2021/08/22
PSMのための雑談との付き合い方⑭:言うタイミングがわからない時の原因と対策
さて、
雑談についてのシリーズ、
今回は、14回目になります。
前回は、こちら↓
前回は、前田さんのカウンセリングを
続けながら、
会話のボトルネック、
1:入力
2:イメージの構成
3:リアクションの構成
4:出力、のうち、
2:イメージの構成
3:リアクションの構成、
について、
ポイントを絞って
対策を考えました。
今回も、
前田さんとの
カウンセリングが続きます。
雑談について
困り事の多い前田さんですが、
言うことを思いついても、
他の人がどんどん発言するなかで
言うタイミングがわからず、
グッと飲み込んだまま終わってしまう、
そんな状況が多い、とのこと。
これは、
会話のボトルネックの中の、
4:出力、に関わるテーマです。
今回は、
このテーマについて
取り組んでみることになりました。
・・・
小椋:
同じ悩みを抱えている方、
かなり多いのだと思います。
先日、ご紹介した、
イイトコドリのワークショップでも
それに対する対策が
かなり扱われています。
※ワークショップの案内は
第9回目で紹介しました、こちら↓
例えば、
参加者3人が輪になって、
手に大きめのビーチボールを持ったまま
輪の外を向いて
お互い背中を向けている状態から、
かけ声と同時に、
輪の内側に振り向いて、
さらにかけ声と同時に
真ん中の床に向かってボールを転がして、
3つのボールが真ん中で
うまくぶつかったら、成功、
という、からだを使ったワーク。
あるいは、
6〜7人が
輪になって椅子に座り、
一人が立ち上がって
両手を挙げて背伸びをして
また、座ると、
その右隣の人が
同じ動作を繰り返す、
そして、順番に、なめらかに
「波」が伝播してくと、成功、
という、これも
からだを使ったワーク。
・・・
小椋:
いま、ご紹介したワークは、
そのワークショップでは、
アイスブレイキングといって、
参加者がお互いに親しくなるために、
ワークショップの導入部で
活用されています。
だから、直接、
雑談で発言するタイミングを
身につけるための練習では
ありません。
でも、このような、
からだの感覚のレベルで
タイミングがわかる、ということは
雑談のスキルとしてとても重要だと、
主宰者の冠地さんは
わかっておられると思っています。
実際、雑談が苦手な方で
この感覚が苦手な方は多いだろう、
という印象を小椋も持っています。
要は、その場のノリが、
頭でなく、身体感覚として
わかる、ということです。
・・・
前田さん:
確かに、私がやったら
不器用で、うまくいかない
予感がします。
そのワークショップ、
出てみたいと思うけど、
京都に住んでいると、ちょっと
ムリですよね。
そのかわりになる練習で、
自分一人でできるものって
ありますか?
・・・
小椋:
うーむ、それが、なかなか・・・。
でも、おっしゃていることは
よくわかります。
いま、思いつくのは、
次のような練習ですね。
一杯分の簡易の
ドリップ用のコーヒーで、
パカッと開いてカップの上にのせて
お湯を注ぐやつ、ありますよね。
最初は、ダーッと
コーヒーが出てきますが、
後半は、しずくが、
ポトポト、したたってきます。
あらかじめ、
もう一つのカップを用意しておいて、
ポトポトしたたる状態で、
ハッと、気合いで、
隣のカップにそれを移して
しずくをテーブルにこぼさなければ
成功、というワークです(苦笑)
前田さん:(苦笑)
・・・
小椋:
しばらく、無言で
しずくのしたたりのリズムを
しっかり感じて、
ここだ!と決めたら
一滴、落ちた直後に
すかさず、スッと移動させて、
次の一滴が、
隣のカップに落ちる。
このワークでは、
しずくのしたたりが
雑談の参加者の
次々と続く発言に対応しています。
そのリズムに乗った状態で、
スッと移動させるのが、
自分の声帯を震わせる瞬間で、
隣のカップに落ちた一滴が、
自分の発言、というわけです。
この感覚は、かなり、
周囲の発言が次々と繰り出される中に
自分の発言を入れ込む感覚に
似ています。
前田さん:なるほど。
・・・
小椋:
いくつか、ポイントがあります。
一つは、
次の一滴が落ちる
まさにそのタイミングで
ドリップを動かしていると、
間に合わない、ということです。
つまり、
このタイミングだ!
