2021/03/21
HSPとは何か⑨:開脚前屈のストレッチから探る「繊細さ」の実情
さて、HSPのシリーズ、
9回目になります。
前回は、こちら↓
優位機能、劣位機能という
考え方を使って、
人が成長するとは
どういうことかについて整理し、
その理解の中で、
HSPという用語と付き合っていこう、
という内容でした。
実は、
HSPという用語の問題点については
前回までに、
かなり整理はできていますので、
前回で、
このシリーズを終了することも
アリでした。
でも、このシリーズで
扱ったいろいろなテーマは、
読者の方が、
HSPであろうが
なかろうが関係なく、
PSMとして生きていく上で
無視できない要素を含んでいます。
なぜなら、
HSPは、PSMの一種だから。
ということで、
あと数回、シリーズを延長して、
今回までに扱ったテーマを
日々の生活に落とし込んでいけるように
押し広げていきましょう。
・・・
結局、何が難しいって、
人が、何を感じているのか、
それを、他人が理解すること、
ですよね。
だから、
HSPという用語が
存在意義を持ってしまう。
自分はたくさん、感じているのに
相手が理解してくれない、
その苦痛がなければ、
HSPという用語は、必要ない。
でも、同じ理由から、逆に、
自分はこう感じている、と、
(ほんとうは別のことを感じていても)
相手に伝えれば、
相手は、そう、理解してしまう。
いわば、
カムフラージュしようと思ったら、
できてしまう。
ほんとうは非原型HSPなのに、
自分は原型HSP(未熟形)のように
感じている、と相手に伝えれば、
相手がそれを論破することは、
なかなか、難しいわけです。
つまり、
目に見えない世界(「感じる」)と
目に見える世界(「動く」)とを、
※言葉にするとは「動く」の一種です。
ストレスなく、
まず、自分の中でつなげ、
かつ、相手とそれを共有することは、
なかなか、至難の業なのです。
・・・
でも、
徹底的に観察すれば、
できなくはない・・・、
という実例を、
小椋の前職(バレエ教師)からの
経験をシェアすることで、
このシリーズの、残りとしますね。
踊りって、まさに、
目に見えない世界(「感じる」)を、
目に見える世界(「動く」)に、
その瞬間ごとに、
直結させることで成り立つわけです。
それも、
一番、器用にコントロールしにくい
生身の肉体を用いるので、
言葉のように、体裁を整えることが
難しい。
だからこそ、
恥ずかしいまでに、
何を感じているのか、
(あるいは、何も感じていないのかが、)
動きに、出てしまう、
と言えます。
・・・
クラシックバレエの教室に通っている、
架空のOLの方、5人に
登場してもらいましょう。
5人とも、
バレリーナになる夢を
もう一度と、
お仕事の合間に、レッスンに
参加されています。
いま、5人が、並んで、
レオタード姿で、
フロアに座って、レッスン前の
ストレッチをしています。
脚を伸ばして、
左右に開脚して、
前屈しています。
・・・
5人の後ろに立って見ると、
左から順に、まず、
カタ井さん。
※もちろん、硬い、にひっかけています(苦笑)。
※他の4人も同じ。
からだ全体が硬いが、
特に股関節が硬い。
90度に開くのが
精一杯。
前屈も、おでこが
床にはつきません。
周囲が気になるのか、
いつもオドオド、
キョロキョロしています。
その隣が、
カタ目さん。
からだの硬さや、
開脚前屈の状況は、
カタ井さんと、同じ。
でも、自分の世界に
完全に没入。
同じ姿勢を、
じーっと維持して、
背中と肩が、呼吸のたびに、
静かに上下している。
真ん中が、
ウマ井さん。
自他ともに認める、
このバレエ教室での
一番の上級者。
180度に開脚し、
前屈は胸まで床に
ペッタリついている。
完全没入は
カタ目さんと同じ。
床の冷たさを感じているのか、
日中の上司の見当違いな
助言を思い出しているのか、
はためには、わからない。
その、さらに右隣が、
ヤワ目さん。
160度ぐらいに開脚し、
前屈は、
ウマ井さんと同じくらい。
自分の世界に没入したいのだが、
隣の人が話しかけるのを
ナマ返事で答えている。
一番、右が、
ヤワ井さん。
180度に開脚し、
前屈も、胸まで床に。
でも、腰椎の部分が、
ちょっと、後ろに引く感じで
盛り上がっている。
どうしても話しかけたいらしく、
ヤワ目さんの迷惑も気にせず
芸能人の話題を続ける。
・・・
鏡張りのスタジオの真ん中に、
5人がズラッと、開脚前屈。
ある日の、レッスン前風景、
ですね。
この状態だけでも、
それぞれの、肉体とキャラが、
匂い立ってきます。
すると、
見学者が入ってきました。
ドアをあけると、
たまたま、外気が流れこんできて、
ほこりが舞いました。
ハッ、クション!
5人が全員、クシャミをしました。
すると、
カタ井さんは、
内ももを押さえて、痛っ!と
小声で叫んだ。(内心は絶叫)
ヤワ井さんは、
背中を押さえて、痛っ!と
小声で叫んだ。(内心は絶叫)
カタ目さんと、
ヤワ目さんは、
ウッと少しうめき声を出したが
体動なし。
ウマ井さんは、
クシャミ以外は、
声も体動も、何もなし。
・・・
さて、この5人は、
それぞれ、
このストレッチの時間を
どのように
体験しているのでしょうか?
想像、
つきますか?
小椋は、
手にとるように、
わかります。
というか、
バレエのレッスンの中であり得る、
極端な例を、ある意図にそって、
5つのパターンに並べてみた、
ということだからです。
自分の肉体に関する
「感じる」という機能と
「動く」という機能とが、
バレエを踊るという目的の中で、
どのように優位機能となり、
どのように劣位機能となり、
その結果、レッスンが
どのような体験となり、
その結果、その人は
バレエが上達するのか、
どうか。
・・・
残念ながら、
カタ井さんと、ヤワ井さんは、
上達は覚束ない。
カタ目さんと、ヤワ目さんは、
時間をかければ、
ウマ井さんに迫ることは、
できる。
この違いは、
どこにあるのでしょうか?
カタ井さんも、カタ目さんも、
同じくらい、からだ、
硬いのに?
ヤワ井さんも、ヤワ目さんも、
同じくらい、からだ、
柔らかいのに?
※ちなみに、柔らかいだけでは
曲芸はできても
「踊り」にはなりません。
・・・
秘密を先走って
お伝えすると、
カタ目さんと、
ヤワ目さんは、ともに、
自分の劣位機能のありどころを
自覚して、その改善に
取り組めているから。
こう、整理すると、
がぜん、バレエの話だけではない、
療養全般に関係している
重要なテーマだと、
ご理解頂けると思います。
次回は、まずは、
カタ井さんとカタ目さんの
体験している世界に、
ご案内いたします。
両者の体験が、
見た目は、からだ、硬いよね、
なのに、決定的に、違う、
その実況中継から、始まります。
・・・
HSPが気になる時、
Do:
5人のOLのバレエレッスンを
仮想体験することで、
「感じる」「動く」の
優位、劣位の実情を
深く理解する。
Don’t:
バレエには興味がないと
次回以降、流し読みしてしまう。
※プリエだのアダージオだの
バレエ用語が出てくるわけでは
ありません。
※バレエを目的とした
身体ストレッチの体験について
扱います。
いかがでしたでしょうか?
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