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2021/09/20

PSMのための雑談との付き合い方⑱:雑談のファシリテーターになれ!



さて、
雑談についてのシリーズ、
今回は、18回目になります。

前回は、こちら↓

引田さんのカウンセリングは
前回で終了です。

今回は、
日和(ひより)さんのカウンセリングです。

久しぶりの登場なので、
このシリーズ、初回の紹介を
そのまま、再掲します。

・・・

パニック障害がずいぶん
落ち着いてきた、Cさん(女性)。

娘さんが小学校に上がり、
いきなり、自分がPTAの役員に。

会合のあと、お茶をする
ママ友が二人できたが、

いつも、一人が延々とグチを言い、
もう一人が、それに便乗して
自分のグチをいい、

その同意を二人ともが、
Cさんに求めてきて、
Cさんは、ニコニコしながら
肯くしかない、その時間がしんどい・・・。

自分も、いろいろ、
グチもあるのに、とても
聞いてくれる雰囲気にならない・・・。

(再掲終了)

この長いシリーズもいよいよ
今回と次回でおしまいです。

早速、
カウンセリングを
のぞいてみましょう。

・・・

小椋:
日和さんは、ほとんど、
頷いているだけで、
発言はできない感じですか?

日和さん:
そうですね・・・。
はさむすきまがない、
というか・・・。

小椋:
でも、最初にグチを言い始める方を
Pさん
便乗してグチを始める方を
Qさん、とすると、
Qさんは、どんなコツがあって
口を挟めるのでしょうね?

日和さん:
確かに、そうですよね。
うーん、考えたことがなかった。

小椋:
最近の雑談を思い出して
再現できますか?

日和さん:
Pさんが、いつものように
ご主人のグチを言い始めて・・・
土曜日の子どものクラブの送迎は
自分がやるという約束に
なっていたのに、
勝手に予定をいれて
こっちに振ってきて・・・とか。
すると、
それって、カチンとくるよね〜とか
なんとかQさんが、言って
そのまま、自分のダンナは、
どうのこのと言い始めて・・・。

小椋:
その、Qさんが
口をはさむ瞬間に、
何か、コツがあるはずですが・・・。

日和さん:
・・・なのでしょうが、
それって、何ですか?

小椋:
結局、Qさんは
Pさんに身体レベルで共感しているから
スッと、自分が
引き継げるのでしょうね。

Pさんの、イライラという感情と、
語調とをそのまま引き継げる、
ということでしょう。
だから、Pさんにとっても
違和感がない。

日和さん:
確かに、そんな感じです。
姉妹がしゃべくっている感じ。

小椋:
でも、多分、
そのタイプのイライラと
ノリに、日和さんは
ちょっとついていけない。

日和さん:
そうなんです、ホントに。

小椋:
だから、うんうんと
肯くしかなくなる。

日和さん:
ほんとは、自分も
しゃべりたいんですけどね。

・・・

小椋:
日和さんがしゃべるとすると
どんなテーマになりそうですか?

日和さん:
自分も、夫への不満は
あるんですけど、
PさんやQさんのような、
約束を破るってことは、
夫にはないんです。
でも、こっちが相談したいことが
あっても、なんだか
うわのそらで、うんうん
言っているだけで
気持ちが伝わらないというか・・・。

小椋:
なるほど。
そのへんの不満は、
PさんやQさんには、
あるんでしょうか?

日和さん:
いや、わかりません。
でも、そんな不満は
出てこないので、
あまりないのかもしれませんが・・・。

小椋:
だったら、それ、
PさんとQさんに、
聞けばいいじゃないですか?

日和さん:
聞く?

小椋:
そう。
あのー、ちょっと
お二人に聞きたいんだけど、
お二人のご主人って、
約束はよく破るみたいで
お二人はいつもイライラするわけだけど、
こっちの話は、聞いてくれるんですか?
とかいう感じですね。

日和さん:
そのまま、聞く・・・。

小椋:
そう。
だって、それ、
知りたくないですか?

