2019/10/05
何もしないことに耐えられないあなたへ①:エックハルト・トールの教え
さて、今回は、
休息をとれと言われても、
何もしないことに耐えられない…、
何をすればよいか? という、
診察で相談に乗ることの多い
テーマです。
例えば、
激務の末、うつ病になり、
自宅療養となった40代男性、Aさん。
出勤しなくて
よくなったものの、
自宅で、どのように
過ごしたらよいかわからない…、
うつには運動がいいらしい…
でも、とてもジムに行く元気はない…
ツンドク状態だった本を
どんどん、読めばいいが、
そんなに、集中力も続かない…
DVDの映画も、同じ…
そうそう、何本もみれない…
結局、布団でゴロゴロ…
自分の仕事を、今頃、
みんなが肩代わりしてくれているよな…
こんなゴロゴロしてて、いいのか?
いいわけないだろ!(自分にツッコむ)
でも、出勤することすらできない、
吐きそうになるから…
早く治さないと…、
復帰できなかったら、クビになるか?
そんなことはないだろうが…でも…
Aさんの眉間にはしわが刻まれ、
布団の中で、うーうーと、
唸り続ける…。
一週目も、
二週目も、
三週目も…。
(そして、もちろん、
休息にはなっていない)
・・・
一方、
似たような状況で
うつ病を発症した
Bさんは、どうでしょう。
最初の一週間は、
泥のようにねていた。
途中、おきて、ボーッと
椅子にすわってみるが、
まあ、いいか、と
また布団に入る。
大型連休、もらったと思って、
仕事のことは、一旦、
置いておいて…、
と自分に言い聞かせて。
二週間目からは、
起きている時間が増え、
ボーッとTVを見てみる。
いままで、見たことのない
時間帯のTV。
主婦は、こんなの、
見ているのか…。
午後になると、
居間に日差しが差し込む。
ほこりが空中に
浮いているのが見える。
落ちそうで、落ちない、
そして、流されていくのを
追ってみる。
夕方になると、
放課後の子どもたちが
帰ってくる声が聞こえる。
けっこう、うるさいな…
なんで子どもは、あんなに
元気なのか…まあ、そんなもんか…
今日のオレは、
全く、何もしていない…、
トイレには行ったが…
三週目からは、
日中はパジャマから
部屋着に着替えて、
シャワーから入浴に
切り替えることができて、
食欲も、ちょっと、
回復してきた。
(そして、もちろん、
Bさんの方が、回復が早い)
・・・
Aさんと、
Bさんとの違いは、
何でしょうか?
Aさんは、
何もしないことに、
耐えられず、
Bさんは、
耐えられている、
と言えます。
なぜ、Aさんは、
Bさんのように、
できないのでしょうか?
皆さん、
どう思いますか?
・・・
多くの患者さんを診てきて、
一つ、言えるのは、
つきつめると、
Aさんは、
何もしないことが、
社会的な、死に等しいと、
はっきり自覚はしてはいないが、
感じている。
そうなんだろうと、
思います。
つまり、Aさんは、
死ぬことが恐い、だから
何もしないことが恐い、だから、
何かをし続けようとあがく。
Bさんは、その一方で、
何もしない、という
仮死状態を、受け入れている。
死ぬことの恐怖に、
親しもうとしている。
最初の1〜2週は、
もう、どう考えても仮死状態ですね。
でも、その状態が
休息になっている。
ヨガに死体のポーズというものが
ありますが、まさに、
そんな状態です。
(仰向けに寝ているポーズ)
・・・
精神疾患が長引く方の中の、
かなりの割合は、
この、
「何もしない状態」
「仮死状態」が
恐すぎて耐えられず、
ほんとうの休息を
とることができない、
だから、病状が長引く、
そんな方、多いです。
・・・
では、その
「何もしない状態」に
耐えられるようになるには、
どうすれば、よいでしょうか?
そのヒントを、次回からは、
ドイツ出身、カナダ在住で、
70才を超えて現役で講演を続けている、
エックハルト・トールという作家の
「Power of Now(今という瞬間がもつ力)」
という書籍から、
学んでみましょう。
※邦題は「さとりをひらくと
人生はシンプルで楽になる」と、
なんとも、
奥行きのないものになっていますが…。
・・・
何もしないことに
耐えられない時、
Do:
死への恐怖に
どのように付き合っていけばよいのか、
その解決策を探す、
という発想に切り替える。
Don’t:
死への恐怖を、
死ぬまで、
見ないでおこうとする。
いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、
ぜひ一度、お問い合わせください。
Photo credit: Rum Bucolic Ape on Visual hunt / CC BY-ND