と思う瞬間の、コンマ何秒か前に、
すでに、息を吸って、
最初の言葉が頭の中にあって、
このタイミングだ!
という思う瞬間に、
言葉の一滴がしたたり落ちる、
という感じにもっていく必要がある
ということです。
言うタイミングを逃してしまう、
というパターンでは、
言うセリフを思いついた瞬間が、
まさに言うタイミングだった、
という状況が多いと思います。
こんな説明をすると、
雑談が上手な人はどれだけ
難しいことをやっているのか、
という気分になるかもしれませんが、
自転車に乗ったり、
楽器を弾いたりするのと同じで
練習の結果、
自然にできるようになる、
というジャンルのものです。
・・・
小椋:
もう一つのポイントは、
最後のお湯を注いだあとは、
しずくのしたたりは、
徐々に徐々に、遅くなっていく、
という点です。
この速度の変化の中で
ワークをすると
なかなか興味深いです。
最初、ポトポトが早いうちは、
すかさず移動させるしかないですね。
ほとんど、漫才のノリで
ボケとツッコミが
やりあうペースです。
でも、後の方になると、
すかさず移動させると、
次の一滴が落ちるまで、
無言で待つ、という感じになります。
この待つ、という感覚も
実際の雑談では、重要です。
雑談のノリが、
まったりと遅い場合、
仮に、自分の発言のセリフが
頭に浮かんでも、
場のリズムに合わせる、
そのために、ちょっと、待つ、
そして、ポロッと発言する、
そんな感覚を、
練習することもできます。
前田さん:なんと、
コーヒードリップ、あなどりがたし(苦笑)
・・・
小椋:
最後、もう一点、
アドバイスを。
よし、このタイミングだ!
と思って発言すると、
まさに、完璧に同時に
他の人が発言してしまう、
そんな状況、けっこう、ありますよね。
前田さん:そうそう。
そうなると、もう、迷惑をかけた
感じで、自信喪失なんですけど。
小椋:
そう、思わないようにしましょう、
という提案です。
それって、ある意味、
その場のリズムに乗れている、
という証拠なのです。
前田さん:うむ、確かに。
小椋:
その場合は、
ボディランゲージのみで
どうぞお先に、と伝えるが、
相手の、どうぞお先に、が
よりパワフルな場合は、
軽く、じゃ遠慮なく、と言葉を添えて
スッと、自分の発言を続ける、
というノリで、よいかと思います。
前田さん:それでいいんですね・・・。
小椋:はい。
つまり、この、
4:出力、でのコツは、
ある種の、勇気、
ということになります。
ドリップを、ハッと
動かす、勇気、
しずくをポトッと、
雑談の場というカップに落とす、勇気、
タイミングが重なったら、
譲るか、責任をもって発言する、勇気、
ということですね。
でも、今日、お伝えした
このワーク、
前田さんがやってみたとしたら、
チャレンジした人、
前田さんが、初めてになります。
前田さん:(苦笑)
でも、おもしろそうです、
やってみます。
・・・
雑談が苦手で困っている時、
Do:
騙されたと思って
ドリップワークをやってみる(苦笑)。
やらないまでも、
4:出力、のボトルネックを
クリアするには
相手に合わせる
身体感覚レベルでの
タイミングが重要だと知る。
Don’t:
会話のボトルネック、
1:入力
2:イメージの構成
3:リアクションの構成
4:出力、のうち、
1〜3が、できれば
雑談は上達すると考え、
4の練習をなおざりにする。
いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、
ぜひ一度、お問い合わせください。