日和さん:
まあ、確かに・・・。
もし、夫が聞いてくれるのなら、
うらやましいですよね。
そういう意味で、
関心があって、聞いてみたいです。

小椋:
雑談の基本は、
相手への誠実な関心って、
以前、お伝えしていましたが、
その関心をエネルギーにした
相手への質問は、
そのままで
おもてなしになります。
なので、それが伝われば
相手は拒むことは少ないですね。

日和さん:
そうなんですね。

小椋:
早く終わらないかなと
内心、思いながら
うんうんとしぶしぶ頷いているよりは
誠実な関心だと思います(苦笑)

日和さん:
確かに(苦笑)。
その質問なら、
できそうです・・・。
結局、自分が誠実な
関心がなかった
ということになりますね・・・。
でも、その質問をしても
その後の展開が、ちょっと
不安なんですが・・・。

小椋:
例えば?

日和さん:
Pさんも、Qさんも
予想通り、夫は
話をわりと聞いてくれる
ということがわかったら、
その先、
どうなるんでしょうか?

小椋:
そこで、
日和さんのご主人のグチを
日和さんのペースで
静かに語り始めたらよい
と思いませんか?

日和さん:
・・・確かに、
そうですね。

小椋:
そして、そのグチのオチは、
うちの夫は、約束は守ってくれるが
それって、なんだが
カタチだけやっている感じで
こころの交流がない、
それに比べると、
こころの交流ができている
Pさん、Qさんが
うらやましい、
という流れにすればよい。

日和さん:
確かに・・・
その流れなら、
PさんとQさんの弾丸トークに
挟めそうです。

小椋:
かつ、そのコメントが
またまた、おもてなしになる。
PさんとQさんだけなら、
似たもの同士の共感の
応酬だけになってしまう。

そこに、日和さんの
ご主人への別のタイプの不満を
シェアして、逆に、
Pさん、Qさんのご主人の
よいところを指摘することになるので、
雑談が、
すごく膨らむと思いますよ。

日和さん:
確かに・・・。
でも、そんなにうまくいくかな(苦笑)

小椋:
大丈夫!
ぜひ、やってみてください。

日和さん:
はい(苦笑)

・・・

日和さんのその後は
次回の最終回でお伝えすることとして、

今回は、
日和さんのケースから学べる点を
整理しておきましょう。

ファシリテーター
という言葉、聞かれたこと
あるかと思います。

元来は、
促進する者、という意味の
英語ですが、

最近では、
各種ワークショップや勉強会、
ビジネスの会議において、

参加者が活溌に発言して
その場が有意義な成果を上げられるように
「促進」する、
仕切り役、進行役、という意味で
用いられています。

実は、今回の日和さんの
カウンセリングでは、

日和さんが雑談の中で
ファシリテーターになろう
ということを提案したことに
なるわけです。

PさんとQさんだけが
発言し続け、
日和さんだけが発言できない、
という「有意義でない」会話を
日和さん自身が
ファシリテーターになることで
解決しよう、ということですね。

・・・

有能なファシリテーターになるための
スキルの本は
最近、たくさん出ています。

その中から、
今回のシリーズに役立ちそうな
要素を取り出すなら、
次の2つになりますね。

一つは「要約する」。
もう一つは「質問する」。

小椋が提案した
日和さんのセリフには
この二つが
コンパクトに含まれています。

まず、PさんもQさんも
夫が約束を守らないから
イライラする、と

二人の延々と続くグチを
要約」できています。

この要約の中には、
事実と感情、その両方が
入っていると効果的ですね。

その上で、
自分の誠実な関心から生まれた
疑問を「質問」にできている。

この二つの要素があれば、
同じ調子で続く雑談の流れを
変えていくことができる。

そして、この
ファシリテーターの役割が
うまくできると、
それが、おもてなしになる、
というわけですね。

・・・

雑談が苦手で困っている時、

Do: 
グチの応酬が延々と続く時、
ファシリテーターの役割を自覚して
「要約」と「質問」を繰り出してみる。

Don’t: 
誰かがファシリテーターの役割を
してくれるのを待つ。
※待ってもよいが
誰もしてくれない場合が
多いです(苦笑)。

いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、 
ぜひ一度、お問い合わせください。