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2022/09/12

自己肯定感を上げるためのコツ⑧:ホメオスタシスとコンフォートゾーン



さて、
自己肯定感をテーマにした
シリーズ、その8回目です。

前回は、こちら↓

40代男性の会社員
Aさんは、なぜ

生活リズムを整えるという
自分軸
認知できなかったのか、

それは、
スコトーマ(心理的盲点)
なっていたからだ、
とお伝えしました。

Aさんの中に
現状維持の勢いが強いと、

網様体賦活系(RAS)という
脳の回路は、
その目標達成に重要な情報だけを
選択的に収集するため、

現状を打破するために
必要な情報を無視してしまう、
(=スコトーマになる)
という流れでしたね。

今回は予告通り、
ホメオスタシス
コンフォートゾーンという用語を
ご紹介します。

その用語の由来については
編集後記を参照ください。

やたらと
カタカナ用語が出てきますが、

Aさんの、というよりも
誰しもがもっている、
人の「現状維持への勢い」について、

新鮮な見方を
提供してくれますので、
お付き合いください。

では、早速
始めましょう。

・・・

ホメオスタシス
homeostasis)とは
決して近年の
あやしい造語ではありません。

恒常性維持機能
と訳されていて、
医学部の生理学の教科書には
ふつーに登場します。

ホメオスタシスが
発揮されている
一番、わかりやすい例は
体温の維持、でしょうね。

夏だろうが冬だろうが
外界の気温の変化に関わらず、
人間の体温はおおむね
37℃前後に
保たれています。

人間って、
化学の観点からは
さまざまな物質が
化学変化を起こし続ける
一大化学工場なのですが、

その化学反応の進み方に
温度って、ものすごく
シビアに影響を与えます。

だから、体温は、
外界の気温がどんなに
上下しようとも、
かなり厳密に一定のゾーンに
維持されているわけです。

ここ、地味ですが
生命体のすごいところです。

・・・

体温に限らず、
生命体にはいろいろなレベルで
ホメオスタシスが
確認できます。

一つ一つの細胞レベルでも、
細胞の外側の環境が
変化すれば、それに応じて
細胞の内部のいろいろな物質の
濃度を変化させて、
細胞の機能を維持しようとします、
なんと健気な・・・(苦笑)。

もっと大きなレベルでも、
例えば、
いろいろな臓器や
細胞やタンパク質が
オーケストラのように
連携している
人間の免疫システムも、

細菌やウイルスを
体内から体外へ排除して、

体内を一定の環境に維持しようとする
ホメオスタシスの
一つの現れですね。

この生命体の健気な努力を
「現状維持でしかない」と
悪い意味で解釈するなら、

ホメオスタシスは
(仮に人格があるなら)
激怒するでしょう(苦笑)。

誰のおかげで
のほほんと生きていられると
思ったか〜、と。

だから、
ホメオスタシスとは
生命体にとって
なくてはならない機能なのです。

・・・

さて、ここからが
本題です。

今回、ご紹介している
スコトーマや
ホメオスタシスなどの用語は、

コーチング」という
対人援助の一派が
独自の意味づけをして
用いているものです。
(編集後記を参照)

そこでは、ホメオスタシスを、
身体レベルに限らず、
心理レベルでも
同じ現象が起きている、
と考えます。

心理レベルでも、
身体レベルと同じく、
外側がどんなに変化しようとも、
こころの内側を
一定に維持しようとする機能、
それが働いている、
ということですね。

実はそのような認識は、
精神分析学を創始した
フロイト以降、

いろいろな心理学者が
それぞれの言葉で
語ってきたことではあります。

このメルマガでも、
自我の「エッジ」というテーマで
まとまってお伝えも
してきました、こちら↓

エッジとは、プロセス指向心理学で
自我のゾーンと
自我ではなないゾーンとの
境界、という意味でしたね。

それってまさに、
細胞の内側と外側、
というイメージと重なります。

つまり、
人間は、
身体レベルでもそうであるように、
心理レベルでも、
自我の外側でどんな変化が起きようとも
自我の内側を一定に維持しようとする
ホメオスタシスが働いている、
というわけです。

・・・

ふむふむ、
なるほど・・・、でも
その説明って、わざわざ
ホメオスタシスという用語を
身体レベルから心理レベルまで
拡張した、というだけで
何かメリット、あるのか?

そう疑問に思ったあなたは
鋭いです。

そのメリットは、
どこにあるのか?

