からだの痛みの奥深さ:アプローチの原則
今回は、
体の痛みについてのお話です。
あなたは、今、
体のどこかが痛くて、
困っていますか?
ときどき痛む?
ずーっと痛む?
心療内科には、
他の身体科で
「異常なし」と言われたPSMの方が、
受診されます。
自分としては、体が痛いのに、
なんで「メンタル」なのか、と
不満げな方も多いです。
ここで「メンタル」とは、
精神疾患の病態から説明可能な、
という意味で使っています。
「痛み」は、
かなり奥深いテーマです。
心療内科では、
体の痛みに向きあっていると、
こころの痛みと
区別がつかなくなる場合も多いです。
また、
ペインクリニックなどでは、
痛みの神経伝達についての
解剖学、生理学を駆使して、
痛みと戦っています。
今回は、実際のケースを
いくつか、ご紹介して、
その奥深さを
お伝えしようと思います。
ケース1
70代の統合失調症の女性。
普段からいろいろ体の訴えあるため、
今回、腹痛を訴えるも、
施設ではしばらく経過観察となった。
念のため、腫瘍マーカーを採血すると、
異常高値。
大腸癌が疑われた。
ケース2
60代の腰椎圧迫骨折後の女性。
整形外科としては、
今以上の対処がない状態。
腰の痛みについ、
独特の言い回しで訴えるため、
精神疾患を疑われ、心療内科へ。
でも、上体を持ち上げるような
マッサージをすると、痛みが改善。
整体院を紹介して、さらに改善。
ケース3
学童期より深刻な暴行被害の
トラウマがある20代女性。
全身の痛みと、
横紋筋融解症状あり。†
遺伝子検査まで行ったが、
内科の原因は不明。
年単位のトラウマの治療で、
痛みも、内科疾患も、
完全になくなった。
†:横紋筋融解症
おうもんきんゆうかいしょう
筋肉が壊れて、タンパク質が
血液中にもれ出す、内科疾患。
ケース4
40代の男性サラリーマン。
最初の症状は頭痛。
それでも仕事を続けて、
うつ病を発症し、休職。
抗うつ薬を開始し、頭痛がましに。
自宅療養を続けて、
うつも、頭痛も、解消。
ケース5
定年間近の50代の男性教員。
「舌が痛い、ヒリヒリする」。
内科、歯科口腔外科、
耳鼻咽喉科など、
あらゆる科で検査をしたが、
原因不明。
心療内科でも、あらゆる
精神疾患と、
心理的な背景を検討したが、
原因不明。
痛みは続く。
さて、いかがでしょうか?
ケースの1、2は、
メンタルより、
体の原因が優勢です。
逆に、3、4は、
メンタルが優勢ですね。
でも、臨床現場で、
どちらが優勢かを
見分けることは、
決して、簡単ではないですね。
さて、
自分の痛みであっても、
他人の痛みであっても、
体の痛みに向き合うとき、
Do:
まずは、
体に原因がないか探し、
次に、
メンタルに原因がないか探す。
Don’t:
先入観から、
体にだけ、
またはメンタルにだけ、
原因があると、
即断する。
・・・
でも、どっちからも
説明できない痛みは、
どうすればいい?
これは例えば、
最後のケース5です。
あえて、病名をつけると
口腔セネストパチー、でしょう。
治りにくいと、
精神科医も毛嫌いします。
全く違うアプローチが必要です。
機会があれば、
お伝えしますね。
いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、
ぜひ一度、お問い合わせください。