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2017/04/03

発達障害とは:自閉症スペクトラムという少数派の意義

さて、今回も、
前回に続き、発達障害がテーマです。

前回は、
重度の自閉症の方の例を通じて、
自閉症のエッセンスについて
お伝えしました。
前回はこちら↓
発達障害とは:まず、自閉症の本質を知ろう

今回は、
この自閉症のエッセンスが、
自閉症スペクトラムの中で
「希釈」されると、
どんな状況になるか、
見ていきます。

・・・

ヒトの持つ4つの機能、
その中の「信じる」に関して、

自閉症スペクトラムでは、
その対象が、

「ヒト」ではなく、
「宇宙のメカニズム」に傾く。

その結果、
ヒトの残りの3つの機能、
「考える」「感じる」「動く」に関して、
多数派とは違う発達の経過をたどる。

その、少数派が示す特徴を、
特に、(+)と(ー)に大きく分けながら、
具体的に挙げてみましょう。

(+):「宇宙のメカニズム」を信じる

その結果、

「考える」においては、
数字や記号などの特定の言語や、
乗り物、機械、爬虫類など特定のイメージに関して、
顕著な発達を示します。

「感じる」においては、
図などの視覚像、
テレビゲームの体験などの特定の感覚や、
その感覚を刺激するものへの強い喜びに関して、
顕著な発達を示します。

「動く」においては、
上記の対象に対して、
それを熱心に収集する、
長時間、それに集中するなどの行動が、
顕著な発達を示します。

一方で、

(ー):「ヒト」を信じる、が少ない

その結果、

「考える」においては、
ヒトとのコミュニケーションに必要な、
辞書的な意味を超えた言語の理解や、
ヒトの集団で共有されているイメージ、
(例えば、男性のイメージ、女性のイメージ)
に関して、発達が遅れる。

「感じる」においては、
ヒトの集団で共有されている、
からだを触れ合う感覚や、
ともに笑い・泣くなどの感情に関して、
発達が遅れる。

と同時に、
ヒトの集団では違和感なく共有されている
光や音の感覚に対して、
過剰に不快に感じる。

「動く」においては、
ヒトの集団で共有されている、
立ち居振る舞いや、
衣食住についての習慣的な行動に関して、
発達が遅れる。

・・・

さて、
自閉症スペクトラムとは、

この(+)と(ー)が、

いろいろな程度の「濃さ」で、
いろいろな比率で、
ブレンドされている、
そのパターンの全体を指します。

濃さの段階を、
(+):薄い、
(++):中間、
(+++):濃い とすると

多数派に近い側から、
少数派の、
重度の自閉症の側に向けて、

(+)(ー)、
(++)(ーー)、
(+++)(ーーー) と、

スペクトラムが
イメージできると思います。

もちろん、
(+++)(ー)や、
(+)(ーーー)などの
パターンも、あり得ます。

・・・

さて、ちょっと、
小難しくなってきましたね。

でも、
発達障害という診断にまつわる、
ダメージや混乱を避けるために、
是非、もう少し、
おつきあい下さい。

ここでお伝えしている見方に
なじんでもらうと、
一般的な説明では見えてこない、
展望が開けてきますから。

一番のポイントは、
自閉症スペクトラムの特性を、
上述の、(+)と(ー)に、
整理している点です。

まず、
(+)であることが、
自閉症スペクトラムという少数派の、
存在意義だ、と言えます。

そして、
(ー)は、いわば、
(+)であることの、
代償だ、と言えます。

この見方は、
自閉症スペクトラムを、
精神障害として捉えているだけだと、
診断基準のみから理解しようとすると、
決して、見えてきません。

まず、
自閉症スペクトラムが、
何において、少数派なのか、
その理解が、
とてつもなく、重要です。

(+)を信じる生命体が
多くを占める惑星に生まれていたら、
彼らは、多数派なのだから。

でも、ここは、地球だ。
ゆえに、彼らは、
生きにくさに苦しむ。

(+)の特性も、
(ー)の特性も、ともに、
地球での生活に、
支障を来す要因になってしまう。

障害としての診断基準は、
この少数派のストーリーを考慮することなく、
不適応の点のみで、
評価することになる。

でも、時に、
(+)の特性が、
IT革命を生み出す
原動力となる場合もある。

(ー)の特性が、
ヒトに関する固定観念を前提にする
多数派のあり方に、
根源的な疑問をつきつけるきっかけに、
なる場合もある。

(+)の特性も、
(ー)の特性も、

本人が、
家族が、
そして、多数派の社会が、

それをいかに、
活かし、育て、共存するか
それ次第で、
価値が変わってきます。

そこに、
本人にも、
家族にも、
多数派の社会の側にも、
未来がみえてきます。

さて、
自分が発達障害かどうか、
気になる時、
まずは、

Do:
自閉症スペクトラムの
上記(+)(ー)の特性を、
活かすべき
少数派のメッセージと理解した上で、
スペクトラム上の
自分の位置を考える。

Don’t:
自閉症スペクトラムの
上記(+)(ー)の特性を、
矯正すべき残念な症状とのみ思い込み、
スペクトラム上の
自分の位置を考え、
大なり小なり、
落ち込む。

さて、
抽象的な議論が続きました。
具体例が、欲しいですよね。

次回は、
自閉症スペクトラムの
実際のケースを紹介しつつ、
(+)(ー)の特性の
活かし方を一緒に
考えていきましょう。

いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、
ぜひ一度、お問い合わせください。