ブログ

ブログ

2021/10/11

身体リテラシー入門①:根源的な不安に対処するには?




さて、今回は
根源的な不安」がテーマです。

診察で相談に乗ることも
多いのですが、

お一人お一人、
それぞれの状況があって
画一的な対応は難しいですね。

でも、その苦しみに共通する部分も
多いように感じています。

なので、今回は、
診察では十分にお伝えできない、
その共通の部分について
取り組むシリーズにしましょう。

・・・

根源的な不安って、
そもそも、何でしょうか?

まず「ふつうの不安」ですが、
それって、感情の一種であり、

このメルマガでお伝えしている
感情リテラシー的には、
恐怖を予感する状況で発生する感情、
ということでしたね。

例えば、
試験の前日の夜、
胸のあたりがそわそわしたり
ざわざわしたり、あるいは
喉が詰まったように感じたりする、
あの不安って、

試験に落ちると進級できず
親にボロクソに言われるし
同級生と一緒に卒業できるなくなる、
その恐怖、
それを予感する、ということですね。

でも、
根源的な不安って、
それと、どう違うのか?

皆さんに共通するのは、
試験に落ちる、というような
具体的な恐怖の対象が
見当たらない、ということですね。

それがないのに、
強烈な、
圧倒されて飲み込まれるような
不安にさいなまれる。

強いて言葉にするなら
孤独」からくる不安かな、
という方が多いです。

でも、ご家族がいたり
異性のパートナーがいたり、
客観的には決して孤独とは
言いにくい方が、
それを感じている。

また、この不安の源泉が
虚無」だ、という方も
おられます。

でも、そこそこの
社会的適応もされていたり、
生活のどこが虚無なのか
パッと目にはわかりにくい方が、
それを感じている。

・・・

また、皆さんに共通するのは、
この不安は
誰にもわかってもらえないだろう、
という感覚です。

世の中の人たちは
よく、こんな不安を感じずに
生きていけるものだな、
という感じです。

だから
こんな根源的な不安を感じるのは
私だけなんじゃないか、
と思ってしまう。

皆さんは、
このような不安、
感じられたこと
ありますか?

・・・

このタイプの不安は、
精神病理学では
実存的不安、と呼ばれています。

具体的な脅威を超越した、
人間の存在そのものに関する
究極の不安、と言われています。

突き詰めると、
結局、人間は、

いずれ死ぬし、
だから意味はないし、
決して誰も本当には
自分を理解してはくれないし、
そんな自分は何者でもないし、
人に迷惑をかけるだけで
存在しない方がいいように思うし・・・

というような考えが、
このタイプの不安の背景には
漂っています。

皆さん、これって、
単なるマイナス思考だと
思われますか?

・・・

この、実存的不安が
やっかいなのは、

それが、この世の真実の
一端に触れているから、
一度、頭をもたげると、
かき消しにくい、
ということですね。

なので、古今東西、
人間の社会には、
この不安が頭をもたげないように、

いろいろな社会制度や文化が
構築されてきたわけです。

世界の中での
人間の位置づけや役割が、
いろいろな宗教や階級制度などのかたちで
デザインされてきた。

それが、近代から現代に
時代がすすむにつれ、
機能しなくなってきた。

第二次世界大戦の後、
実存的不安に真っ正面から
向き合おう、という哲学的思潮が
実存主義として隆盛したのは、
そのような時代の背景が
あったからですね。

現代でも、
実存的不安に
向き合わずにすませるための
ありとあらゆる仕組みが
世間には存在しています。

世間の多くの人が熱中するもの
それが、その仕組みです。

マスメディアを通じた
様々な著名人の活動、
大ヒットするいろいろな作品などは
その筆頭でしょう。

もともとの素質か、
辛い人生経験の果てか、
PSMとしての療養生活の
苦しみゆえなのか、

そのよう実存的不安から
目をそらせる社会の仕組みが
役に立たなかった方が、

まるで、大地の裂け目に
落ちこむかのうように、
根源的な不安に
さいなまれてしまいます。

・・・

その不安に苦しんでいるのは
あなた一人ではありません、
という慰めは、
ほとんど役に立たないようです。

では、
耐えるしかないのか?

実存的不安と
どう付き合っていくのか、
その回答は、
世の中に、なくはないです。

書籍として読めるものでは、
小椋の尊敬する精神科医の
神谷美恵子さんの
『生きがいについて』があります。

生きがいを失って
実存的不安に陥った人間が
どのように生きがいを再発見するのか、
そのプロセスを研究した結果が
平易な文章で綴られています。

小椋も10代最後の頃に、
まさにその不安に
さいなまれていた時に
読みました。

が、
あまり役に立ちませんでした、
神谷先生、すみません(苦笑)。

もちろん、
一人一人、状況が違うので
いま、手に取ってもらって
役に立つ方はもちろん、
おられと思います。

でも、ピントこない方も
おられるでしょう。

その場合、何が
噛み合わないのか?

・・・

『生きがいについて』には
からだへのアプローチが
ほぼ、ありません。

そこが、噛み合わない
理由だろうと思います。

だから、小椋は
踊ることを選んだわけです。

その結果、
今、何とか生きています、
実存的不安は、いつも
そこにありながらも。

・・・

このメルマガでは、
呼吸法や瞑想法など、
からだへのアプローチについて
既に扱っています。

それをマスターすれば
実存的不安と
付き合っていけるはずです。

でも、もっともっと
補足しなければ、

手強い実存的不安に
飲み込まれない程度に
使いこなすには
難しいだろうとも
わかっています。

なので、今回のシリーズで
その補足をやってみましょう。

プロセス指向心理学の
6つのチャンネル、
覚えておられますでしょうか?

3つ目のの
身体感覚のチャンネル
そこが苦手な方が、

実存的不安にやられている
場合が多い、と小椋は
見ています。

・・・

根源的な不安に
さいなまれている時、

Do: 
自分のからだとの
コミュニケーションが
今以上にすすむと
実存的不安が緩和する
可能性があると知る。

Don’t: 
からだへのアプローチが
今まで不発だったからと
あきらめる。

※チャンネル・スイッチという
スキルで対処できます。
その辺りもおいおい
ご紹介します。

※自分のからだとのコミュニケーションが
すすむためには、
自分のからだが発する情報を
読み取るスキルの上達が必要です。
よって、このシリーズは、
身体リテラシー入門、と題します。

いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、 
ぜひ一度、お問い合わせください。