脳腸相関とは?:精神栄養学★事始め②
さて、今回も、
前回に引き続き、
精神栄養学のテーマです。
前回の記事は、こちら↓
乳酸菌とうつ病との関係は?:精神栄養学★事始め①
腸内フローラ、
脳腸相関、
プレバイオティクス、
プロバイオティクス、
などのキーワードが出てきました。
でも、講義が続くと、
うんざりしますよね。
まずは、小椋が
勤務医時代にサポートした、
躁うつ病の女性の方のケースを
ご紹介します。
※個人情報に配慮し修正しています
・・・
30代後半の女性(A子さん)。
抑うつ状態が再発し、
再休職に入って、早くも1年が経つ。
最初は、
治療へのモチベーションもあって、
生活リズムを維持し、
リハビリに取り組んでいたが、
彼氏とのトラブルをきっかけに、
自暴自棄に。
夜中にスマホのゲームをやっては
昼夜逆転になり、
生活リズムが乱れると、
食生活も乱れる。
日中、買い物に行けず、
自炊をあきらめる。
空腹にまかせて、
夜中にカップ麺を
かき込んだり…。
一日中、寝込んで、
何も食べない日があったり…。
もともと便秘気味なのが、
ひどい下痢と、便秘を
繰り返すようになりました。
体重がどんどん低下。
原因不明の微熱や、
嘔吐、腹痛も出てくる。
内科を受診しても、
特に異常なし。
過敏性腸症候群ですね、
と言われ、
整腸剤を出されておしまい。
そして、うつは、
ドロ沼に突入する…
・・・
外来でサポートしながら、
なんとか、
生活リズムと食生活を
立て直そうと努力しましたが、
無理でした。
その時、
まず、これを読んでみて下さい、と
用意した冊子を手渡し、
うつの療養の中で、
腸内フローラを回復させることの
大切さの理解を促し、
食生活を立て直す
モチベーションを取り戻してもらい、
まずは、このサプリを試して見て下さい、
と具体的な
精神栄養学の助言ができていたら…
短時間の外来診療でも、
なんとかなったかもしれない、
そんな後悔の念がよぎります。
このメルマガで、
精神栄養学のテーマを扱うのは、
これをもとに、
その「冊子」を用意したい、
そんな思いがあるからですね。
・・・
さて、このA子さん、
たぶん、腸内フローラは
悲惨なことに
なっていたと思います。
脳腸相関の観点から、
腸内フローラが持つ重要な機能を、
2つ、挙げます。
①:腸粘膜の機能の維持
腸内フローラは、
腸の粘膜に寄生しつつ、
その機能をサポートしています。
腸の粘膜は、
人体の内部と外部を区別する
とても重要な「関門」です。
何を取り入れ、
何を取り入れないか。
何を排泄し、
何を排泄しないか。
下痢と便秘を繰り返すとは、
まずは、水分に関する
このコントロールに
失敗している証拠です。
でも、事態はそれだけでは
収まりません。
通常なら、
粘膜を通過しないはずの
有害な異物が、
体内に入り込むことにもなります。
これが、前回お伝えした
事態です。
再掲しますね。
腸内フローラの機能低下
↓
腸の粘膜の機能低下
↓
リポ多糖という物質が
腸の粘膜をすり抜けて
血中に入り込む
↓
炎症反応を起こす
↓
脳にダメージを与える
↓
うつを引き起こす
腸内フローラの機能が回復すれば、
この流れは、
食い止められます。
②:神経伝達物質の産生
腸内フローラは、
グルタミン酸やGABA(ギャバ)などの
神経伝達物質を作ります。
加えて、
腸の神経細胞が、
セロトニンを産生する、
そのサポートもしています。
†:セロトニン
うつに関連する神経伝達物質
実は、
腸の神経細胞が産生する
セロトニンの量は、
体内の総量の
80〜90%に及びます!
腸の神経が
「第二の脳」と
言われるゆえんです。
A子さんの腸内フローラは、
このような重要な仕事が、
まったく、
できていなかったでしょう。
・・・
腸内フローラの機能を
回復させることが、
うつの療養に
どれだけ重要か、
伝わったでしょうか?
特に、
お通じが不調の方は、
優先順位としては、
極めて、高いです。
下痢、便秘がひどくなくても、
微熱などの
炎症反応のある方、
吐き気や腹痛など
お腹の症状のある方、などは、
取り組む価値、
あります。
・・・
さて、ここまで、
うつの療養を前提に
お話ししてきましたが、
不安障害や
発達障害など、
他の不調にも、
脳腸相関が
深く関連していること、
わかってきています。
診断を問わず、
PSMみんなにとって、
すごーく、
重要なテーマなんです。
・・・
さて、
うつへの対策として、
乳酸菌を考える時、
Do:
うつに限らず、
すべてのPSMにおいて、
健全な腸内フローラの維持を、
療養生活の基本にすえる。
Don’t:
私はお通じは大丈夫だからと、
自分に関係ないと決めつける。
いかがでしたでしょうか?
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