ストレッチのための呼吸法:胸腹式呼吸の準備
さて、今回からは、
からだのストレッチの話題が、
しばらく続く予定です。
でも、実は、
ストレッチを効果的にするために、
呼吸法が、とても大切です。
深く、長く、遠くまで
息を吐ききる中で、
筋肉が、むにゅーっと
伸びていくからです。
つまり、今回は、
ストレッチのための、
呼吸法のお話です。
実は、
第36号から44号まで
呼吸法を扱いました。
おなかが膨らむのを
静かに感じる、
腹式呼吸がテーマでした。
今回は、別の観点から、
呼吸法に取り組んでみましょう。
まず、
簡単なワークから。
・・・
胸の前で、合掌します。
指を立てたまま、
右の手のひらを、
左から離し、
右の脇の下に
もっていきます。
指は上向きのまま、
手のひらは、
右のあばらを
しっかり
押さえつけている状態。
左も、同様にします。
まるで、
合掌する自分の
手のひらの間に、
自分の上半身を
挟んでいる状態。
この挟まれている、
自分の上半身、
この部分を、
胸郭(きょうかく)と
呼びます。
あばら骨で囲まれた、
鳥かごのような構造です。
この中に、肺が、
スッポリと収まっています。
※指の向きが、
上だとキビシイ方は、
前向きでも、大丈夫です。
さて、ワークは、
この先です。
息を吸った時、
できるだけ、
この胸郭が膨らむように、
やってみてください。
前にも、後ろにも、
もちろん、左右にも。
そして、吐く時、
できるだけ、
胸郭がしぼむように。
これ、
胸式呼吸と言います。
(腹式、ではなく)
・・・
そして、そのまま、
ワーク2。
左手は、そのままで、
右手を外して、
その右手で、
左の自分の胸郭を、
調べてみましょう。
肋骨が、
どんな形をしているか。
肋骨と肋骨の間の溝は、
ちゃんと、あるか。
(当然、ありますが)
あと、一番下の肋骨は、
どのへんか。
それは、どんな形をしているか。
なるほど・・・
とわかったら、
もちろん、
反対も、やってみましょう。
そして、
両方の手を
一番最初の合掌にもどします。
もう一度、
胸式呼吸をやってみます。
自分の胸郭が、
しっかり、
感じられますか?
これが、自分の、
肋骨で囲われた、
上半身の、カタチなんだ 、と。
それが、呼吸に合わせて、
大きくなったり、
しぼんだりする。
胸郭って、
動くんですよ。
・・・
いかがでしょうか。
療養生活が続き、
意識してからだを動かすことが
少ないと、
この胸郭、
ほとんど、
岩の塊のようになってます。
ここが、岩のままだと、
どんなに、手足や、
背筋をストレッチしても、
うおー、効くー
という感じになりません。
この胸式呼吸のコツは、
横隔膜という筋肉を
意識することです。
これは、次回、
わかりやすい図を用意した上で、
取り組んで見ましょう。
実は、腹式呼吸も、
同じです。
横隔膜を意識すると、
第36号〜44号で扱った、
瞑想に近い呼吸法とは
違った印象を与えてくれます。
目が覚めるような、
エネルギーがわいてくるような、
パワー、あります。
このタイプの腹式呼吸と、
今回の、胸式呼吸、
一緒に意識してやると、
胸腹式呼吸、になります。
これ、パワー無限大(笑)。
岩のような胸郭、
溶けたアイスのような下腹部。
それが、
横隔膜を深々と使うことで、
一体になって、
生き生きと復活していきます。
ギリシア彫刻で、
頭も四肢もない
胴体だけ残ったもの、
ありますよね。
その胴体の部分、
体幹(たいかん)と言います。
これ、
人体の、エンジンに相当します。
体幹には、地味ですが、
いろんな筋肉が働いています。
首や肩だと、
胸鎖乳突筋、僧帽筋…
胸郭まわりだと、
大胸筋、前鋸筋、
肋間筋など・・・
下腹部だと、
腹直筋、腹横筋、腹斜筋・・・
背骨にそった、
脊柱起立筋と広背筋・・・
この体幹を、
上下に仕切る、横隔膜。
胸腹式呼吸で、
それらすべてが、
ムズムズと動き始める。
ある意味、これが、
最大のストレッチ、とも言えます。
この呼吸法ができていると、
どんなストレッチも、
どんなヨガのポーズも、
どんなスポーツの動きも、
ストレッチになります。
逆に言うと、
これが、できていないと、
ほんとうの意味で、
ストレッチにならず、
動けば動くほど、
無理をして、からだを痛める、
というパターンになります。
つまり、
ストレッチのやり方が
わからない時、
Do:
まずは、
横隔膜を意識した
胸腹式呼吸を身につける。
Don’t:
岩のような胸郭と、
溶けたアイスのような
下腹部のまま、
手足だけをストレッチする。
いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、
ぜひ一度、お問い合わせください。