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2022/05/09

「毒親」とは何か①:「毒親」という用語の由来



さて、今回から、
新しいシリーズが
始まります。

皆さん、
毒親(どくおや)」という言葉、
耳にされたこと、
ありますか?

診察でも、
自分の親、特に母親について、
女性の方が口にされる場合が
多いです。

何かにつけて
「あなたのため」と言いながら
過剰に関わってきて、
真綿で首を
絞められる感じがする・・・、
あるいは、逆に、

小学校低学年の頃から
妹たちの食事の用意を
強制させられる一方、
自分はパチンコに行っている・・・、

さらには、
愛人をつくった上で
お前は邪魔だ、出て行けと
包丁を突きつける、
などなど。

確かに・・・
そうですね・・・と
うなずくしかないエピソードが、
ものすごくたくさん、
かつ、多彩に、
出てきます。

もちろん、
父親についても、
男性の方、女性の方いずれも
おっしゃる場合があります。

しかし、その一方で、
似たようなつらい親子関係を
生き延びてきたはずなのに、
決して、自分の親を
毒親、とは言わない方も
おられますね。

また、毒親という言葉を
使う時のトーンも、

いまは縁を切って
せいせいした、という場合や、

もう、諦めています・・・、と
うなだれてしまう場合など、

これまた、いろいろ。

毒親、という
言葉にまつわる状況は、
ものすごーく、複雑です。

・・・

でも、
毒親、という言葉を
使おうが使うまいが、

診察でお会いする多くの
PSMの方、

親子関係のダメージが
ハンパないです。

特に悲しみを禁じ得ないのが、
せっかく、その親子関係を脱して
自立したのに、

体調を崩して
実家に戻らざるを得なくなって、
そのダメージが
倍返しで襲ってくる、
というパターンです。

自立できないので
実家に戻った訳ですから、
毒親だろうがなんだろうが、
お世話になるしかない・・・、

でも、療養しているんだか
どんどん悪くなっているんだか
もう、わからなくなります。

・・・

診察では、
それぞれの状況に応じて
できるだけの対策を
一緒に相談しながら
講じていますが・・・、

先ほどご紹介したように、
ものすごく、
状況が多彩、なんですね。

簡単に、マニュアル化が
できない。

でも、
親子関係のダメージを
マシにするための、
原理原則、のようなもは、

小椋も欲しいし、
それを文章にしたものがあれば、
皆さんにも伝えやすい。

そんな思いは
以前から、ありました。

その宿題の回答が
このシリーズになります。

毒親、という
ものすごくインパクトのある、
でも、
精神医学の観点からは
あまりにもあいまいすぎる、

この用語の内実の整理を
一つのきっかけとして、

その宿題に
取り組んでみましょう。

初回の今回は、
毒親、という用語の
原点となっている
ある書籍について、
ご紹介します。

・・・

米国のセラピスト、
スーザン・フォワード
1989年に出版した書籍です。

原題は、
Toxic Parents(毒性のある親)で、
副題の和訳(小椋)は、

こころを傷つける
彼らの負の遺産を克服し、
自分の人生を取り戻そう
となっています。

2013年に
毎日新聞出版から出た和訳が
『毒になる親』で、

略して、毒親
ということですね。

著者は、毒親とは、

子供に対するネガティブな
行動パターンが執拗に継続し、
それが子供の人生を
支配するようになってしまう親

と説明しています。

毒親が、
いくつかのパターンに分類されて、
適確な実例も示されているので、

これって、まさしく
私の親だ・・・、と
目からウロコの読者も
多いだろうと思います。

また、セラピーの方針も
小椋自身が試みていることと
基本的に同じで、
まあ、そうするしかないよな、
と納得できる内容になっています。

ただ、
「自分の人生を取り戻す」とは
そう、簡単ではない場合も多い。

親からダメージを受けながらも、
その一方で、
親にいかんともしがたい愛着や
尊敬を持っていたりする場合も多く、

その親を、毒親、と突き放すことが
ものすごく受け入れ難い、
という場合もあるでしょう。

もちろん、著者は、
それを承知で、
その指摘もしています。

ある種、毒親に対する、
劇薬の解毒剤
といったところでしょうか。

・・・

だったら、
このシリーズは今回でおしまいで
その本を読めばよいんだな?
とツッコミが来そうです。

むむむ、そう
簡単ではないですね・・・。

その本は、原則、
毒親から離脱する方向を
進めています。

でも、先ほど、
しばらく実家で
療養するしかない例を
ご紹介しましたね。

そう簡単に、
離脱できないから、
困っている。

じゃあ、どうする?

・・・

小椋は、まずは
親の言動を
見切る」という作戦を
一緒にやっています。

親は何を思って
何を信じて、
そのような言動を取るのか、
それをよくよくこちらが自覚する、
ということです。

例えば、
うわべはあなたのため、
と言いつつ、実際は、
そうではないよな・・・、
それを、一緒に整理していく。

同居せざるを得ないなか、
できることは、まず、
それですね、
それで、ダメージを減らす。

例えるなら、
ボクシングで、パンチをもらうのを
避けられないが、
首をねじって、いなす、
というイメージです。

心理的に
ふりわまされることを
限りなく、少なくする。

・・・

でも、このあたりの情報が、
『毒になる親』には
少ないのです、

毒親の言動が、
現象としては、
十分に記載されていますが。

一体、
なんでこの親は
いつも、こうなんだ?
どれだけ言っても、
なんで、わからないんだ?
なんで、変わらないんだ?

このあたりの納得が
私たちには、もっと必要です。

それのヒントをくれる、
別の書籍を
次回はご紹介します。

毒親の、
何が、どこが
毒なのか?

それが、わかれば、
「毒親」という言い方よりも
より正確な用語が用意できる
小椋は考えています。

このシリーズは、
その、別の書籍を紹介しつつ、
その内容を踏まえて、
毒親に変わる、
具体的な別の呼称を
提案しようと目論んでいます。

・・・

毒親対策について
取り組む時、

Do:  
毒親の本質について
より深く自覚することが
有用だと知る。

Don’t:  
毒親は毒親のままで
自分にできることはないと
あきらめる。

いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、 
ぜひ一度、お問い合わせください。