人間って、
身体レベルから
心理レベルまで
地続きだよ、というイメージを
持ちやすくする、
この点にメリットがあります。

それのどこが
メリットなのか?

私たちは、このシリーズで
自分のホメオスタシスを
維持したい、と思っているわけでは
ありませんね。

維持したいだけなら、
このような新しい用語の導入は
意味が乏しいです。

私たちは、
現状維持のホメオスタシスは
ありがたいが、
でも、現状がこのまま続くことも
苦しすぎる・・・、

自己肯定感が低い
現状が続くことが
しんどすぎる。

では、私たちが
目指す方向は
どこなのか?

ズバリ、それは
現在のホメオスタシスを脱出し、
別のホメオスタシスに到達する、
という方向しか、
ありません。

だって、なんらかの
ホメオスタシスは必要だから、
生命体として存在するために。

でも、現状はしんどい、
ならば、「旧」を脱出して
「新」に到達するしかない
とうわけです。

旧ホメオスタシスから
新ホメオスタシスへの、
いわば移住、ですね。

これに取り組む時、
身体レベルと
心理レベルとを
地続きにイメージできる
ホメオスタシスという用語は
便利です。

心理レベルだけ、
旧から新へ
「引き剥がして」移住しようとしても

身体レベルが
旧のままなら、
そう簡単には、移住できません。

そして、最初にお伝えしたように
身体レベルのホメオスタシスって
ものすごく健気なのでが、
変化に対しては、良くも悪くも
ひどく頑固です(苦笑)

それが、Aさんに起きたこと、
というわけです。

心理レベルでは
生活リズムを整えた
新ホメオスタシスを
受け入れることができても、

身体レベルが
抵抗を示した、
スマホ三昧がいいよね・・・と。

手強い、ということです、
身体レベルが。

・・・

さて、
ホメオスタシスという用語を
生理学の基礎知識から始まって、
心理レベルにまで拡張しました。

その意義も
見てきました。

ここまで来ると、
もう一つの用語、
コンフォートゾーン、が
ぴったりフィットします。

コンフォートゾーン(comfort zone)とは
居心地のよいゾーン、
という英語ですね。

コーチングでは、
ホメオスタシスが機能して
身体的にも心理的にも
安楽な状態、を意味します。

Aさんで言うなら、
生活リズムが乱れた
スマホ三昧の状態、ですね。

100%の安楽ではないにしても、
新ホメオスタシスへと脱出するには
あまりにも居心地がよすぎる
そんな現状維持のゾーン、
というわけです。

・・・

さて、今回は
ここまでです。

次回は、
用意した新しい用語を使って
Aさんがいかに、
旧ホメオスタシスから
新ホメオスタシスへと移住できたか
その過程を細かく
追ってみましょう、

そこに、
生存競争を生き延びるための
ヒントがあるはずです。

特に、スコトーマを
いかに外すか・・・、
ですね。

そして、そもそもの目的、
自分軸が認知出来ないとき、
認知できるようになる、
でしたね。

・・・

自己肯定感の低さに
悩んでいる時、

Do:  
ホメオスタシスは
身体レベルから心理レベルにまで
働いていて、
コンフォートゾーンを
構成しているから、
新しいホメオスタシスに移行するには
身体レベル、心理レベル
その両方から
離脱する必要がある、と知る。

Don’t:  
自分には
今のコンフォートゾーンから
脱出できる予感がしないと
落ち込む。

※確かに、コンフォートゾーンは
手強いです。
ある意味それは、
現状を維持して生き延びようとする
生命力の一面だからですね。
でも、同じ生命力のもう一面、
現状を変えて生き延びようとする、
その力も、人間にはセットで
存在しています。
それをどうやって、
自分のペースで解放するのか、
次回以降のテーマになります。

<編集後記>
このシリーズで参照している
コーチングは、
米国のコーチ:ルー・タイスが
開発した体系に、
日本の認知科学者の
苫米地英人(とまべちひでと)氏が
磨きをかけた体系です。

苫米地氏は、日本では
希に見る知性と思いますが、
書籍は、PSMの方を
念頭に置いていないため、
PSMの方がそのまま読むと
劇薬過ぎるかと思います。

体調悪化のリスクがあるため
独学はおすすめしません。

このシリーズでは
読者の皆様が咀嚼できる範囲で
その内容をお伝えしていきます。

 いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、 
ぜひ一度、お問い合わせください。