2021/12/27
身体リテラシー入門⑫:チャンネル・スイッチの意義
さて、身体リテラシーのシリーズ、
今回は第12回目です。
前回はこちら↓
前回は、「守り」の最後の
まとめの回でした。
安心感につながるために
開くチャンネルは
徹底的に開け!
というのがコツでしたね。
今回は、いよいよ
「攻め」に転じましょう。
・・・
ここで言う「攻め」とは、
今までふたをしていたチャンネルを
ちょっとずつ
チラ見するように開いて、
その情報を、別の、
自分の得意なチャンネルに
流し込んで、
そこで表現してみる、
ということになります。
情報を受けるチャンネルを
切り替える、
つまり、これが
チャンネル・スイッチ、
ということです。
・・・
もっと具体的に言うと、
6つのチャンネルの中の
3:身体感覚のチャンネル、
特にその中の、内受容感覚、
そこから押し寄せてくる
根源的な不安、という情報を、
別のチャンネル、例えば、
1:視覚・・・
絵に描いてみる、
2:聴覚・・・
言葉にしてみる、
4:身体運動・・・
からだの動きにしてみる、
5:他者との関係・・・
誰かにこの不安を話してみる、
6:世界との関係・・・
根源的な不安を抱いて
苦悩している主人公が登場する
映画のDVDを
まるで主人公になったかのように
感情移入して観賞してみる、
などのかたちで
表現してみる、
ということですね。
・・・
これって、
ひたすらふたをしてきたものに
向き合うという意味で、
ものすごく、勇気、
いります、確かに。
でもこれって、
それに見合う
意義はあるのか?
ズバリ、
エッジの向こう側にあったものを
自我の内側に取り込む、
という意義があるのです、
自己表現する、ということには。
自分の中に一旦は
取り込まないと、
自分で表現できないですからね。
そして、
根源的な不安を
自分の中に取り込むことができると、
死んでしまいそうだと感じるほどの不安と、
ほんとうに死ぬという現象、
その区別が、
できるようになります。
あるパニック障害の方の
含蓄の深いコメントがあります。
川が増水したとき、
これがほんとうの恐怖だと思った。
すると、
今まで、こわいこわいと思っていたことが
それはフェイク(うそ)だとわかった、と。
私たちは、生きている間、
死ぬのは、やはり、恐いです。
でも、
死んでしまいそうだと感じるほどの不安と
その恐怖とは、
区別できるようには、なるわけです。
ここは、感情リテラシーの上達、
と言えますね。
その成長を支えてくれるのが、
死なないよね、
大丈夫だねよ、という
安心感を与えてくれる、
前回お伝えした、
ふたをした中でもしっかり開いた、
自分の得意なチャンネルから来る
いろいろな情報、
ということになるわけです。
・・・
ところで、
チャンネル・スイッチのテーマを
最初にお伝えしたのは、
解剖学者の三木先生の息子さんの、
トイレ感覚を身につけるまでの
ドタバタ劇でしたね。こちら↓
再登場していただきましょう。
腰を振ったり、
地団駄を踏んだり、それって
実のところ、
何が起きているのでしょうか?
膀胱が膨らもうとする圧と、
放尿しないように耐えている圧、
その戦い、拮抗、葛藤、
その不快感が、
内受容感覚として
圧倒的に迫ってきているわけです。
ポイントは、
相反する、二つの力が
ぶつかっている状況、
ということですね。
この力を、
ただ、うーっと耐えているのではなく、
身体運動のチャンネルに流し込むと
どうなる?
相反する力が、
それぞれ、からだの動きとして
現れてくる。
つまり、
一方の力が、腰をこっちに振らせると、
他方が、あっちに振らせようとする。
結局、腰は
左右に振る動きとなる。
あるいは、
一方の力が、右足で地面を踏ませると、
他方が、左足を踏ませようとする。
結局、地団駄になる。
こんな調子で、
相反する二つの力が
動きとして表現されるわけです。
そして、このように表現すること
それ自体が、
徐々に、自我が、
エッジの向こう側の
得体のしれない内受容感覚を
自我のゾーンに取り込む、
その、ある種のリハビリ、
になっているわけです。
これが、
チャンネル・スイッチの
具体的な意義、になります。
・・・
多くの場合、
相反する二つの力とは、
一方が、
エッジの向こう側から攻めてくる敵、
もう一方は、
必死に防戦している自我、
となります。
その戦場で起きている葛藤を
表現できるようになると、
自我が成長して、
その敵を敵と思わず
取り込めるようになる、
というストーリーですね。
・・・
次回は、
他のチャンネルで表現する場合の
具体例について
見ていきましょう。
・・・
根源的な不安に
さいなまれている時、
Do:
チャンネル・スイッチに
取り組むと、
自分のエッジで何が起きるのか
そのイメージをまずは持つ。
Don’t:
「守り」が不十分なのに
「攻め」に転じる。
※エッジの向こう側の
勢いが強い場合、
こちらの準備がまだなのに
グイグイ攻められて、
こちらも「攻め」に転じざるを
得ない場合は、確かにあります。
その時でも、隙あらば
「守り」を固めることが重要です。
いかがでしたでしょうか?
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