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2022/09/05

自己肯定感を上げるためのコツ⑦:スコトーマで「自分軸」が認知できない!



さて、
自己肯定感をテーマにした
シリーズ、その7回目です。

前回は、こちら↓

自己効力感を感じる
ダニエル的瞬間」が
成立するための条件を6つ、
まずはお伝えしましたね。

今回以降は、
その条件が整わない場合、
何に取り組めばよいのか、
それを一つ一つ、
確認していきましょう。

今回は、手始めに、
自分軸が認知できない場合
どうしたらよいのか?
ですね。

・・・

40代男性の会社員の
Aさんのケース、
覚えておられますでしょうか?

Aさんの、転医前の状況は
こちら↓(3回目)

転医して、自分軸を提案された状況は
こちら↓(4回目)

「ダニエル的瞬間」を実感できた
その後の経過は、こちら↓(5回目)

Aさんは、どんなに
ネットで情報を検索しても、

自分のうつ病の療養を
前進させる情報に
出会えませんでしたね。

でも、担当医が提案したことは
生活リズムを整えよう、という
至極、ふつーな提案でした。

うつ病にとって
生活リズムを維持することは
大切だよ、という情報は
実は、

ネット上にはわんさかあって、
Aさんも、それに
目を触れていたはずです。

そして、自分の生活リズムが
決して整ってはいないと
わかってもいたはずです。

でも、Aさんは、
その情報を無視した・・・、

まるで自分には
無関係であるかのように・・・、

でも、そこにこそ
自分の療養をすすめる
大切な自分軸が
あったのに・・・。

Aさんは、
自分軸が認知できていなかった
わけですが、

この時のAさんに、
一体、何が起きていたと
思いますか?

・・・

その事情を説明するために
ピッタリの用語が
スコトーマ」(scotoma)です。

元来、眼科の領域で
目の盲点(scotoma)を意味しますが、

心理学やコーチングの領域に転用されて、
心理的盲点」を
意味するようになっています。

つまり、Aさんは、
あれだけネット検索で
情報を浴びても、

生活リズムに関しては
「心理的盲点」(スコトーマ)になっていた、

だから、
自分軸が認知できなかった、
というわけです。

そして、小椋が見るところ、
自分軸が認知できない場合、
Aさんに限らず、皆、
この事態が起きている、
と見ています。

スコトーマがあること
それ自体は、
病的ではありません。

というより、
人間は、そのような何らかの
心理的盲点を持つことから
逃れることが、できません。

ポイントなのは、
必要に応じて、
不適応を来している特定のスコトーマ
外せる自分になる、そのスキルを持つ、
ということです。

※スコトーマを「外す」とは
心理的盲点を解除して
認知できるようになる、
という意味になります。

では、
スコトーマは
どうやったら
外せるのでしょうか?

Aさんは、
失敗を繰り返しながら
外すことができました。

でもなぜ、スッと
外せないのでしょうか?

最初から忠実に
担当医の指示を
守れなかったのでしょうか?

その事情を順を追って
説明してみますね。

・・・

カクテルパーティー効果って
聞かれたこと、ありますか?

(どんどん、カタカナがでてきて
すみません・・・)

自分に必要な情報を
無意識に選択できる
脳の機能を指しています。

パーティーで周囲が
雑談に花を咲かせている中でも、

目の前の話している人の会話や
離れていても自分の名前を呼ぶ声は
しっかり認識できる、
そのような選択的注意を発揮できる
脳の機能、ということです。

逆に言うと、
自分に無関係な情報は
無視できる、というよりも
無視することに意義がある、
ということですね。

このような脳の機能を、
脳のどのような回路が担っているか
近年、かなり具体的に
分かってきています。

それが
網様体賦活系RAS:reticular activating system
と呼ばれている回路ですね。

この回路(以下、RASと略称)は、
意識を覚醒した状態に保つだけでなく、
カクテルパーティー効果のように、
情報に対する選択的注意も
司っているようです。

これが、目下の話題に
どう、関係するのでしょうか?

