精神疾患と甘え③:必要な甘えとは?
さて、「甘え」のテーマが
続きます。
前々回、前回は、それぞれ、こちら↓
精神疾患と甘え①:甘えるな!と叫ぶ前に
精神疾患と甘え②:許してはならない甘えとは?
「甘えるな!」という
セリフが登場する、
まったく異なる
二つのシチュエーションを
見てきましたね。
今回は、
それと真逆の、
「もう少し甘えればいいのに…」
というシチュエーションを
見ていきましょう。
・・・
ある架空の会社の、
新卒で同期入社の
A君、Bさん、C君。
面倒見がよくて有名な、
P係長のもとで、
社会人生活を始めました。
慣れない書類作成に、
三人とも、四苦八苦。
最初にP係長に
相談に行くのは、
決まって、A君。
あなた、それぐらい自分で
やりなさいよ・・
といつも
Bさんのツッコミが入ります。
ミスプリントのあった
ページの再印刷を、
P係長にお願いしたことも
あるぐらいなので、
そのツッコミも、
当たっているのですが。
そんなBさんも、
このままだと、
休日出勤になりそうな時、
結局、
P係長に泣きつきます。
そんな中、
C君だけは、
自らP係長に
相談にいったためしが
ありません。
逆に心配になった
P係長が、
様子をみに来た時だけ、
簡潔に質問し、
回答を得ると、
また淡々と作業に戻ります。
A君とBさんの雑談は、
いつも、
次のようなやりとりで
終わるようになりました。
C君、大丈夫かしら?
かなり、
残業しているようだけど…
もう少し
P係長に甘えてもいいのに…
ほっとけ、あいつは、
そういうタイプだから…
甘えるのが苦手っていうか…
全部、
自分でやろうとするっていうか…。
・・・
「甘える」という言葉は、
ホント、不思議ですよね。
この職場では、C君は、
もっと甘えた方がよい、
ということのようです。
「甘えるな!」ではなく…。
でも、似た状況は、
いろんな場面で、
いっぱい、ありますよね。
まず、親戚の間で。
法事の段取り、
もうちょっと、
他の親族に振ってもいいのに…。
そして、夫婦の間で。
子供が熱で緊急受診する時、
共働きなんだから、
少しは旦那に振ってもいいのに…。
そして、親子の間で。
一浪したからって、
予備校の学費ぐらい出してやるのに、
全部、バイトでまかなうなんて…。
もちろん、
療養の場面でも、
ありますね。
うつ病で自宅療養中の
会社員。
同僚に業務を引き継いでいるのに、
自分の携帯に顧客から電話が入ると、
結局、自宅で仕事をしてしまう…。
失恋をきっかけに
パニック障害になった
女子大生。
失恋の話なんて、
お医者様にしても
迷惑がられるだけだろう、
と思い込んで、
あまり語ろうとしない…。
・・・
この状況で共通するのは、
周囲はもっと甘えてもよいと
思っているのに、
当人が、
これ以上、甘えられない、
と思っている、
ということ。
その結果、
他人に任せてもよいことを、
全部、自分が引き受ける。
その結果、
どうなる?
C君が、
あと三ヶ月後に、
心療内科を受診している可能性は、
ありますね。
だから、
上手に甘える、ということは、
心身の健康を維持する上で、
とても重要、
という結論になります。
・・・
その一方で、
A君の後日談。
P係長が出張の時、
A君が、
Q課長に仕事の相談をすると、
「お前、そんなことも
いちいち聞かないとできないのか?!」
「甘えるのもほどほどにしろ!」
と激怒されたとのこと。
上手に甘えるって、
なんて、難しいのでしょうね。
・・・
さて、
これは甘えではないか、と
自分のことを思った時、
Do:
周囲はどう思っているのか、
確認する。
そして、相手が
自分の負担を引き受けてくれるなら、
引き受けてもらうことも
検討する。
Don’t:
周囲はどう思っているのか、
確認をせず、
自分の負担を
自分が引き受け続け、
精神疾患を発症する。
さて、次回は、
今回を含む、3回分のまとめを
予定しています。
「甘える」とは、
結局は、
「契約のない委託だ」
という観点から、
「甘える」にまつわる、
メンドウなもろもろを
整理整頓したいと思います。
ご期待下さい。
いかがでしたでしょうか?
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