2021/06/27
PSMのための雑談との付き合い方⑥:雑談の「ブレストタイプ」とは?
さて、
雑談についてのシリーズ、
今回は、6回目になります。
前回は、こちら↓
雑談の「おもてなしタイプ」の
達人としてご紹介した、
ある営業マンの雑談の、
どこが、おもてなしなのか、
それを詳しくお伝えしました。
それは、
雑談の4つの役割、
1:世間を維持する役割
2:相手へのおもてなしの役割
3:ブレーンストーミングとしての役割
4:ストレスのはけ口としての役割
この中の、2について、
みっちり学んだ、
ということになります。
今回は、3について、
サラッと、見ていきましょう。
なぜ、サラッとかと言うと、
2に比べると、3は、
PSMの方の
雑談の困り事の解決にとって
比重は大きくないからですね。
・・・
今回のシリーズを準備するにあたって、
いくつかの書籍を参考にしていますが、
その中の一つが、
茂木健一郎さんの『最高の雑談力』。
その中に、茂木さんが、
英国の名門大学、
ケンブリッジに留学した時、
それぞれ分野が異なる
教授たちが、1日に2回も、
学内の一室に集まって、
まったり、お茶をする習慣を
紹介しています。
茂木さんの推測では、
その習慣が、傑出した
学問的成果を上げ続ける
一因になっているだろう、と。
各自の専門分野に没頭している
仕事中には、決して
思いつかない発想が
まったく畑の異なる教授との
雑談の中で、ふっと、
湧くのだろう、と。
雑談には、
固定観念を離れて
物事を見ることを可能にする
力があるのだろう、と。
・・・
この点、
小椋も同感です。
このシリーズでは、
雑談を次のように
定義しましたね。
話し手と聞き手が
適宜、同等の立場で交代しつつ、
穏やかな情緒の、
参加者全員での共有を目的として行われる、
自在な会話である、と。
穏やかな情緒、という要素が、
心身をリラックスへ誘い、
その上で、
自在な会話、という要素が、
固定観念を緩める作用をもたらす、
と推測できます。
これを、雑談の役割の
一つとして、
挙げてよいでしょう。
このシリーズでは、
この役割が前面にでる雑談のタイプを
「ブレストタイプ」と
呼びましょう。
ちなみに、
ブレストとは、
ブレーンストーミングの略。
さらに
ブレーンストーミングとは、
複数の参加者が
交互に自由に発言し合うことで、
そうでなければ生まれない
新しい発想を引き出そうとする
会議の形式の一つです。
ブレーン(脳)を、
ストーム(嵐)のように
かき混ぜる、という
イメージですね。
・・・
この雑談の
「ブレストタイプ」って、
ケンブリッジではなく(苦笑)
私たちの日常の雑談の中では、
どんな場面に、
出てくるのでしょうか?
一番は、
雑談の参加者が、
何かしら、生活に役に立つ
おいしい情報を提供してくれる場面、
でしょう。
ブレスト、という程でないにしても
今までの認識を
更新してくれる、
という役割ですね。
覚えておられますでしょうか、
このシリーズの3回目、
雑談に困っている
架空のPSMの方々、
自閉症スペクトラム障害の
Aさんを、前田さん、
(積極的に雑談に参加したい、
「前のめり」だから)
うつ病で引きこもりの
Bさんを、引田さん、
(雑談から「身を引きたい」から)
パニック障害の
Cさんを、日和(ひより)さん、
(参加するかしないか、
「日和っている」から)、と
ご紹介しました。
ママ友との雑談に
こころ悩ませる日和さんなら、
例えば、
あそこの塾の〇〇先生は
とても面倒見がよい、とか
PTAの〇〇の仕事は、
そこまで期日に厳密に
仕上げなくてもよい、だの、
ちょっとした
でも、あるとないとで
差が生じる情報を得られる場面、
ということになります。
・・・
もう一つは、
相手に意見を求めて、
自分には全く予想すらしなかった
意見が返ってきたが、
よく考えてみるとなるほど
と納得できる場面、
でしょう。
これだと、
ちょっと、ブレストに
近くなりますね。
このような、
「ブレストタイプ」の雑談が
多いなら、
日和さんも、
雑談に参加するメリットを
感じることができるでしょう。
・・・
しかし、ここで、
微妙に、問題が発生します。
日和さんは、
おいしい情報だけを
無傷で、もらい続けることが
できるでしょうか?
日和さんが参加する
ママ友の雑談の中で、
特定の一人だけが、
いつも、
おいしい情報源になっている場合、
その人が
延々とグチを言い続ける役割を
同時に担う可能性が高い。
つまり、日和さんは
おいしい情報をもらえるかわりに
その人のグチも
延々と聞かされることになる。
なぜか?
雑談の定義に、ありましたね、
話し手と聞き手が
適宜、同等の立場で交代しつつ、
と。
日和さんが参加する雑談は、
同等の立場で、
交代ができない場になっている
可能性が高い。
だから、
情報をもらい続けるかわりに
グチも延々と聞かされる、
そういう構造になっている、
ということです。
じゃあ、
どうすればよいか?
日和さんも、
情報源になる場面を
作れるようにする、ということです。
そうすれば、
グチを言う場面も
持てるようになるだろう、
ということです。
同等の立場で
交代できる、ということです。
これが、
ヘルシーな雑談には、
不可欠だ、ということです。
このテーマは、
このシリーズの後でまた
出てきますね。
・・・
次回は、
4:ストレスのはけ口としての役割
について、扱います。
特に、
何に気をつければ、
ヘルシーな範囲でのグチになるか、
について整理します。
・・・
雑談が苦手で困っている時、
Do:
雑談の「ブレストタイプ」は、
日常生活の中では、
有益な情報が得られる場面、
新鮮な物の見方が得られる場面として
あると知る。
Don’t:
(それは存在しないのに)
おいしい情報だけをもらえばよい
「ブレストタイプ」の雑談の場は
どこかにないかと探し続ける。
いかがでしたでしょうか?
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