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2022/08/14

自己肯定感を上げるためのコツ④:療養の中での「自分軸」



さて、
自己肯定感をテーマにした
シリーズ、その4回目です。

前回は、こちら↓

前回は、
40才、男性、会社員、
うつ病で休職に入った
Aさんの例を、ご紹介しました。

定期通院で抗うつ薬を内服しても、
散歩をがんばっても、
サプリに大金を使っても、

毎朝、からだが
鉛のように重くて起きられない、
そんな朝の不調が続いて、

復職デイケアなど
とても行けず、

ため息に込められているのは
自己効力感の乏しさと
自信のなさ・・・。

このままでは
家族が路頭に迷うため、
セカンドオピニオンを目的に
相談にこられた、
というケースでしたね。

そして、Aさんには、

他者と共有しやすい
価値観と評価基準である
他人軸はしっかりあるが、

自分軸が、ない、
という点を指摘しました。

今回は、
Aさんにとっての自分軸とは
どんなものか、

新しい担当医の
療養上の指導に沿って、
見ていきましょう。

・・・

担当医は、まずは
Aさんの日々の生活、
特に、寝る時間、起きる時間を
確認しました。

すると、夜はダラダラと
スマホで動画を見て、
気がつくと2時や3時はザラで、

起きる時間は、バラバラ、
昼過ぎの場合もあれば、
9時頃に起きる時もある。

早く起きたとき、たまに
散歩しようかという気分になって
5000歩、歩くが、
その夜は20時頃に寝て、
翌日は、一日中、ダウン。

散歩をしない日は
ゴロゴロと
横になっている場合が多い。

食事や内服、
家族との関係、
職場との関係など、
他の要因もしっかり確認した上で、

担当医は、
セカンドオピニオンを提供しました。

Aさんの病状が改善しない
最大の要因は、
睡眠と覚醒のリズムの不安定さだ、と。

そして、
次のような療養上の工夫を
提案しました。

動画は0時までとし、
速やかに床に入ること。

散歩はやめる。

その代わりに、
日中、椅子に座った状態で
動画を見て過ごすこと。

日中、椅子に座って過ごす時間が
増えることが、目下の
療養の目標であること。

その先に、
朝の不調の改善が
期待できること。

だから、まず
その療養の様子を
活動記録表に記録すること。

・・・

Aさんは、
別の内服か、
別の運動療法か、
心理カウンセリングなどの
提案があるのかと
期待していたようですが、

小学生の夏休みの
生活指導のような提案に
ちょっと拍子抜けしたようです。

でも、担当医の質問に
答える中で、
自分の生活リズムが
いかにめちゃくちゃか、
認めざるを得ませんでした。

そして、
自分なりやってきたことが
何もうまくいかない、
そんな状況の中で、

0時にベッドに入り、
日中、座って動画を見る、
それなら、できるぞ、
という感触も持てました。

そして
2週間後に再診の予約と
入れました。

・・・

さて、この診察で
担当医はAさんに、
自分軸、という用語を
用いてはいませんが、

実質的に、それを
提示しているわけですね。

自分軸とは、
他人と共有しにくい
価値観と評価基準、
でしたね。

担当医が提案した療養の指導は、
いずれも、

うつ病の実情を知らない
多くの他人とは、
共有しにくいはずです。

・・・

生活リズムは大切だよね、
という一般論は、
他人軸です。

でも、Aさんにとって
生活リズムを大切にするとは、
具体的に、どうすることなのか。
それは、
自分軸になります。

それが、0時には
スマホをやめて寝る、
ということなのです。

・・・

運動は大切だよね、
という一般論は、
他人軸です。

でも、Aさんにとって
今の病状で散歩することは
逆効果です。

日中、椅子に座ること、
座った姿勢で
動画を見ることができること、
そしてその時間が伸びること、
それが、
自分軸になります。

このような価値観や
評価基準は、

脳梗塞の後遺症で
体幹を支えることが
難しい方のリハビリなら
わからなくもないが、

うつ病の療養で
それが必要となる場面があるとは
多くの方は
ピンときません。

だから、
その価値観と評価基準を
受け入れるには、
実は、勇気がいります。

自分の療養の段階は、
散歩ではなく、
まず、座ることなのだ、
という現実を
受け入れる勇気、
ですね。

・・・

復職するには
週5日の復職デイケアが
必要だよね、という一般論は
他人軸です。

その手前で、
週3日はまず参加できないとね、
という評価基準も
他人軸です。

では、
Aさんにとって
その手前は、どうなる?

朝の鉛のような
からだの重さが減る、
それが必要で、
それが自分軸になります。

鉛の感じ、それは
体験した人でなければ
なかなか、わかりません。

それ、まさに
自分軸です。

その苦痛が減る、
という評価基準、
それが自分軸、
ということです。

そして、
その苦痛が、いま
Aさんが直面している、
そして、なんとか変えたいと願う
現実、ですよね。

その現実を変えるために
担当医が提案したこと、
それが、
Aさんなりの、
生活リズムの修正、
ということになるわけです。

・・・

Aさんは、一応、
担当医の指導に従って
やってみる、と帰宅しましたが、

生活リズムを整える努力が
朝の不調を減らせるのか、
実は、半信半疑でした。

担当医が示した
価値観と評価基準、

それは、今まで
他人軸のみで療養をすすめてきた
Aさんにとっては、
すんなり納得の行くものでは
なかったようです。

そんなAさん、
その後の経過は
どうなったか?

担当医が提示した
自分軸にそって
療養をすすめることが
できたでしょうか?

それは次回、
お伝えしますね。

・・・

自己肯定感の低さに
悩んでいる時、

Do:  
Aさんの例を通じて
療養における
他人軸と自分軸の区別について
イメージを持つ。

Don’t:  
療養における自分軸が
自分にはわからない、
と落ち込む。

Aさんも、
セカンドオピニオンを受ける前までは
自分の生活リズムの乱れについて
全く自覚できていませんでした。
日々、繰り返されているのに、
です。
人間はだれしも、
このような、いわば
こころの盲点
のようなものを持っています。

現実を変えていくために
必要な自分軸が、
その盲点に中にある場合、
自分一人の努力では、
それを見出すことが
難しい場合があります。

この辺りの事情を、
このシリーズの後半では
コーチングというジャンルの知見を
交えて
お伝えする予定です。

いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、 
ぜひ一度、お問い合わせください。