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2021/11/14

身体リテラシー入門⑥:対処法の中の「攻め」と「守り」



さて、身体リテラシーのシリーズ、
今回は第6回目です。

前回はこちら↓

エッジ(境界)という
プロセス指向心理学の用語について
詳しくお伝えしました。

特に、このシリーズのテーマである
根源的な不安、との関係について、

それは、自分の死の予感
エッジの向こう側から
圧倒的な勢いで迫ってきているからだ、
と分析しました。

その実情を
具体的なイメージとして、

小さな無人島(=自我)が
迫り来る海洋(=死の予感)と
波打ち際(=エッジ)で
せめぎあっている状況だ、
とお伝えしました。

さらに、予告として、
その状況への対処法の概要も
お伝えしています。

結局、
解剖学者の三木先生のお子さんの、
膀胱感覚を身につける
ドタバタ劇にヒントがありました。

今回は、
その流れを受けて、
さらに具体的な作戦を
立てて行きましょう。

・・・

どんな作戦でもそうですが、
いわば、
攻め守りのバランスが重要です。

無人島の例えはわかりやすいので
そのイメージで説明しますね。

満潮の時
波打ち際がヤバいぐらい
迫ってきています。
(=病状が悪化している時、
ということですね。)

この時は、とーぜん、
守りに徹しましょう。

この状況での守りとは、
沈没していない無人島のゾーン、
つまり、

根源的な不安が迫っていても
完全に飲み込まれ切ってはいない
自我のゾーン

それをしっかり確認する
という作業になります。

今回は、後ほど、
その具体的な作戦を検討します。

・・・

では、攻めるとは、
どんな作戦になるのか。

干潮の時
波打ち際は比較的
遠のいています。
(=病状がやや小康状態、
ということですね。)

その状況にあって、かつ
守りに関してある程度、
自信がついているなら、
攻めに出よう、というわけです。

攻めの基本方針は、
身体感覚のチャンネルから迫ってくる
得体の知れない不快な感覚を、

チャンネル・スイッチによって、
他のチャンネルで表現してみる、
ということになります。

その目的は、
表現することによって
エッジの向こうから来る情報を
自我に取り込みやすくする、

その結果、
自我のゾーンを広げて
進化した自我を育て、
エッジを乗り越えゆくことを可能にする、
ということですね。

膀胱感覚のドタバタ劇で言うなら、
腰を振ったり、
地団駄を踏んだり、という
身体運動のチャンネルの活用でした。

でも、この攻めでは、
エッジの向こうの何者かに
ある程度、向き合うことが
必要になってきます。

つまり、それだけの
準備ができていないと
しんどい、ということです。

守りでは、
エッジの向こう側については
とりあえずふたをしておく」という
作戦になります。
でも、これはこれで
大切な作戦なのです。

攻めについては
次回以降で、検討しましょう。

というわけで、
今回は、守りについてです。

・・・

結局、守りの場合も、
ポイントになるのは
チャンネル・スイッチです。

6つのチャンネルって、
何でしたっけ?

1:視覚
2:聴覚
3:身体感覚
4:身体運動
5:他者との関係
6:世界との関係、でした。

3:身体感覚のチャンネルから
根源的な不安が襲ってきている時、

その情報には深入りせず、
他のチャンネルの情報へ
選択的注意を向ける。

もっと言うと、
選択的注意を向けやすいように
そのチャンネルに情報を
「自分から入れる」。

理想論ではなく
日々の療養で
現実的にできることには
どんなものがあるでしょうか?

・・・

1:視覚、の場合、
純粋に視覚だけ、という情況は
あまりないですかね。

2:聴覚、と合わせた
動画などの刺激は使えます。

実際、お気に入りのお笑い芸人の
動画を見まくる、という方、
おられます。

この場合、
5:他者との関係も、
刺激していることになります。

映画なら、
特徴的な世界観も表現されているので
6:世界との関係も、
刺激しています。

無人島に一人、
迫り来る海鳴りの中、
じっと動画を見て
しのいでいる、というイメージですね。

その、
動画に集中できている自分が、
沈没していない自我、に
なるわけです。

これが、ゲームになると
ある程度、ジョイスティックなども
動かすことになるので、
4:身体運動も、
刺激することになります。

また、プレーヤーとして
能動的にかかわるので、
没入感がアップします。

久しぶりにやってみて
これは使えた、という方、
おられます。

・・・

同じ動画でも、
踊りの動画を見ながら
自分も踊る、という方、
おられます。

この場合、
4:身体運動
メインになりますね。

ひたすら、
ピアノを弾き続ける、
という方もおられます。

これは、聴覚と
身体運動への刺激です。

好きな作曲家の場合なら
5:他者との関係
6:世界との関係への
刺激ともなります。

ひたすら、
プールで泳ぐ、
という方もおられます。

身体運動だけではなく、
水中、という刺激が
身体感覚(皮膚)も刺激します。

・・・

しんどい時、
とてもそんなエネルギーないよ、
という方も多いです。

そんな時、
強力な刺激になるのは、
信頼できる人とのコンタクト、
つまり
5:他者との関係、ですね。

同居のお母さんに
添い寝をしてもらう、という
必殺技でしのぐ方、
おられます。

友人に長電話で
話を聞いてもらう、
という方もおられます。

電話でなくとも、
LINEや、
各種チャットなどの
コミュニケーションでしのぐ、
という方もおられます。

・・・

いま、根源的な不安が、
3:身体感覚のチャンネルから
押し寄せてきているとして、

その同じチャンネルの、
別の情報に選択的注意を向ける
という作戦も、有効です。

その鉄板なものは、
やはり、呼吸法
でしょうね。

このメルマガでご紹介してきた呼吸法は、
まんぜんと吸っては吐く、ではない、
チャンネルへの注目を
強調した内容になっています。

睡眠とリラックスのための呼吸法
というタイトルのシリーズでした。

こちら↓

ぜひ、今回のシリーズをきっかけに
復習して頂けるとよいかと思います。

最初の
「チャンネルへの選択的注意」は、
呼吸法の具体的な段取りを紹介しつつ、
その都度、
どのチャンネルに注目すればよいかを
お伝えしています。

後に続く記事は、
その呼吸法を通じて、
どのように内受容感覚を育てていけば、

※内受容感覚、という用語は
出てきませんが、

自分のからだと
コミュニケーションがとれて、
その結果、
「安心感」につながるのかを
結果的に、紹介しています。

今回のシリーズの
中核の部分になりますが、
実は、呼吸法という枠組ですでに
ご紹介はしていた、
とも言えます。

次回は、その
睡眠とリラックスのための呼吸法
のシリーズを、

今回の観点から
整理する内容になります。

事前に目を通しておいて頂くと、
わかりやすいかと思います。

・・・

根源的な不安に
さいなまれている時、

Do: 
攻める作戦と
守る作戦を区別する。

Don’t: 
攻めるでもなく
守るでもなく
オロオロしてしまう。

※身体感覚のチャンネルを圧倒している
根源的な不安に「ふたをする」とは、
一旦、それを「置いておく」「見ないでおく」
ということです。

が、それって実は、
「向き合う」のとは別の感触になりますが、
それなりの「勇気」が必要になってきます。

恐いものは、ついつい、
気になって見てしまうものです。
でも、向き合う勇気は、ない。
それが、中途半端な
オロオロした状態、です。

チラッと見たくなるものを
見ない決意をして
選択的注意を別のものに向ける、
その勇気を練習する、
ということになります。

いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、 
ぜひ一度、お問い合わせください。