森田療法入門⑥:「あるがまま」とは?
さて、森田療法のシリーズ、
6回目です。
前回は、こちら↓
森田療法入門⑤:思想の矛盾とは?
前回は、
大型犬に遭遇した
女子大生のエピソードを例に、
(仮に、Aさんとしましょう)
「思想の矛盾」が、いかに
感情リテラシーの実践を妨げ、
神経症の症状を生み出すか、
それを見てきました。
思想の矛盾とは、
考えていることと、現実とが、
食い違っている状態でしたね。
現実を見たくない、
マイナス思考とも言えました。
例に挙げた女子大生の場合は、
格闘技をやる者は
恐怖という感情を抱いてはいけない、
というマイナス思考だったわけです。
(でも、大型犬を前に恐怖している。)
今回は、
森田療法がどのように
この「思想の矛盾」に
立ち向かっているのか、
見て行きましょう。
・・・
キーワードは
「あるがまま」ですね。
森田療法は
「あるがまま」療法だ、
と言われるくらいなので、
このキーワードは重要です。
あるがまま、とは?
森田先生の言葉を
そのまま引用してみましょう。
・・・
※拙策:つたない対策
※放擲:投げ捨てる
※心悸亢進:動悸
・・・
Aさんの場合なら、
恐怖という感情を抱いてはならない
というマイナス思考に支配されて、
恐怖している自分を否認し続ける、
というのが、
「拙策」になります。
そして、それを捨てて、
大型犬を前にして恐怖している自分を
受け入れることが、
「あるがまま」ということです。
・・・
でも、この
「あるがまま」を
そんなに簡単に
受け入れることが、
できるものでしょうか?
受け入れることが
できる場合も、あります。
人前で顔が赤くなることを
過剰に恐れる、
赤面恐怖、という病状の方が、
森田療養の本を読んだだけで、
治った、
というエピソードがあります。
そうか、
あるがままで、いいんだ…
赤面するのは仕方がない、
恥ずかしいとう感情を抱くのも、
仕方がない…
その気づきで、
それまでのマイナス思考が
払拭されるなら、
一回の読書体験で、
病状が治ることは、
あり得ますね。
でも、
頭ではわかっても、
実際、
その感情に耐えられない…
という場合は、
「あるがまま」を受け入れることは、
難しくなります。
この場合、
どうすればいいのでしょうか?
・・・
京都市内に
三聖(さんせい)病院という
森田療法を専門に実施している
施設がありました。
そこを見学した時、
患者さんの日記に、
担当医が丁寧に
コメントをつけている
ノートを見させてもらいました。
森田療法では、
日々の具体的な出来事と、
それに対する患者さんの感じ方を
記録に残し、
その都度、
あるがままとは
どいういうことか、
忍耐強く、指導していきます。
その結果、
少しずつ、
「あるがまま」を
体得していくわけです。
・・・
実は、
瑞枝カウンセリングオフィスや
瑞枝会クリニックで使っている
活動記録表は、
まさに、
そのような指導のツールに
なっているわけです。
森田療法とは、
銘打っていませんが、
実質的には、
同じことを目指しています。
当院の用語で言い換えるなら、
あるがまま、とは、
マイナス思考が修正され、
感情リテラシーが適切に
実践されている状態、
となります。
・・・
次回は、
森田療法の中の、
作業療法について、
特に、
感情に耐えられるように
なるためのリハビリとして
役立つポイントをピックアップして
お伝えします。
(最終回になります。)
・・・
森田療法に興味があるが、
親しみにくいと思った時、
Do:
あるがままとは、
感情リテラシーが
適切に実践された状態のことだ、
と理解する。
Don’t:
なんだか難しそう…
と食わず嫌いに終わる。
(前回と同じ)
いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、
ぜひ一度、お問い合わせください。