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2019/10/05

何もしないことに耐えられないあなたへ⑧:「サレンダー(surrender)」のための認知リテラシー



さて、
何もしないことに耐える、
というテーマが、続きます。

前回のキーワードは、
サレンダー、でしたね。

逃げることも、
変えることもできない
苦しい現実は、
それに従う、つまり
サレンダーという選択肢しかない。

その選択肢は恐い、
という「信じる」があると、

なんとか逃げられないか
なんとか変えられないかと
無い答えを求め続けて、
「考える」が暴走する、
ということでした。

つまり、
何もしないことに耐えられる、
イコール、
サレンダーを実践できる、
ということです。

今回は、
そのサレンダーを
具体的に、どように
実践するのか、

エックハルトの本の
要点を、小椋風に整理して
お伝えします。

・・・

そのためには、
前回の予告通り、
認知リテラシーについての
簡単な復習が必要です。

関連記事は、こちら↓

要は、
「考える」が
ヘルシーに機能するには、

ゴールの設定
情報収集
判断
結論

というステップを
丁寧に踏む、とういことが
必要でした。

このステップが
○○すべきだ、などの
「信じる」や、
強烈な不安などの
「感じる」に左右されて、

ものすごい超特急で
非適応的な結論を出す状況が、
マイナス思考でしたね。

この認知リテラシーの観点からは、
「考える」の暴走とは、
どんな状況だと思いますか?

・・・

それはズバリ、

ゴールの設定がなく、
結論も出さないまま、

情報収集と
判断とが
無限ループで
繰り返されている状況、

ですね。

このシリーズの初回に
登場してもらった、

激務の末、うつ病になり、
自宅療養となった
40代男性、Aさんに
再登場してもらいましょう。
※「」は、
Aさんのつぶやきの再掲です。

・・・

「うつには運動がいいらしい…
でも、とてもジムに行く元気はない…」

うつ病に運動が有効だ、
という知識を、
記憶の中から想起する、
という情報収集を行い、

それからの連想で、
自分の体調に注意を向け、
ジムに行ける体調ではない、
という、自分の体からの
情報収集を行っている。

でも、
それだけ、なのです。

これ、とても
「思考」ではない。

まず、
ゴールの設定が、
ありません。

例えば、
いまの自分にできる、
うつ病を改善するための
運動はあるか、
などの設定が、必要です。

こうして、
「考える」が
スタートするのです。

すると、
確かに、ジムは無理でも、
例えば、
ストレッチならできそうだ。
(という、自分の中での情報収集ができる)

だとすると、
ストレッチは、
うつ病の改善に有効か?

それは、自分では、
判断できない。
(これが、判断です。)

だとすると、
先生に聞いてみよう。
(という結論になる。)

すると、
次回の診察で確認する、
という「動く」に
つながるのです。

こうして、
ゴールを設定すると、
結論にたどり着ける。

思考には、
始めと、終わりが、
必要なのです。

なのに、Aさんは、
始めも終わりもなく、
自分の中での情報収集が、
脈絡もなく、
連想ゲームのように延々と、
続くだけなのです。

これが、
「考える」の暴走の
実態です。

・・・

さて、この、
認知リテラシーの復習を踏まえると、
サレンダーは、
次のような段取りで、
実践することができます。

第一歩は、
次のような
ゴールの設定です。

いま、自分にできることは、
この現実から逃げることか、
この現実を変えることか、
それとも、サレンダーか?

この段階では、
逃げる可能性について、
変える可能性について、
徹底的に情報収集し、
その可能性を見積もる判断
集中すべきです。

その結果、
逃げるも、変えるも、
できないと判断するしかない場合、
(そして、その場合は
決して少なくありません)

結論は、
サレンダー、になります。

・・・

第二歩が、
サレンダーの実践です。

もちろん、
ゴールの設定は、
サレンダーの達成になります。

この時の情報収集は、
どんな感じになるのでしょうか?

ここが、
ポイントです。

いまや、
サレンダーの選択肢しかない、
と頭では分かっていても、

まだ、これができるのではないか・・・
あれができるのではないか・・・、
などの、いわば
「悪あがき」の情報収集が、
勝手に続いてしまいます。

あるいは、
こうしておけばよかった・・・
ああしておけばよかった・・・、
などの、いわば
「過去形の悪あがき」の情報収集が、
あふれてきます。

それに対して、
あ、これは、
無駄な情報収集だな、と
判断」する。

次々と涌いてくる、
その都度、そのように
「判断」し続けるのです。

なんと、地味な・・・(苦笑)。

でも、その結果、
「考える」の暴走は、
止まります。

そして、
サレンダーが達成されるのです。

これが、
エックハルトの本の
簡潔な要点です。

・・・

ちなみに、
この、第二歩目は、
観察者の私」を呼び起こす、
という取り組みと
重なってきますね。

あ、これは、
無駄な情報収集だな、と
判断する
「観察者の私」を
呼び起こすわけですから。

・・・

何もしないことに
耐えられない時、

Do:
認知リテラシーの
ゴールの設定を
サレンダーの達成とし、
涌き上がり続ける
無駄な情報収集を
無駄だと判断し続け、
その結果、
サレンダーは恐い
という「信じる」が
修正される。

Don’t:
いま、自分にできることは、
この現実から逃げることか、
この現実を変えることか、
それとも、サレンダーか?
というゴールの設定を、
あえてしない。

いかがでしたでしょうか?
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