2021/12/13
身体リテラシー入門⑩:内受容感覚に傷つくいろいろなパターン
さて、身体リテラシーのシリーズ、
今回は第10回目です。
前回はこちら↓
前回は、呼吸法のシリーズの中の、
・「安心できる場所」の大切さ
・「安心モード」を呼び出せ、
を取り上げました。
安心感を与えてくれる存在の一つが、
実は、自分のからだで、
内受容感覚を通じて
コミュニケーションが取れるようになると、
まるで、アリー(盟友)のような
存在になってくれるよ、という内容でした。
また、ポリヴェーガル理論を背景とした
ボディワークの書籍も紹介しました。
呼吸法のシリーズを再掲すると、
こちら↓
今回は、
・大自然との回路を取り戻そう、
を取り上げます。
・・・
その記事では、
私たちが健康を回復するには、
大自然のエネルギーとの回路を
取り戻すことが必要だが、
PSMの方は、
そのエネルギーに
傷ついている方が多くて、
それが恐くなっている、と
やや抽象的に(苦笑)述べています。
今回は、
このシリーズの流れに沿って、
より具体的に、お伝えします。
・・・
例えば、
呼吸法が苦手な方の中に、
呼吸に注目すること自体が
恐い、という方、多いです。
そのような方の中には、
過呼吸など、
呼吸に関連する症状で
苦しんだ経験をお持ちの方、
多いです。
空気を吸って、吐く、という
大自然との大切な回路が、
いわば、牙をむいて
自分を痛めつけてくるわけです。
だから、その回路に
注意を向けることが、恐い。
これと似たパターンは、
たくさん、あります。
・・・
例えば、
食べ物を食べて、
必要な栄養を取る、という
大自然との大切な回路が、
拒食や過食・嘔吐の症状で
破壊されてしまう。
食欲に任せて食べて
体重が増えることが恐ろしいから
食べない。
でも、食欲には勝てないから
結局、過食したあと
自分で嘔吐することで
帳尻を合わせる。
でも、そんな食生活を
繰り返していると、
もう、何をどう食べていいか、
わからなくなる。
食事が、恐い。
食欲が、恐い。
・・・
同じ消化器系の回路では、
嘔吐恐怖、という症状で
苦しむ方も、おられます。
元来、吐く、という現象は、
自分のからだにとって
適切でない物を排出するという
生存に必要な反射、なのです。
が、人前で嘔吐して迷惑をかけた
経験があったり、
全くなくても、そうなったら
どうしようと不安になり、
外食などが絶対、
できない。
嘔吐が、恐い。
・・・
食べた物を消化して
便として排泄する、という
消化器系のもう一つの回路も、
とても大切ですね。
でも、ちょっとでも
心配事があると
「お腹にくる」という方、
多いです。
腹痛や、下痢。
ところ構わず、
トイレが必要になるので、
外出や人と会うことに
支障を来します。
そして、
排便を過剰に
コントロールしようとして、
排便してからでないと
外出しないなど、
生活ががんじがらめになっていきます。
下痢が、恐い。
・・・
人間自身も、
大自然の中の一部だとすると、
人と人とが交流する回路も、
ヘルシーさを取り戻すために
重要になってきます。
人は、
自分の存在を確認したい、という
ものすごく基本的な欲望のために、
人を求めます。
それが、相手への好意になったり、
性的な欲望がそこに上乗せされると
性愛の衝動にもなります。
でも、その衝動が
相手と噛み合わず
うまく回路が結べない場合、
なかなか、大変です。
嫉妬や失恋、憎しみや罪悪感など
ありとあらゆるネガティブな
感情の嵐が巻き起こります。
この感情の処理がうまくいかない場合、
その感情が、恐くなります。
そして、その処理に窮した場合、
精神疾患に至ることも、あるわけです。
人を求める強いエネルギーで
自分が振り回されるのではなく
相手を振り回すことで処理しようとする
境界性人格障害や、
人を求める強いエネルギーを
強迫的な思考や行動に流し込んで
処理しようとする
強迫性障害、
人を求める強いエネルギーを
物欲を満たす浪費で処理しようとする
躁うつ病の躁状態、など。
いわば、
自分の欲望が、恐い。
・・・
人と人とが
交流する回路が
ヘルシーに機能するには、
相手を求めるだけでなく、
適切な距離をとることも、
重要になってきます。
相手がぐいぐい入りこんできた場合、
適切に断る。
必要な場合は、
適切に怒る。
でも、適切に
怒ることができる人、
そんなに多くはない印象です。
この世の中は、
必要以上のエネルギーを投入して
怒るが、その自覚がない方と、
その人からのダメージを受けて
怒るというエネルギーを恐れてしまい、
怒ることができない方と、
怒るというエネルギーを恐れているものの
下手くそなりにがんばって怒るが
必要以上のエネルギーを投入してしまい
怒る度に、罪悪感を抱く方、
その3パターンしかないのか、
と思ってしまいます。
自分のものであっても
他人のものであっても、
怒りというエネルギーが、恐い。
・・・
ここで紹介した例は
すべて、
人間が、
呼吸器系や消化器系、
あるいは、
人と人との交流という枠組を通じて、
大自然との回路を結ぼうとする時、
不幸にも、
その回路を流れるエネルギー
それ自体で傷ついて、
その回路を結ぶことが
恐くなってしまう、
という例になっています。
ここまで、
具体的にお伝えすると、
そもそもの記事の意図が
わかりやすいかと思います。
次回は、
じゃあ、どうするの?
というテーマに続きます。
・・・
根源的な不安に
さいなまれている時、
Do:
自分は特定の
内受容感覚が苦手と感じる場合、
その内受容感覚を流れるエネルギーで
傷ついたことがあるのかもしれないと
振り返ってみる。
Don’t:
苦手な内受容感覚なのに
無理に向き合おうとする。
※向き合うテーマは、
次々回あたりの「攻め」で
扱います。
いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、
ぜひ一度、お問い合わせください。