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2021/03/28

HSPとは何か⑩:「感じる」が優位機能なら「繊細」、劣位機能なら「過敏」



さて、HSPのシリーズ、
10回目になります。

前回は、こちら↓

バレエ教室でストレッチをする
5人の女性、
カタ井さん、カタ目さん、
ウマ井さん、そして
ヤワ目さん、ヤワ井さんを
ご紹介しました。

予告通り、
カタ井さんカタ目さん
体験世界に入っていきましょう。

・・・

まずは、カタ井さん

カタ井さんの
「動く」はどうか。

とにかく、硬い。
レッスンでは、脚が
50度ぐらいしか上がらない。
開脚前屈では、90度の開脚で
おでこは床にはつかない。

「感じる」はどうか。

一度、踊っている時に
滑って転んで、
無理にストレッチされた脚が
激痛にみまわれた、
その時の感覚が、いつもよぎる。

いまも、とにかく、
あの激痛がこないか、
それをひたすらチェックする
監視モードになっている。

そして、左右の、
股関節、うちもも、ふともも、膝、そして
ふくらはぎから、つま先まで、
単なる棒のようにしか感じられない。

「考える」はどうか。

先生や他の生徒から
どのように見られているのか、
どうしようもなく気になるので
チラチラ周囲をチェックして、
大丈夫かな、大丈夫だよな、
という頭の中の独り言が
延々と続いてる。

「信じる」はどうか。

実は、バレリーナのように踊りたい、
その思いだけは、誰にも負けない。
昔から手先は器用だと言われてきて、
バレエ独特のパントマイムは
自室でこっそり
練習したりした過去がある。

・・・

では、カタ目さんは、
どうだろう。

「動く」は、もう、
カタ井さんと、区別がつかない。
股関節や、脚の筋肉は、
すごーく、硬い。

「感じる」はどうか。

実は、カタ目さんは、
バレエを始める前に
気功の練習をしていた。

自分のからだについて、
呼吸に合わせて
そこにエネルギーが流れている、
とイメージすると、

ほんとうにポカポカしてきたり、
実際に、血の流れがよくなって
血色がよくなったり、
そのような微妙な体験を
大切に繰り返してきた。

そんなカタ目さんは、
いま、開脚前屈をしながら、
あー、いま、
膝の裏の筋肉線維たちが
ミシミシいいながら、
プチプチ切れて、伸びていっているんだぞ、
いままで流れたことのないエネルギーが
いま、そこに流れはじめているんだな、
痛いと言えば痛いが、
それだけではない、いろいろな感覚が
わき起こっているのが、わかる・・・。

「考える」はどうか。

息を吐きながら、
もうちょっと、先まで、伸ばそう・・・
そう、こんな感じでいいぞ・・・、
息、吸って、ちょっと、ゆるめて、
次、吐くときは、もっと、伸ばそう・・・。

「信じる」はどうか。

音楽を聴くと、
こう、踊ればいいんだと、
勝手に、イメージがわいてくるが、
自分のからだでは、その動きが
表現できない、硬すぎて。

少しでも、自分のからだで
表現してみたい、その思いだけで
レッスンを始めている。

・・・

ストレッチしている、
この二人が、
クシャミをしました。

どんな体験になるか?

カタ井さんは、
クシャミの瞬間に
自分の許せる範囲を超えて
前屈してしまい、

監視モードでひたすら
回避しようとしていた痛みが、
予兆もなく勃発して、
ほとんどパニック状態で、
イタッ、と声に出た。

カタ目さんは、
クシャミの出る直前の
息を吸う瞬間に
全身をゆるめて、

クシャミが出る瞬間に
息を吐きながら、
全身を伸ばして、
ストレッチの一環のように
機敏に対処した。

痛みもあるが、
ゆっくりのストレッチとは違う、
瞬発的なストレッチの、
新しい感覚もそこに混じっているのがわかるので、
ウッ、と声に出た(イタッ、ではなく)。

もっと、からだが柔らかければ、
きっと、痛くもなかっただろう。

・・・

さて、
いかがでしょうか?

カタ井さんと、カタ目さん、
その「感じる」という機能の、
圧倒的な違いについて、
味わっていただければと思います。

バレエの上達という
ゴールの設定の中で、

カタ井さんは、
「感じる」の機能を、
アラームとしてだけ、
使っている。

だから、
「開発されていない」ので
劣性機能

カタ目さんは、
「感じる」の機能が
与えてくれる可能性のある
さまざまな体験を、
できるだけ、味わおうとしている。

その中には、痛みも、
当然、含まれるわけですが、

それだけを、過剰に回避しようとして
感覚を閉じる、ということが、
ない。

その意味では、勇気がある
とも言えます。

だから、
「開発されている」ので
優性機能

クシャミの反応だけをとると、
両者とも
「繊細さん」かもしれませんが、

その両者をともに、
HSPと呼んでしまうことは
あまりに雜だ、ということを
お伝えしたいわけです。

カタ井さんは、
過敏。

カタ目さんは、
繊細。

この区別ができるようになることが
このシリーズの
一つの目標です。

実は、
自分が体験する
精神症状を、

どちらのタイプなのか、
整理してみることは、
とても、有用です。

自分にとって、
何が劣性機能で
何が優性機能なのか、
わかるようになるからです。

・・・

さて、では
「考える」については、
どうでしょうか。

カタ井さんも、
いろいろ考えては、いますが、
バレエが上達するという観点においては、
全く、役にたっていません。

これを、思慮深いとは、
言いません。

一方で、カタ目さんは、
自分の劣性機能である
「動く」を、少しでも開発しようと、

自分の優性機能である
「感じる」を総動員し、さらに、

「考える」も
それを後押ししようと
協同作業に注力している。

これ、思慮深いです。

この区別も、
先ほどと同じで
重要です。

・・・

今回は、
ここまでになります。

次回は、
カタ井さんにも
未来はある、という
お話を追加した後、

カタ井さんと
カタ目さんとの比較から
学べるポイントを
標語風に整理します。

・・・

HSPが気になる時、

Do: 
「感じる」が
劣性機能の場合と
優性機能の場合との
違いについて、
理解を深める。

Don’t: 
過敏と繊細を
混同する。

いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、 
ぜひ一度、お問い合わせください。