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2022/05/30

「毒親」とは何か④:親の「怒り」と子の「隷属化」のメカニズム



さて、今回は
毒親のシリーズ、第4回目。

前回は、こちら↓

彼ら(毒親)の特性について、
人の4つの機能、という分類に沿って
分析・整理を始めていますが、

前回は、「動く」について
まとめたわけです。

具体的には、
強要する
制限する
操作する、でした。

今回は、引き続き、
感じる」について
分析・整理を続けましょう。

・・・

毒親の本質について
復習しておくと、
それは
子供の隷属化にあり、

具体的には、
親が、

・子は所有物だ
・そう信じる権限が親にはある、
と信じ、

・その権限が低下する事態は許されない
・よって実力行使が正義である
と考え、

その権限が低下する事態に際して
怒りを発し

・子のすべてを支配しようとする
・そのためにあらゆる方法を駆使する
そのように動く、
でしたね。

今回は、
親の発する「怒り」について
深掘りしてみましょう。

ここが、このシリーズの
一つの山場になります。

子供の隷属化が延々と
続いてしまう、
その震源地に踏み込むことに
なるからです。

・・・

親が
怒り」という感情を
発する、その目的は
何でしょうか?

ズバリ、子に
恐怖」という感情を
抱かせるため、ですね。

その目的のための
「怒り」を伴った
親の言動は、実に多彩です。

大声で罵倒する、
目の前で物を壊して見せる、
刃物を手に取る、
実際に暴力を振るう、
などから、

無言で自宅から閉め出す、
食事を与えない、
あるいは、
友人との交流や
お小遣いを制限するなどの
懲罰的な処置など、

さらには、
そのいずれでもないが、
親の、
強烈な怒りを押し殺した
ゆえの電磁場のように
周囲をゆさぶるイライラの
空気感、など・・・。

この「怒り」の感情に
触れると、子は、

生きた心地がせず、
何としてでもこの状況は
回避すべきだ・・・、
どんな手段を使っても
生き延びる術を探すしかない・・・と
心の底から打ち震えるのです。

これが、
恐怖」ですね。

・・・

でも、
この「恐怖」を抱いた経験のある
子供は、きっと
少なくはないでしょう。

そして中には、
こんな親とやってられっか、と
さっさと実家を出た方も
おられるでしょう。

この、
子供が抱いた「恐怖」が
子供の「隷属化」にまで
至ってしまう、そこには
どんなメカニズムが
働いているのでしょうか?

・・・

ポイントは
3つ、あります。

一つは、
親と比べて子が
圧倒的に社会的な
弱者である場合、です。

基本、子は
親と比較して、
経済的にも
生活スキルの点でも
劣っているので、
ここを逆転することは
なかなか難しい。

脱出したくても
脱出できない、つまり
隷属化に甘んじてしまう、
というわけです。

・・・

二つ目は、
親の「怒り」が
間欠的にしか起こらない
という点です。

それどころか、
時にとても「優しい
場合もあったりする。

そのような穏やかな日々の中で、
予測不能に
親の「怒り」が爆発する。

これって、
子にとっては、たまりません。
生存が脅かされる中、
しかし、その親にしか
生存を託せない中、
思考と感情の混乱が
ピークに達する。

すると、子はどうするか?
決死のウルトラCの対策を
繰り出すのです。

親の「怒り」を
「なかったこと」にして、
親は「優しい人だ」と
思い込もうとして、
実際、そう思えるようになる。

そしてこの修羅場を
なんとか正気を保って
生き延びようとする。

この心理の機微は、
一つの研究テーマになっています。

トラウマティック・ボンド
traumatic bond:心的外傷を伴う絆)
という理論は、
虐待を受けた児童の
加害者の親への好意について
扱っています。

似たような心理を捉えた
ストックホルム症候群
という用語もあります。

テロリストに拉致された
人質が、短期間の内に
テロリストに好意を抱くようになった、
実際の事件をきっかけに
概念化されたものです。

テロリストは常に
人質を脅迫しているわけではない。
慈悲をみせて、
トイレを許したり、
食事を与えたり、それがまるで
人質には
天の恵みのように感じられる。

隷属化する親のもとに
留まらざるを得ない子は、

ストックホルム症候群に似た心理を
体験せざるを得ないようです。

これが、隷属化を
一層、助長する、
ということです。

そして、隷属化する親は、
自覚して、
怒りを間欠的に
発しているようです。

・・・

三つ目は、
密室化、ですね。

親が子を
隷属化している生活状況が
第三者の場に開かれていれば、

子は、その第三者にも
生存を託せるようになる。

すると、
一つ目のポイントである
弱者の立場が
改善する可能性がある。

そして二つ目のポイントである、
子の、虐待者である親への
心的外傷による絆を
修正できる可能性がある。

でも、第三者への扉が
閉ざされていれば、

隷属化が、
続いてしまうわけです。

それを親は
熟知しています。

なので、
カウンセラーなどを
間に入れることを強く拒むか、

受け入れたとしたら
そのカウンセラーを
「仲間」にしようと
あの手この手を使う、
(前回お伝えした「操作性」)
というわけです。

・・・

毒親対策について
取り組む時、

Do:  
親の怒りは、
子に恐怖を抱かせ、
子の隷属化を推し進める作用があり、
それが効果的となるために、
親は
子を弱者の立場に起き続け、
怒りは間欠的にしか発さず、
密室化を守り通していると
見切る。

Don’t:  
予測不能な怒りの爆発に
巻き込まれ続ける。

いかがでしたでしょうか?
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