2021/09/12
PSMのための雑談との付き合い方⑰:雑談の「世間話タイプ」への対策 その3
さて、
雑談についてのシリーズ、
今回は、17回目になります。
前回は、こちら↓
引田さんのカウンセリングが
今回も続きます。
・・・
小椋:
前回は、引田さんの営業マン時代の、
同期をかばうという体験を
思い出してもらいました。
そして、引田さんの中に、
ひきこもり社員と
しぶしぶ営業マン、
その二人がいて、
しぶしぶ営業マンが
ひきこもり社員をかばう気持ちで、
おばちゃんに、
引田物産と引きこもり社員のことを
プレゼンできれば、
おばちゃんとの雑談の苦痛が
減るだろう、
という提案でした。
引田さん:
はい。
実際に、おばちゃんが
根掘り葉掘り聞いてこなくても、
ということでした。
小椋;
そうですね。
今回は早速、そのプレゼンの
シナリオを一緒に
準備してみましょう。
引田さん:
お願いします。
小椋:
まず、小椋がおばちゃん役を
やってみますね。
引田さん:
はい(苦笑)。
小椋:
おばちゃんは、実際には
根掘り葉掘り聞いて来なくても、
聞きたくてウズウズしています。
引田さん:
多分(苦笑)。
小椋:
おばちゃんは、引田さんが、
自分の価値観を逆なでする人かどうか、
それをチェックしたい。
それが、雑談の「世間話タイプ」の
役割だから。
それが、おばちゃんが
ちょっかいを出してくる目的なのです。
引田さん:
いま、それはよくわかります。
小椋:
スバリ、おばちゃんが知りたいのは、
突き詰めると、次の三つ。
A:仕事をしているのか?
B:仕事をしていないなら、
その理由は何か?
そして、日中、何をしているのか?
C:何もしていないなら、
なにか世間を騒がせるような
事件を起こす可能性はあるのか?
ですね。
引田さん:
なるほど。
きっと、そんな目で
見られているんだろうなとは
感じてます。
でも、仮に直接、聞かれたとしても、
何て答えたらいいものか・・・。
実際、仕事はやってませんし・・・。
理由は、うつ病で体調がよくないから
なのですが、それを
そのまま言っても、どんどん
誤解されそうな気がするし・・・。
小椋:
その通り。
だから、ここで、
しぶしぶ営業マンに
登場してもらうわけです。
要は、極端なウソをつかない範囲で、
おばちゃんを安心させるストーリーを
営業マンが用意できればよい。
引田さん:
例えば?
小椋:
引田さんは、
午前中はあまり調子がよくないが
夕方からは、メルカリで
物を売ったりされていると
以前、おっしゃっていました。
引田さん:
はい。
小椋:
それ、仕事にしてしまえばよい。
引田さん:
?!
でも、売上は微々たるもので
両親との三人暮らしで
実質的には養ってもらっている状態で・・・。
小椋:
それは、
ひきこもり社員の
正直するぎる自己評価です。
だから、営業マンが
引田物産に必要なのです。
おばちゃんは、
Aの質問で、
この人は、社会と
適切につながりを持っている人なのか?
ということを評価したいのです、
無自覚ですが。
だから、仮に
売上が微々たるものでも、
ちゃんと、品物を郵送し、
クレーム処理なども適切に対処して
メルカリでやれているなら、
それって、
適切に社会とつながりを
持てている、と言ってよい。
引田さん:
なるほど。
だから、おばちゃんの
Aの質問に対しては、
営業マンとして、
引田物産は、メルカリをやっている、
と言えばよい、と。
小椋:
そう。
ただ、おばちゃんはメルカリを
多分、知らないので、
通販事業をやっている、
という言い方でOK。
引田さん:
すごい(苦笑)
私は、通販事業をやっている(苦笑)
小椋:
そう。
すると、もう、
ストーリーができますよね。
会社が残業ばかりでキツくて
体調を壊して、退職した。
その頃から、自宅で通販事業を始めた。
ちょうどコロナ禍になって
売上も伸びる傾向にある。
引田さん:
すごい・・・
確かに、ウソじゃない(苦笑)。
小椋:
でも、そのストーリー、
ひきこもり社員はとても
自分で語れないと思います。
引田さん:
確かに。
自分のなかの引きこもり社員が
いま、すごく抵抗を感じています(苦笑)。
小椋:
でも、引きこもり社員を
かばおうとする営業マンなら、
言えます。
そして、これって、
おばちゃんへの、おもてなし、
とも言えるのです。
引田さん:
?
