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2021/07/19

PSMのための雑談との付き合い方⑨:会話のボトルネック



さて、
雑談についてのシリーズ、
今回は、9回目になります。

前回は、こちら↓

タイトルは
雑談の大原則」としています。

雑談に対する
自分のスタンスと、

雑談の中で自分が果たす
役割について、整理しました。

今回は、それに追加する感じの
テーマです。

会話のボトルネック

早速、
取り組んでみましょう。

・・・

ボトルネックという言葉は、
瓶(ボトル)の首(ネック)
という意味ですが、

どんなに瓶が大きくても
どんなに多くの液体が入っていても、

首が細ければ、
チョロチョロとしか
出てこないよ、
というイメージが分かりやすいため、

物事がうまく運ぶことを
最もじゃましている部分、
という意味で、
用いられています。

雑談が苦手な場合も、
きっと、
ボトルネックがあるはずです。

相手の話を聞いて、
自分が発言する、その
たった一つの会話の中に、

ボトルネックは、
4つ、ありえるよ、ということが、
今回のお話になります。

その4つとは、

1:入力
2:イメージの構成
3:リアクションの構成
4:出力

この、4つです。

・・・

人をまるで、
情報処理機器のように
見立てているわけです。

雑談が苦手な自分は、
いったい、1〜4のどこが
ボトルネックになっているのか。

一回は、検討した方が
よいでしょう。

雑談の苦手を克服する努力が
自分のボトルネックに
噛み合っていなければ、
効果が期待しにくいからです。

順番に
見てきましょう。

・・・

1:入力

これは、雑談の相手が発した、

言葉という聴覚情報と、
表情や身振りなどの視覚情報、

それを受け取る、
ということです。

ここがボトルネックとなる
典型的な方は、

聴覚情報の処理が苦手な
発達障害の方たちです。

長文を言われると
前半が記憶から消える、とか

周囲に雑音があると
そもそも聞き取れない、など。

これは、
かなりつらいです。

この場合の対策は、
2〜4への対策とは、
全く異なってきます。

次回以降、
前田さんのケースを
検討する中でお伝えします。

・・・

2:イメージの構成

これは、
1で得た情報をもとに、

自分なりに、こころの中に、
相手の伝えたい状況を
リアルにイメージする、
ということです。

スムースに進んだ場合は、
1とほぼ、同時進行になります。

ここがボトルネックとなる
パターンにも、
いくつか、あります。

一つは、

相手が常識と
思っていることが、
こちらでは
把握できていない場合。

「それは言わなくても
わかるだろう」と
相手が思っている部分を
こちらが適切に補えないので、
イメージが
構成できなくなりますね。

これには、
いろいろなレベルがあります。

単語の基本的な意味や
常識レベルの知識、
というレベルから、

いま、はやっている
俳優さんや映画、
というレベルまで。

もう一つは、

相手からのメッセージを
言語の部分のみ受取り、

表情や身振りや
声の抑揚の部分を
受取り損ねている場合。

例えば、

うちの息子、
数学のテストで30点しかとれなくて
ほんと、ダメなのよね〜と、

ニコニコしながら
グチというよりも
子煩悩な母親感
丸出しの空気でつぶやいた発言に、

言葉の部分だけ受取り、
その空気を全く考慮せず、

30点のテストを
差し出している子供と
それを見てダメ!と言っている
母親のイメージのみが構成された結果、

確かに、ダメですね、と
淡々と応答したら
どうなるでしょう。

その場の空気が
凍りつくわけです。

いずれの場合も、
発達障害の特性をお持ちの方が
陥りがちなパターンになります。

・・・

3:リアクションの構成

これは、2で構成された
相手のイメージに対して、

自分なりの応答を作り出す
ということになります。

1、2はクリアしても、
ここで、
「頭が真っ白になる」という方も
多くおられますね。

その中身も、

まったく思いつかない、
というパターンと、

いろいろ思いつくが
どうしていいかわからない、
というパターンがあります。

この、3の部分は、
ちょっとしたコツなどが
役に立つ部分でもあるので、

この後の回で
ご紹介していきます。

※このシリーズを用意する際に
参考にした書籍を
編集後記でご紹介します。

・・・

4:出力

これは、3で準備した
自分なりのリアクションを

実際の、声と表情、
身振りなどでアウトプットする
ということです。

ここがボトルネックと
なる場合には、

言いたいことは
わかるのに、

緊張して言えない、

言うタイミングを
逃してしまった、

という場合や、

逆に、
周囲が引いてしまうぐらい
延々としゃべってしまった、

という場合も
あるでしょう。

・・・

さて、
いかがでしょうか。

このように整理すると
自分がどの部分で
つまずいているか、
わかりやすくなります。

これで、
雑談の「大原則」が
わかりました。

次回はいよいよ、
前田さんが
どのように工夫すれば
雑談の苦手が減るか
一緒に考えてみましょう。

※多分、一回では
終わりません・・・。

・・・

雑談が苦手で困っている時、

Do: 
会話のボトルネックという
整理の仕方で、
自分の雑談でのつまずきを
分析してみる。

Don’t: 
ボトルネックが1にあるまま
2の練習をする、
ボトルネックが2にあるまま
3の練習をする、など
噛み合わない努力を続ける。

<編集後記>
今回のシリーズを用意するにあたり、

冠地情『発達障害の人の会話力が
ぐんぐん伸びるアイスブレイク&
ワークショップ』(講談社:2020年)

を参照しました。

この方は、
イイトコドリという当事者の会を
主宰されており、

そこで行った
会話力アップのための
ワークショップの内容を
まとめたのが、その本です。

会話力(雑談力)を
アップさせるためには、

理解のある相手と
一緒に練習するのが
間違いなく、効果的です。

なので、興味のある方は、
以下のサイトを参照してください。


このシリーズの残りでは、
そこで紹介されている
有益な情報を部分的に
ご紹介していきます。

いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、 
ぜひ一度、お問い合わせください。