ADHDとは何か:ハイパーフォーカスを活かせ!
さて、前回に続き、
ADHDのテーマです。
前回は、こちら↓
ADHDとは何か:注意のスタイルにおける少数派
そこでは、ADHDについて、
注意の欠陥、なのではなく、
注意のスタイルの少数派なんだ、
という捉え方をお伝えしました。
さらに、きっかけがあると、
その注意が、
多数派では想像もつかないぐらいに
持続する場合がある。
この点も、お伝えしました。
これ、hyperfocus
(ハイパーフォーカス)と
言われます。
日本では、症状の一つとして、
「過集中」と訳されていますが、
この注意のスタイルを
活かすことができるなら、
それが症状ではなく、
能力になります。
ハイパーフォーカス
=高度の集中力の持続、
ということです。
今回は、その生きた実例を、
お伝えしたいと思います。
・・・
スコット・ケリー。
1964年生まれの53歳、男性。
米国航空宇宙局の宇宙飛行士です。
ご存じですか?
国際宇宙ステーションに、
連続して1年以上滞在した経験のある、
数少ない宇宙飛行士です。
実は彼…
今の時代に子供だったら、
ADHDと診断されていただろう、
とカミングアウトしています。
実際、彼の伝記を読むと、
ADHDと診断されただろうと、
小椋も思います。
小学校から大学の始めまで、
とにかく、成績が悪い…
授業中、教師に全く、
注意が向けられない。
教科書にもノートにも
集中できない。
なんとかギリギリ、
座り続けることはできるが、
外の風景や、
「白昼夢」をみてばかり。
今日からは、生まれ変わるぞ
と思っても、
2日しか、続かない。
高校で、
三角測量のクラスをやめたいと
申し出た時の
校長先生の言葉…
君は、
集中することさえできれば、
潜在的な力は、あるのに…
・・・
一冊の小説との出会いが、
その彼の人生を
激変させます。
『ライト・スタッフ』。
(理想的な資質、という意味)
1983年、映画にもなりました。
有人宇宙飛行計画のために、
戦闘機パイロットから、
宇宙飛行士の候補を選ぶ、
というストーリー。
天啓だった、
と彼は振り返ります。
そうだ…
海軍のパイロットになろう!
・・・
この時、彼は、
全科目で成績不良の
大学生でしたが、
パイロットになるために必要な
物理、数学…など
猛勉強を始めます。
でも、
そんなに簡単には行きません。
まず、机に座るのが苦痛…
そこからのスタート。
がまんして…
がまんして…
ちょっとずつ、慣れていく。
さらに、
基礎学力の乏しさ。
同級生なら、15分もあれば
片付けられる練習問題も、
基本を一から勉強し直して、
とりかかる…
すると、夜中になってしまう。
「でも、
同級生とは比べないようにした」
と伝記で彼は、振り返ります。
同時に、
「ちょっとずつだが、
できるようになっていった、
それが、自分でもわかった」
とも。
・・・
おそらく、
この時の彼、
とほうもない高さの
絶壁に向き合ったような
気分だったと思います。
でも、
海軍のパイロットになる、
という標的に、
ハイパーフォーカスできると、
来る日も、
来る日も、
コツコツと、
その絶壁を
登っていくことができる。
そして、ついに、
試験飛行の日まで、
こぎ着けます。
その後の人生の中での
どんな操縦よりも、
大変だったようです。
でも、教官の評価は、
平均以上だね、だったとのこと…
・・・
その後も彼は
どんどんキャリアを積みます。
そしてついに、
火星への有人飛行を念頭に、
宇宙空間での長期滞在の、
人体への影響を、
医学的に研究するための
宇宙ステーションでの
プロジェクトに抜擢されたわけです。
まさに、
『ライト・スタッフ』。
宇宙ステーションって、
すごく、狭いそうです。
そんな所で、
一年以上も、生活する。
椅子に座り続けることすら
大変だった
ADHDの彼が、
それを、
やってのけている…!
むむむ…
ハイパーフォーカス、
ハンパないです。
・・・
さて、
ADHDと診断された時、
Do:
ハイパーフォーカスできる
人生の目標を見つける。
見つかるまで、待つ。
Don’t:
人生の目標と
かみ合わない物事に、
過集中してしまう。
実は、
スコット・ケリーさん以外にも、
ADHDの特性を持ちながら、
会社の経営や、
スポーツ選手、
アーティストなど、
クリエイティブな能力を
発揮しつつ、
活躍している方、
どんどん、
カミングアウトしています。
機会があれば、
またご紹介したいと思います。
いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、
ぜひ一度、お問い合わせください。