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2020/06/01

ムドラー・セラピー入門③:導入編その2(腹側と背側)




さて、今回も、
ムドラー・セラピーの
導入編の、続きです。

前回は、
具体的なムドラーとして、
「忍耐」
「内的平穏」の二つを、
お伝えしました。

前回は、こちら↓

そこでは、ムドラーが
心身に与える影響として、
「忍耐」のムドラーを例に、

注意のコントロール、
指のストレッチ、
転移効果、を挙げました。

今回は、
「内的平穏」のムドラーで、
一体、何が起きているのかを
探ってみましょう。

・・・

このムドラーは、
合掌(正)
合掌(反)を繰り返す、
というシンブルなものでした。

合掌(反)は、
やってみると、なかなか、
インパクトありますよね。

なので、当然、
注意のコントロールにも、
指のストレッチにもなります。

では、
どんな転移効果が、
あるのでしょうか?

これをお伝えするには、
一旦、
解剖学の基本概念である
腹側(ふくそく)、
背側(はいそく)、についての説明が
必要になります。

・・・

背骨をもつ動物を
脊椎(せきつい)動物、
と言いますが、

そのからだは、
大きく、二つのエリア、
腹側と背側、に
分けることができます。

人間なら、

床に座って、
両足を前に伸ばして開脚し、
両腕を左右に開いて、
掌を前に向けて、
背中から光を当てた時、
※アイキャッチ画像参照

光が当たっている部分が
背側
当たってない部分が、
腹側、になります。

つまり、背側とは、
後頭部からうなじへ、
そして、背中全体と、
腕の、背中から肘にかけて、
そして手の甲、まで、
そして、足の太ももの表と、
足の甲まで、となります。

そして、腹側とは、
顔面から首の前面へ、
そして、胸部、腹部の全体と、
腕の、胸から肘の内側、
そして、掌まで、
そして、足の内ももと、
ふくらはぎから
足の裏まで、となります。

・・・

それが、どうした?
と思われるかもしれませんが、

この、
背側と腹側とでは、
からだの感じ方が、
すごく、違うのです。

一番、わかりやすい状況は、
危害を加える相手から
自分を守る姿勢を取る時です。

誰も、
自分の腹側を
相手に向けることは、
しません。

必ず、
背側を相手に向け、
腹側を守る身振りに、
なります。

顔面を、
手の甲や肘で隠し、
背中を丸めて
お腹をかばいます。

攻撃する時も、
相手に対して背側を使います。

握った拳の手の甲でなぐり、
足の甲や膝で蹴ります。

いわば、
背側は、自分の鎧(よろい)であり、
腹側は、守るべき自分の中身
という感覚です。

この感覚は、おそらく、
太古の昔より
人間のからだと感情生活に、
深く深く、
根付いているようです。

・・・

その結果、

手の甲と、
手のひらとが、

ものすごく雄弁に、
こころの有りさまを
相手に伝える
メディアになるのです。

手の甲が、
背側を象徴し

手のひらが、
腹側の象徴に
なるのです。

だから、
相手を邪険にする時、
手の甲で、追い払い、

また会おうね、と
バイバイをする時、
手のひらを
相手に向けるのです、
私は、あなたに、
(腹側を相手に見せるぐらいに)
こころを開いていますよ、と。

・・・

さて、
ここまでお伝えして、やっと、
「内的平穏」のムドラーの
転移効果について、
取り組むことができます。

合掌(正)とは、
自分の中身(手のひら:腹側)が、
自分の鎧(手の甲:背側)に
守られている、
という転移効果によって、
からだと心の全体に、
安心感が広がっていく
というわけです。

合掌(正)というムドラーが
これほどまでに、
文化を超えて
人類に染みついているのには、
それなりの、根拠があるわけです。

そして、合掌(反)とは、
いつも自分を緊張の中で
守ってくれている、
自分の鎧(手の甲:背側)を、
内側に入れてあげて、
ちょっと、休憩させてあげる、

それによって、
自分のからだの背側全体の
緊張がゆるむ、
という転移効果が
期待できる。
(少なくとも、小椋はそう感じる)

いわば、
戦場でともに戦っている同士が、
背中合わせて、休憩している、
その時のような、
安堵感、ですかね。

だから、
合掌(反)で、
少し休憩した、鎧が、
また、元気と取り戻して、

合掌(正)で、
自分の中身を守ってくれる、
という
よくできた、ムドラーの
組み合わせに、
なっているわけです。

・・・

今までやってきた
ストレス対処法が
使えず、
ムドラー・セラピーに
取り組む時、

Do: 
手の甲の動きは
自分の背側全体に、
手のひらの動きは
自分の腹側全体と
つながっていて、
様々な感情を引き起こす、
と知る。

Don’t: 
相手に手の甲を向ける時と
手のひらを向ける時との
感情の差に無頓着でいる。

それでは今週も 
マイペースで乗り切りましょう!