン博士とAさんの状況を
次のように
まとめることができます。
アーロン博士は、
婦人服に対しての
感受性は「開発済み」だが、
「動く」「考える」との
アンバランスのため、
固まってしまった。
これが、
原型HSP(未熟形)の
「繊細さ」。
これを、
オーバーフロー型、
と呼びましょう。
※受け入れるが、
あふれてしまう、というイメージ。
Aさんは、
婦人服に対する
感受性が「未開発」で、
その情報に接すると、
それがストレスとなり、
拒否反応としての身体症状が出た。
これは、
原型HSP(未熟形)の
「繊細さ」とは、
違う。
これは、
拒否反応型、
と呼びましょう。
※そもそも、受け入れない
というイメージ。
つまり、
HSPの「繊細さ」には、
オーバーフロー型と
拒否反応型、
この二つがあり、
それを区別すべき、
ということです。
そして、
オーバーフロー型のみが、
原型HSP(未熟形)を構成します。
拒否反応型は、
では、何?
チェックリストHSPの中の、
原型HSP(未熟形)以外の、
HSP、
ということになります。
それって、つまり何?
原型HSPが、
本来のHSPだ、
という立場をとるなら、
それは、言葉は悪いですが、
なんちゃってHSP、
ということになります。
チェックリストHSPの中に
引っかかってくる、
原型HSPではない
タイプ、ということです。
この一群の方たちは、
なんと呼べばよいでしょうか?
非原型HSP、
と呼称することにしましょう。
・・・
最後に、Aさんの
フォローを。
Aさんは、
紳士服に対する感受性は
開発済み。
かつ、
オーバーフロー型でもない。
つまり、
紳士服に関しては、
何ら、生きづらさはない。
紳士服売り場でのAさんを、
あえて、
原型HSP(完成形)と言う意味は、
あまりないでしょう。
原型HSP(完成形)とは、
原型HSP(未熟形)の方が、
自分の成長の方向を見据えるために
有用な用語だと、言えるでしょう。
一方、
婦人服売り場でのAさんは、
婦人服に対する感受性が
未開発。
で、拒否反応型。
つまり、
非原型HSP、ということです。
この状況を、
原型HSP(未熟形)と誤認すると、
いくつかの不具合がでてきます。
この点については
このシリーズの別の機会で
お伝えします。
・・・
お疲れさまです。
今回は、かなり
ややこしかったかと思います。
整理のために、
ベン図を用意しました、こちら↓
次回は、
アーロン博士とAさんとの
この対比を
引き続き活かしつつ、
ユング心理学の
優位機能、劣位機能の観点を
お伝えする中で、
最終的に、今回のテーマが
スッキリ理解できるよう
試みます。
・・・
HSPが気になる時、
Do:
何に対する感受性の高さなのか、
それを特定した上で、
「繊細さ」の中身を、
オーバーフロー型と
拒否反応型に
分別する。
Don’t:
何に対する感受性の高さなのか、
それを特定しないまま、かつ
「繊細さ」の中身も
分別しないまま、
HSPについて、考え続ける。
いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、
ぜひ一度、お問い合わせください。