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2022/08/14

自己肯定感を上げるためのコツ③:療養の中での「他人軸」



さて、
自己肯定感をテーマにした
シリーズ、その3回目です。

前回は、こちら↓

感情リテラシーの観点から、
自信という感情は、
自分の生存能力を
高く評価できる、という状況で
発信される、と整理しました。

でも、
そもそも生存能力とは何か?
そして、
それを評価する基準は何か?

そのようなややこしい点があるから
自信という感情って
ものすごく複雑だよね、
ともお伝えしました。

そしてご紹介したのが、
他人軸自分軸
という整理の仕方でした。

他人軸とは、
他者と共有しやすい
価値観と評価基準、

自分軸とは、その逆で
他者と共有しにくい
価値観と評価基準、
でしたね。

この流れを踏まえて
今回は、

数多くの似たような状況の
患者さんの特徴を抽出した
架空の例をシェアすることから
始めましょう。

・・・

40才、男性の
会社員のAさん

うつ病で休職して早くも
半年が経ちますが・・・、
精神科に通院して
抗うつ薬も内服していますが・・・、

いまだに毎朝、からだが
鉛のように重くて
起きられません。

これではマズい、
早く復職しないと・・・
家族を養わないと・・・
家計がヤバい・・・と思って
こちらへ転医してこられました。

Aさんが、肩を落として
ため息まじりに語られました。

まさか自分が
うつ病で休職するなんて
夢にも思いませんでした。

でも、ネットで見ると
確かに、自分みたいな方、
おられるんだなとは、
わかりました。

きっと、セロトニンが
不足したんですよね。

そして、いろいろ自分でも
試してもみましたが
何一つ、うまくいかず・・・
もう、自己肯定感、
ゼロですね・・・。

ネットで検索すると、
運動がいいって
書いてありますよね。

早速、翌日、
しんどかったですが
5000歩、散歩してみましたが、
逆に2週間、
寝込んでしまいました。

サプリがいいって
書いてありますよね、

10種類のサプリを3ヶ月、
合計、15万円、費やしましたが
何も変わりません・・・
妻を激怒させただけでした。

職場は、復職するには
復職デイケアを利用せよと
言ってきてます。

まず、週3日、
その後、週5日、と。

でも、週1日でも、
いまの朝の体調だと
とても自信がありません・・・。

・・・

さて、このような
自己肯定感、ゼロの
Aさんですが、

このシリーズの、ここまでで
得た知識を使って、

まずはAさんの状況を
整理してみましょう。

・・・

Aさんの自己効力感
どうでしょうか?

まず、Aさんの「現実」は
何か。

もちろん、
うつ病で休職を余儀なくされ、
半年たった今も
朝の不調が続いている、
この日々、ですね。

この現実は、
放置しておくと
家族が路頭に迷うので
死活問題、ですね。

この現実に対して、
Aさんは、Aさんなりの
努力をしています。

まず、定期通院して、
内服をしている。
しんどい中、
それは決して、簡単なことでは
ありません。

それでもよくならないので
ネット検索の情報で、
散歩とサプリをやった、
でも、悲しいかな、撃沈。

Aさんには、
自分の現実を、
たとえ少しでも、自分の力で
変えることができた、という
その手応えは、ゼロでしょう。

つまり
自己効力感
ない。

・・・

自信の感情リテラシー
観点からは、
どうでしょうか。

Aさんは、いま、
自分の生存能力を
高く評価、できるでしょうか?

まず、この状況における
Aさんの生存能力とは、

現在の体調不良を回復させ、
復職して、
再度、稼ぐことができるようになる、
その能力、
ということになりますね。

・・・

では、Aさんは、いま、
その生存能力を
どのような価値観と評価基準で
評価しているでしょうか?

それらは、目下、
精神科の主治医の診断・治療と、
ネット検索の情報と、
職場の上司の指示、に
由来しています。

そして、具体的には、

この体調不良は、
・うつ病と呼ばれ
・抗うつ薬の内服が有効であり、
・運動やサプリも有効である、
という価値観であり、

その体調不良の回復を
・まずは週3日、
・その次は週5日、
復職デイケアに
通所できるかどうか、で判定する、
という評価基準だ、

ということです。

この価値観と評価基準は、
他人軸でしょうか、
自分軸でしょうか?

これは、
典型的な他人軸
と言えるでしょう。

目下、Aさんが抱いている
価値観と評価基準は、

すべて、

精神医学とそれに従う精神科医や、
ネット上の不特定多数の他者や、
職場の上層部、
それらの他人が、
違和感なく共有できる、
価値観と評価基準、
と言えるからです。

・・・

このように整理した上で、
最初の問いに戻りましょう。

Aさんは、いま、
自分の生存能力を
高く評価、できるでしょうか?

これへの回答は、
明瞭ですね。

Aさんは、
体調不良が改善しないため、

復職デイケアへ
まずは週3日からの通所なのに

週1日も通う自信がなく、
その実績もなく
見通しもない。

Aさんは、目下、
自分の生存能力を
低くしか評価できない、
となるわけです。

なので、
自信、という感情の
湧きようがないのです。

だから、Aさんが、
自己肯定感ゼロです、
と嘆くのも、無理はない・・・、
となるわけです。

・・・

さて、今回は
ここまでです。

Aさんのケース、
サラッと流せば
もっと手短に
お伝えできるところを、

ゴチャゴチャと
説明しているのには、
理由があります。

このシリーズで、今後、
自己効力感が上がらないパターンとして
いろいろ、お伝えしていく中で、

このAさんを、
一つのひな形にしようと
目論んでいるからです。

例えば、
このAさんの場合、
幸いにも、

生きるか死ぬかの
生存競争がかかった
切迫した現実に、とにもかくにも
向き合うことが、
できています。

だから、次回お伝えする予定の、
Aさんなりの
自分軸を用意できたなら、

Aさんは、
体調不良から回復し
自己効力感をアップさせることは、
可能です。

でも、
いろいろな事情で
その現実に向き合うことが
できない方も
多いです。

その方の場合、
いくら自分軸を設定しても
自己効力感のアップに
つながらないケースが
見られます。

このシリーズでは、
通り一遍でない、
そのあたりの込み入った事情を
徹底的に
お伝えしようと思います。

・・・

自己肯定感の低さに
悩んでいる時、

Do:  
Aさんのケースを通じて
他人軸の具体的な
イメージを持つ。

Don’t:  
Aさんの他人軸が
他人軸の全てだと思い込む。
他人軸とは、
具体例を挙げると
どんどん、出てきます。

療養ではなく、
結婚をテーマにすれば
その系列の
価値観と評価基準が
ズラッと出てきますよね。

容姿、身長、体型、
年齢、職業、年収、
離婚歴があるかどうか・・・
学歴はどうか・・・、
これらはみな、
他人軸、ですね。

そして、いかに
我々は他人軸に
「犯されている」
「浸されている」かも
見えてくると思います。

いかがでしたでしょうか?
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