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2021/08/09

PSMのための雑談との付き合い方⑫:聞き取れないときの原因と対策



さて、
雑談についてのシリーズ、
今回は、12回目になります。

前回は、こちら↓

そこでは、前田さんとの
架空のカウンセリングの中で、

雑談のレベルアップのための
提案をしました。

自分のプラスの側面を自覚して、
雑談の最後にみんなへの
応援メッセージを追加する、

でも、一回、15秒、
それを4回ぐらいでまとめる、
という提案をしましたね。

今回も、
前田さんとのカウンセリングが
続きます。

・・・

前田さんは、
「おもてなしの役割」という
観点を持つことで、

いままでの雑談の体験を
整理することが
できてきたようです。

みんなは自然にやっていて
自分にはぜったいムリって
感じることがあって、

みんな、前に会ったときの
話した内容を覚えていて、
あのこと、大丈夫だった?
とか、次のときに聞いたりする、
それ、ぜったい、ムリ

でも、それも
おもてなしって
いうことですよね?

はい、
その通りです(小椋)。

いま、それは、
わかりました、
相手に対する誠実な
関心、なんですよね。

でも、私、
ぜったい、忘れる。
それ(おもてなし)やりたいと思っても、
忘れる。
メモって、アリですか?

・・・

小椋は、
冠地情さんの
イイトコドリのワークショップを
紹介しました。

※第9回目で紹介しました、こちら↓

そこでは、メモ、アリですが
発言する前にその内容を覚えて、
メモを見ながらの発言はやめる
(それがクセになってしまうから)
というルールになっています。

前田さんの場合も、
イイトコドリに参加すると
ずいぶん、練習になると思いますが、
なかなか、参加できない場合、

雑談仲間のみんなに一言、
了解をえて、
イイトコドリのルールに従って
メモの利用、やってみるとよいでしょう、
とお伝えしました。

・・・

芋づる式に
前田さんの雑談困り事が
出てきます。

そもそも
みんなの会話が
聞き取れないことが
よくあります(前田さん)。

周囲の雑音がうるさいときとか、
同時に二人が
発言しているとか。

あとは、一人の人の
話が長いとき、
最初の話が、もう
思い出せないとか、あります。

これって、
私だけなんでしょうか?

・・・

小椋は、
次のように説明しました。

発達障害の特性をお持ちの方で
声という、聴覚の情報の処理に
不自由を感じている方、
けっこう、おられます。

原因はなかなか
複雑ですね。

自閉症スペクトラム障害の方で
聴覚過敏をお持ちの方は
それが原因となる可能性、あります。

注意欠陥多動性障害(ADHD)による
不注意や
集中力の持続困難がある方は
それが原因となる可能性、あります。

診断を問わず、
一時的な記憶力のキャパが
元来、少ない方もおられて、
その方も、似たような
不自由を感じる場合があります。

いずれにせよ、
会話のボトルネックの
1:入力、において
ハンディがある、ということです。

その場合、どんなに
2:イメージの構成
3:リアクションの構成
4:出力、
を練習しても

1:入力、
のハンディが邪魔してしまう、
という状況は、ありえます。

・・・

聴覚過敏が疑われる場合、
雑談が行われる環境自体の
修正・調整が効果的です。

なかなか、
自分に都合のよい場所に
みんなを誘導するのは
難しいかもしれませんが、

静かな場所を好む方も
他にいるかもしれません。

勇気を出して
場所の変更を提案してみては
いかがでしょうか。

・・・

ADHDの特性が原因の場合、
薬物治療によって
改善する余地があるので、

診断がつくレベルの不自由かどうか
チェックしてもらうことは、
選択肢として、アリです。

・・・

また、
一時的な記憶力のキャパ
(ワーキングメモリーと呼びます)
の程度は、

WAIS(ウェイス)という
IQ(知能指数)を測定する
心理検査で、
ある程度、わかります。

このキャパが、
平均よりかなり低い場合、

相手の長文の会話を
聞き取って、保持し、
その全体に対して
適切なリアクションを構成することは
なかなか、きびしくなります。

この場合、
そのようなやり取りを
雑談でできるようになることを
ゴールとして設定すると、
すごく、つらくなります。

ゴールの再設定が
必要になってきます。

・・・

このように、
1:入力、の不自由は
その原因のあり処を、
一度は、検討してみることを
おすすめします、
とお伝えしました。

外来の担当の先生と
相談してみます(前田さん)。

・・・

雑談が苦手で困っている時、

Do: 
メモの活用、
ADHDの精査、
WAISという心理検査なども
検討する。

Don’t: 
会話のボトルネックの
1:入力、の不自由について
メスを入れないまま
雑談での苦痛が続く。

いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、 
ぜひ一度、お問い合わせください。