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2019/02/04

睡眠リズムを概日リズムから整えよう③:あなたのクロノタイプ(睡眠の型)は?


さて、今回も、
睡眠リズムを整えるテーマが続きます。

前回は、こちら↓
睡眠リズムを概日リズムから整えよう②:睡眠圧と覚醒信号

睡眠力を、

睡眠圧と、
概日リズムに従う覚醒信号と、
自律神経系の状態、

この3つの波の重なりとして
理解しよう、というお話でした。

今回は、それを踏まえて、
各自の睡眠の「型」
探ってみましょう。

・・・

その型のことを、
睡眠医学では、
クロノタイプ
(chronotype)といいます。

平たく言うと、
早寝・早起きの「朝型」と、
遅寝・遅起きの「夜型」ですね。

目覚ましをかけずに、
翌日の予定も入れずに、
カーテンをしめて
光の刺激をシャットアウトして、

寝たいときに寝て、
起きたいときに起きる、
という実験をした時、

何時に寝て、
何時に起きたか、
その睡眠のパターンが、
その人のクロノタイプになります。

言わば、その人にとって
一番、無理のないパターン、
ということです。

統計によると、
就寝時刻と起床時刻の
中間の時刻が、
4〜5時の人が、
半分近くになります。

これは、つまり、
睡眠時間が8時間の人だと、
0時にねて8時に起きる人や
1時に寝て9時に起きる人たち、
ですね。

これより早いと、
朝型。

これより遅いと、
夜型、です。

そのどちらでもない、
中間の人たちを、
中間型、と呼びましょう。

極端な朝型の人もいます。
割合は少ないですが、
20時に寝て4時に起きる。
※でも、高齢の方では、
わりと、見かけますね。

極端な夜型の人もいます。
これも割合は少ないですが、
4時に寝て12時に起きる。
※クリニックでお会いする方、
不調だと、こんな感じ、
多くなりますね。

・・・

さて、あなたは、
何型でしょうか?

朝型?夜型?
中間型?

できれば、

「理想を言うと、
○時に寝て
○時に起きるパターン」
とまで自覚できると
ベストです。

なぜなら、それが、
あなたの概日リズムが、
無理なくスイングしている時に見られる、
無理のない睡眠のパターンだからです。

それを知ることは
とても重要です。

だって、そのスイングを
どんどん大きくしていくことが、
このシリーズで
目指していることなのですから。

でも、実は、
それがもはや、
わからなくなっている方が、
残念ながら、多い…。

睡眠リズムがバラバラです、
という悩みは、
実は、そういう状況を
訴えておられるのです。

・・・

自分のクロノタイプが
わからなくなる原因として、
PSMの皆さまを念頭に置くと、
3つ、挙げることができます。

一つは、
社会的時差ボケ
と言われる状況です。

自分がかなりの夜型なのに、
会社の勤務時間が9〜17時だ、
という場合、
ものすごーく、
無理をしていることになります。

この、無理な感じは、
まるで、海外旅行をした時の
時差ボケに似ているので、
そう、呼ばれています。

自分の概日リズムと、
環境のリズムが、すごくズレていて、
倦怠感、頭痛、抑うつ気分など、
時差ボケに似た症状が出てきます。

それだけでなく、
自分の概日リズムと
環境のリズムが同期することがないので、
いつまでたっても、
自分のクロノタイプが実感できません。

この場合、医療の勝手を言うと、
一旦、休職して、
自分の元来のクロノタイプを確認して、
そのスイングを強化した後、

平日、9〜17時の環境のリズムとの
妥協点をいかに見つけるか、
という二段階の作戦が、
必要ですね。

・・・

もう一つは、
精神疾患による病状が、
自分のクロノタイプ通りのリズムを
邪魔する場合。

例えば、本来は
朝型か、中間型なのに、
うつ病やパニック障害などの
精神疾患が原因で
寝付けなくなり、

実際の睡眠パターンが
極端な夜型になってしまう、
という状況でしょう。

これは、
睡眠圧と
概日リズムの覚醒信号の波は、
入眠を促しているのに、
自律神経系の興奮状態のため、
その波に乗れない、ということです。

これも、本人にとっては、
ある種の時差ボケ状態ですね。

この状況が長引くと、そもそも、
自分のクロノタイプが
なんだったのか、
わからなくなってしまいます。

この場合は、
もともとの疾患の治療をすすめつつ、
本来、こんな睡眠パターンだったのではないか、
と推測しつつ、
生活リズムを整える、
とても、丁寧なサポートが必要です。

その中で、
自分のクロノタイプ通りのリズムを
取り戻す、ということです。

・・・

そして3つ目は、
睡眠後退、ですね。

寝付く時間が、
毎日、ちょっとずつ、
遅くなってしまう。

こんな状況を
睡眠後退(すいみんこうたい)
と言います。

そして、1〜2週間で、
なんと、完全に昼夜逆転してしまう。

そのうち、それもまた、
周回遅れで、もとにもどるが、
でも、また、
昼夜逆転に向かって、
寝付く時間が遅くなって…、
延々と続きます。

これ、実は、
我々の概日リズムが
ちょうど24時間ではなく、
若干、それより長い人が多い
という実情が、関係しています。

リセットしないと、
どんどん、寝付く時間は、
遅くなるのが、道理、
というわけです。

この状況では、
自分のクロノタイプなんて、
まったく、わからなくなります。

この場合は、
あの手この手で、
(睡眠リズムを整える
ロゼレムなどの薬剤を使う場合もあります)

とにかく、後退を止めて、
元来のクロノタイプを
探しつつ、整える、という
根気のいるサポートが必要です。

・・・

いずれにせよ、
自分の元来の
スイングを見失った状態から、

そうさせている邪魔なものを
取り除きつつ、

ぶらんこを揺らして、
自分のクロノタイプを取り戻す
そんな旅に出る、
というイメージですね。

・・・

さて、
睡眠リズムが整わない時、

Do:
自分のクロノタイプを
再発見する努力を続ける。

Don’t:
自分のクロノタイプを
知らないまま、
行き当たりばったりの
対処に終始する。

次回は、
この概日リズムを整える上で、
いかに「光」が重要か、
というお話になります。

いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、
ぜひ一度、お問い合わせください。