睡眠リズムを概日リズムから整えよう⑥:インターバル速歩のすすめ
さて、今回も、
睡眠リズムを整えるテーマが続きます。
前回は、こちら↓
睡眠リズムを概日リズムから整えよう⑤:体温のコントロール
運動や入浴を通じて、
核温をコントロールする話題でした。
今回は、
運動、そのものについて、
注目してみましょう。
・・・
同調因子、という用語、
覚えてますか?
このシリーズの初回の記事から、
以下、再掲しますね。
・・・
中枢の体内時計を
リセットする刺激を、
ツァィトゲーバー(zeitgeber:同調因子)
と言います。
※「時間を与えるもの」の意。
・・・
この同調因子として、
今のところ、
光と、
温度(核温)を、扱ってきました。
運動の刺激も、
この同調因子の一つです。
実際、
次のような実験があります。
被験者を、
外界の光から遮断して、
薄明かりの施設の中で、
15日間、滞在させます。
強制的に、
一日を23時間40分として、
生活させます。
※各自の体内時計より、
生活リズムが、どんどん、
前倒しになるわけです。
その中で、
日中、運動をした者と
しない者とを比較すると、
前者の方が、圧倒的に、
概日リズムの周期が、
前倒しになっていた。
※メラトニンの周期が
前倒しになっていたことで、
わかります。
つまり、
運動をした者の方が、
要求される生活リズムに、
自分の概日リズムを
容易に合わせることができていた。
ちなみに、運動とは、
一回、二時間のフィットネスバイクを、
日中に、2回…。
(けっこう、ハード)
これは、
運動が同調因子であることの、
明確な証拠に、
なりますね。
・・・
ポイントは、
運動すると、
何が起きて、
そんなにまで、
概日リズムが修正されるのか。
そして、
そんなキツい運動じゃないと
ダメなのか…、
でしょうね。
一つずつ、
整理してみましょう。
・・・
まず、
何が起きているのか。
運動すると、
核温が上るから。
(前回の内容)
確かに、それは、
運動が、
概日リズムを修正するメカニズムの、
一つのようです。
でも、それよりも、
もっと繊細なことが、
同時に、起きているようです。
運動するって、結局、
筋肉がエネルギーを消費して、
グッと収縮する、
ということをやっているわけですが、
そのエネルギーの調達の仕方として、
二種類、あります。
一つは、
酸素が使える状況で、
効率的に調達する方法。
(好気的代謝:こうきてきたいしゃ)
ゆったりした呼吸のままで、
できる運動の時は、
こっちで調達されます。
もう一つは、
酸素が使えない状況でも、
なんとか調達する方法。
(嫌気的代謝:けんきてきたいしゃ)
ハアハア、呼吸が追いつかない、
(筋肉への酸素の供給が追いつかない)
ハードな運動の場合は、
こっちで調達されます。
ハードな運動をすると、
筋肉の細胞が、
一斉に、
嫌気的代謝に切り替わります。
その変化が、
同調因子になっている、
…らしいのです、
最新の研究では。
・・・
人類の歴史では、
ハードな運動とは、
まずは、
日中の狩猟、
だったはずです。
短時間でも、
全力疾走で追う。
(あるいは、逃げる…)
その時、
筋肉の細胞で起きる、
嫌気的代謝への変化が、
全身に、
「起きろ!」
というサインを送り、
概日リズムを一気に、
日中の覚醒モードにして、
他の臓器も、
それに呼応する、
ということが、
起きているようです。
・・・
このメカニズムは、実は、
どんな運動をすれば、
概日リズムの修正に有効か、
その問いに、
ヒントを与えてくれます。
好気的代謝でできる運動を
ダラダラやるよりも、
短時間でも、
嫌気的代謝が生じるような
(ちょっと)ハードな運動を
やったほうが、
同調因子になるぞ、
というわけです。
でも、
外出もままならない
PSMの方に、
ハードな運動をせよ!とは、
なかなか、言いにくいです。
そこで、提案は、
インターバル速歩、
ですね。
・・・
3分間、
息がちょっとあがるぐらい、
大股でグングン歩いて、
(ここが、速歩)
3分間は、
ふつうに歩く。
その繰り返しで、
速歩が一日、合計15分ぐらいでOK。
※インターバル速歩:
信州大学の能勢教授が開発。
サイトはこちら↓
http://www.jtrc.or.jp/interval/
運動量が少ないPSMの方は、
速歩、一日、3分だけでも、
まずは、
始めてみるとよいと思います。
・・・
さて、
睡眠リズムが整わない時、
Do:
インターバル速歩を
取り入れてみる。
Don’t:
一回だけの運動で、
リズムが立て直せると早合点する、
あるいは、
がんばりすぎて
体調を悪化させる。
いかがでしたでしょうか?
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