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2021/10/18

身体リテラシー入門②:内受容感覚とは?



さて、またまた
シリーズ物に突入しています。

前回はこちら↓

身体リテラシーとは、
身体が発する情報を読みとるスキル、
という意味です。

そこでは、「ふつうの不安」と異なる、
根源的な不安」の特徴について
整理しました。

そして、それに対処するには、
身体へのアプローチが重要だが、

身体感覚のチャンネル
苦手な方が多い、ともお伝えしました。

今回は、手始めとして、
身体感覚のチャンネルについて、
深掘りしていきましょう。

・・・

プロセス指向心理学では、
私たちが、何かを体験するときに
情報を得る「チャンネル」が
6つある、と考えます。

1:視覚
2:聴覚
3:身体感覚
4:身体運動
5:他者との関係
6:世界との関係

この6つ、でしたね。
詳しくは、こちら↓

その記事では、
3:身体感覚について、

触覚、痛覚、温度の感覚や、
嗅覚、味覚、さらに
「胸がざわつく」
「はらわたが煮えくりかえる」などの、
感情と強く結びついた、
からだの内部感覚も、
このチャンネルから入ります

と説明しています。

1980年代にミンデル
プロセス指向心理学を創始した当時、

彼は臨床経験から、
6つのチャンネルを導き出しています。

40年近くが経過して、
生理学、臨床医学などの研究が進み、
現在では、3の説明の中の「内部感覚」は、
内受容感覚
interoception:インテロセプション)として
ホットな研究テーマになっています。

※触覚、痛覚、温度の感覚、臭覚、味覚は
「外受容感覚」と整理されています。

・・・

内受容感覚とは、

筋肉や、
心臓、血管系、
肺や気管支、
消化管や膀胱などの内臓から
脳にとどく、
身体の内部について
感覚情報の総称ですね。

それが、脳の中の
感情という情報の発生に
ものすごい影響を与えていることも
わかってきています。

さらに、
パニック障害や心的外傷後ストレス障害、
摂食障害や過敏性腸症候群、
自閉症スペクトラム障害など、
様々な病態に深く関連していることも
わかってきました。

3:身体感覚を、
他の1、2から独立させ、
かつ、感情の情報もここに含めた、
ミンデルの卓見ですね。

・・・

内受容感覚の実際を、
一つ一つ、見ていきましょう。

※学術論文の整理・分類に従うと
かなりややこしいので、
身体リテラシーに使いやすいように
整理しています。

まず、筋肉
どの位置にあって、
どの方向に、どれぐらいの力で動いているのか。
そして、
どれぐらい緊張しているのか。

心臓や血管なら、
今、どれぐらいの心拍数で、
どの程度、血管が膨らんでいるか、
血圧はどの程度なのか。

肺や気管支なら、
どれぐらい肺が膨らんでいるのか
気管支の粘膜に炎症があるかどうか。
また、血中の二酸化炭素が
どれぐらい増えているのか。

消化管だと、
どれぐらい空腹なのか
どれぐらい満腹なのか、
どれぐらいお腹が張っているのか。
いま、肛門をゆるめると、
便が出るのか、オナラが出るのか。
消化管の粘膜に炎症があるかどうか。
いま、腸の運動は過剰か不足か。

膀胱なら、
どれぐらい尿が溜まっているのか。
トイレに行った方がよい感じなのか。

さらに、
今、体温がどれぐらいなのか。
体の水分は足りているのか。

・・・

むむむ・・・
書き出すと
延々と出てきますよね。

この中で学術論文として
実験できている項目は
まだまだ、少ないです。

心拍数や
大腸の膨らみ具合などは
よく研究されています。

ここで、
思考実験です。

仮に
心拍数に関する内受容感覚が、
過敏だった場合、
どうなる?

実際は、ほとんど
心拍数の上昇はないのに、

心拍数が上がっているぞ!
と、内受容感覚が脳に
過剰に報告したら?

そうです、
パニックになりますよね。

仮に、
腸の張りぐあいに関する内受容体が、
過敏だった場合、
どうなる?

実際は、ほどんど
腸の壁の張りはないのに、

腸の中身が増えているぞ!
と、内受容感覚が脳に
過剰に報告したら?

そうです、
腸が内容物を送り出そうとして
過剰に動いて
腹痛になります。

そして、実際、
パニック障害や
過敏性腸症候群の方は
内受容感覚が過敏となっている
傾向が強い、という結果が
出ています。

・・・

そして、この
内受容感覚の振る舞いに、
私たちは、ほとんど
無自覚です。

無自覚だと、どうなるか。

内受容感覚が
適切に機能していれば
無自覚でもいいのですが、

仮に、内受容感覚が過敏だと、
わけもわからず
振り回される。

逆に鈍感だと、
適切に身体をケアすべきところを
放置してしまう

ということですね。

当然、
過敏な場合は、不必要に不安になり、
鈍感な場合は、体調が悪化します。

だから、
内受容感覚を含む、

3:身体感覚のチャンネル
しっかり「開発」して、

そこからやってくる情報について
まずは、しっかり受け止め、

そして、それが妥当かどうか
適切に判断できるスキル
必要になってきます。

これが、
身体リテラシーの
基本の一つです。

これが、
自分の身体と
コミュニケーションをとることの
実情というわけです。

コミュニケーションがとれると
どんないいことがある?

不必要な不安がなく、
放置した結果の体調悪化が
ないだけではなく、

普段から、24時間、
せっせと自分の身体が
働いてくれている、
自分を守ってくれている、
その安心感が湧いてきます。

この感覚に至ることが
ポイントです。

それが、
強烈な実存的不安と
バランスをとって生きていくために
必要な感覚となるからです。

・・・

根源的な不安に
さいなまれている時、

Do: 
身体リテラシーを磨くため
まずは内受容感覚の
内実について知る。

Don’t: 
内受容感覚の知識を
得ただけでは
どこから取り組んだらよいか
わからないと落ち込む。

※次回は、
オシッコの感覚を身につける
乳幼児の例を紹介して
身体リテラシーを身につける
実情についてお伝えします。

いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、 
ぜひ一度、お問い合わせください。