小椋:
だって、おばちゃんは
安心したいわけですよね?
引田さん:
確かに。
・・・そうか!だから、
それを提供してあげているなら
おもてなし、ということですね?
小椋:
そう。
これで、Aも、Bも
回答できたわけです。
その結果、
Cも、そんなリスクは
引田さんにはないですよ、
とおばちゃんに伝えられるわけです。
引田さん:
なるほど。
小椋:
うつ病がまだ続いているとか、
午前中は、横になっていることが多いとか
そんなこと、言う必要はない。
それよりも、
営業マンから、
さきほどのストーリーを
ニコニコ、とまでいかずとも、
淡々と伝えれば、それで、十分。
引田さん:
なるほど。
小椋:
その、こころの準備ができていれば、
ずいぶん、
朝、ゴミ出しの時に
おばちゃんに遭遇する時の苦痛が、
マシになる気が、しませんか?
引田さん:
確かに、確かに・・・。
しぶしぶだが、
営業マンにやってもらおう、
という感じになりますね。
引きこもり社員は
ひきこもったまま。
小椋:
そう。
だから、朝、
おはようございます、と
おばちゃんが言ってきたら、
そのストーリーを頭に置いたまま、
何を聞かれてきても大丈夫、と感じつつ、
おはようございます、と
ふつうに返せばよい。
引田さん:
なるほど。
小椋:
お仕事は何ですがと
聞かれなかったら、
残念だな、ぐらいに(苦笑)
引田さん:
(苦笑)
・・・
さて、
引田さんとのカウンセリングは
これでおしまいです。
引田さんの場合は
メルカリに取り組む時間がありましたが、
メルカリでなくとも、
日中、少しでも何かに取り組んでいるなら、
それが、ゲームであっても
TVであっても
ネットサーフィンであっても、
社会とのつながりは、
ゼロではありません。
ゲームであれば、
発売日をチェックしたり、
チャットで相手と交流するとか。
TVやネットサーフィンだと
気になった記事を
SNSに投稿するとか。
そのような社会とのつながりを、
自分の中の
引きこもり社員を応援する
営業マンなら、
ゲームモニター、とか
ネット記事ウォッチャー、とか、
ネーミングしてくれるでしょう。
それが、目下、
自分の中の引きこもり社員の
「仕事」ということです。
そんなの、仕事とは
とても呼べないぞ!
と、引きこもり社員自身が
反論してくるかもしれません。
そんな時も、
営業マンの出番ですね。
キミは、他の人には
なかなかわからない事情があって
いま、引きこもっている。
近所の人たちがイメージするような
仕事が、いま、できなくても
しょうがない、それは、
認めるしかない。
でも、キミなりに、
社会とのつながりを保とうとは
しているよね、
その努力は、いまキミにできる
精一杯の「仕事」といって
いいんじゃないの、と。
・・・
つまり、
引田さんタイプの方の
世間話との付き合い方は、
つきつめると、
自分の中の、
引きこもり社員と
しぶしぶ営業マンとの、
折り合いの付け方、
その成り行きに直結する、
ということです。
特に、
仕事をしていない、
という状況について、
引きこもり社員と
しぶしぶ営業マンが、
共有できるストーリーを
どの程度、用意できているか、
がポイントになるわけです。
そのためには、
どれぐらい
引きこもり社員が
・「仕事」のイメージを柔軟にできるか
・しぶしぶ営業マンを信頼できるか
しぶしぶ営業マンが
・引きこもり社員に共感できるか
・引きこもり社員をかばおうと思えるか
が鍵を握ることになります。
朝、うっとうしく
かかわってくるおばちゃんの存在は、
自分の中の、
その二人の折り合いをつけるための
きっかけに過ぎない、
とすら、言えますね。
・・・
雑談が苦手で困っている時、
Do:
雑談の「世間話タイプ」では、
世間を疎ましく思う自分と
世間と付き合うしかないと思う自分、
その両者が納得する
自分のストーリーを用意して、
後者にそれを語らせる。
Don’t:
自分の中には
世間を疎ましく思う自分が
100%だと思い込む。
※100%なら
悩みは発生しない。
いかがでしたでしょうか?
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