RASは、
人間が目標をもった行動をとる際に
その目標の達成に重要な情報を
収集するわけですが、

逆に言うと、
目標達成に重要でない情報は
無視するようにできている
ということです。

この無視した結果が
スコトーマだ、
というわけです。

その意味では、
情報に対する選択的注意を
実行するにあたって
避けられない代償だ、
とも言えますね。

パーティーでは
周囲の自分に関係のない雑談は
スコトーマになるし
それで、よい、
ということです。

・・・

私たちのテーマに
引き戻すなら、

私たちは、
生存にかかわる現実に向き合って、
自分の生存能力が高いと
評価したいわけですよね
(自己効力感を上げたい)。

その際、
私たちの行動の目標は
どうなるか。

平たく言えば、
生存競争に勝つ、
ということになります。

その際、RASは
それに必要な情報を収集します。

でも、
ここにポイントがあります。

私たちが内心、
それを望んでいないとしたら?

生存競争に勝ちたいが、
でも、それもしんどいし・・・
現状維持でいいか・・・
と思っているとしたら?

チャレンジするか
しないか迷っている、
そんな程度ではなく、
内心、実はかなり強く、
現状維持を変えたくないと
思っているとしたら?

こころに加えて
自分のからだが、もっと積極的に
現状維持を望んでいるとしたら?

その際、RASは、
現状維持に必要な情報を
収集します。

それは逆に言うと、
生存競争に勝つための
情報が、スコトーマになる、
ということですね。

この事態が
Aさんに起きていた
ということです。

・・・

誰しも、生活習慣というものは、
それが、
よいものであっても
悪いものであっても、
しばらく続いてしまうと
ものすごく変えにくいものに
なってしまいます。

Aさんにとって、
気分のおもむくまま
スマホで動画三昧の日々は、

ものすごく変えにくい、
生活リズムが乱れた
生活習慣をつくってしまっていた。

どんなにこころが
うつからの脱出を望んでいても、
からだレベルで
現状維持を望んでしまう。

だから、
生活リズムを修正する情報は
スコトーマになってしまう。

生活リズムを修正せずとも、
気分にまかせてやれる対策、

つまり、
気の向いたとき気の向いただけ
運動する、あるいは
サプリをとにかく飲む、

その情報は、
現状維持を
邪魔することはないので

RASが
情報の「フィルター」だとすると、
その情報はRASを
「通過する」
というわけです。

この現状維持の勢いが
誰しも、すごく強いので、

担当医が
Aさんの自分軸としての、
生活リズムの修正を
いくら提案しても、

その情報は
スコトーマにハマって
Aさんはリアルに受け入れられず、

運動とサプリに
「浮気」して、
何回か失敗を
繰り返してしまった、
というわけです。

・・・

今回は
ここまでです・・・。

次回は、
今回お伝えした生活習慣のように、
なかなか変えられない状態を、

【ホメオスタシス:恒常性維持機能】
その状態が、よかろうが悪かろうが、
その状態を維持しようとする機能

が働いた結果であり、

【コンフォートゾーン】
ホメオスタシスが機能して
身体的・心理的に安楽な状態

それを作り出してしまう、
という流れで
お伝えしたいと思います。

その理解が進めば、
どうやってスコトーマを
外すことができるのか、
につなげることができます。

Aさんのケースから
徹底的に学び尽くしましょう。

・・・

自己肯定感の低さに
悩んでいる時、

Do:  
自分軸が認知できない場合、
それがスコトーマに
なっているからだと知る。

Don’t:  
スコトーマがある自分は
ダメだと落ち込む。
※スコトーマは
誰にでもあります。
そして、その外し方を
次回以降で取り組んで行きますから
大丈夫!

いかがでしたでしょうか?
同じ悩みをお持ちの方は、 
ぜひ一度、お問い合わせください。