2022/05/16
「毒親」とは何か②:R・バンクロフト著『なぜ彼はそんなことをするのか』より
さて、前回から、
新しいシリーズが
始まっています。
前回は、こちら↓
「毒親」という用語の
由来となった書籍を紹介しました。
今回は予告通り、
その書籍だけでは
見えてこない部分を扱った、
別の書籍をご紹介しましょう。
・・・
家庭内暴力(DV)の加害者となった
男性を専門に、20年以上も
カウンセリングを続けている、
米国のカウンセラー、
ランディー・バンクロフトが
2002年に出版した、
『なぜ彼はそんなことをするのか』。
(邦訳がないので小椋の和訳です)
副題は、
怒りっぽくて
支配したがる男性の
こころの内側、となっています。
なのでランディーのクライアントは
DVの「被害者」の女性、
ではなく「加害者」の男性、
ですね。
その本では、
DVの「加害者」のことを
「虐待者(abuser)」と呼んでいます。
クライアントは、
パートナーの女性から、
カウンセリングを受けないと
別れるわよ、と言われて、
一応、自発的に訪れる、
言葉の暴力が中心の男性から、
刃物をつきつけたり
実際に傷害を負わせたりして、
法廷から「送られてくる」
ハードなケースまで、
多種多様だったようです。
でも、カウンセリングの経験を
積み重ねる中で、徐々に、
どちらのパターンにも
共通な特徴が見えてくる一方、
その特徴は、
世の中に典型的に流布している
「DV加害者」のイメージと
かなり異なるぞ、ということが
見えてきたようです。
その特徴を分析・整理して
まとめた本が、『なぜ彼は・・・』
だったのです。
・・・
ここまで読んできて、
ちょっと待てよ、という
読者の方、おられるかと思います。
だって、
毒親のテーマだったよな?
なんで、
親子関係ではなく、
男女関係のDVの話なんだ?と。
実は、その後、
ランディーは親子関係の本も
出版しています。
それはまさに、
毒親(とは言っていませんが)
に関するもので、
その親が、
父であろうが母であろうが、
「虐待者」の特徴が
そのまま、出ているよ、
という指摘になっています。
※でも、その指摘の鋭さは
今回、紹介している本の方が
優れています。
つまり、
『なぜ彼は・・・』の
「虐待者」の分析・整理が
そのまま、
毒親の、どこが
どう毒なのか、という問いへの
優れた回答になっている、
ということですね。
・・・
でも、確かに、
『なぜ彼は・・・』の文章を
そのまま引用すると、
彼と彼女、
という枠組になってしまって、
混乱しますよね。
よって、今回のシリーズでは、
『なぜ彼は・・・』の中の
分析・整理の役立ちそうな部分を、
親(虐待者)と子(被害者)に
置き換えて、
小椋なりに咀嚼したものを
お伝えするようにします。
・・・
むむむ、前置きが
長くなってきました。
とりあえず、今回は、
ランディーの分析・整理を
ちょー、コンパクトに
まとめたものを、
以下にお伝えして、
終わりにしましょう。
※このメルマガでお馴染みの、
人の四つの機能、
信じる、考える、
感じる、動く、が大活躍します。
親(虐待者)は、
子(被害者)について、
次のように信じ、
・子は所有物だ
・そう信じる権限が親にはある
次のように考え、
・その権限が低下する事態は許されない
・よって実力行使が正義である
次のように感じ、
・その権限が低下する事態に際して
怒りを発する
次のように動く。
・子のすべてを支配しようとする
・そのためにあらゆる方法を駆使する
この、4つの機能が
ガッチリ噛み合っていて、
その機能自体は、
正常に働いているから、
精神疾患や、
パーソナリティ障害には
該当しない。
必ずしも、
親に被虐待歴があったり
アルコール依存の問題が
あったりするわけではない。
加えて、その親は
社会的には良好な適応を
示している場合が多い。
そんな親に、
肉体的にも精神的にも
弱者の子が、
太刀打ちできるわけがない。
子の典型的な反応は
自分が悪いんだ、
になるわけです。
かつ、
「動く」の種類は、
実に、多彩。
本当に、あの手この手です。
だから、一見、
虐待者に見えない親も多い。
この状況は、
一言で表すと、
親が子を隷属化している、
(奴隷にしている)
ということです。
当然、親には
子を隷属化することの
メリットがあるわけです。
例えば、
家事を強要する母は
自分がやらなくて
いいですよね。
社会的に見栄えのよい
中学に入学してくれれば
世間体が
いいですよね。
むむむ・・・
今回はこの辺に
しておきますね。
次回以降は、
この見取り図をもとに
枝葉をつけて
いきたいと思います。
・・・
毒親対策について
取り組む時、
Do:
毒親の毒とは、
子を隷属化する力だ、
とまずは知る。
Don’t:
隷属化と言われても
ピンとこないと
もやもやする。
※次回以降、
具体的に補足していきますので
ご安心を。
いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、
ぜひ一度、お問い合わせください。